畑に打ち込みながら気持ちを 耕す夏が過ぎ、十二月二十四日の「なのはなファミリー ウィンターコンサート」に向けた練習が始まりました。
今年のウィンターコンサートのオープニングとして演奏する予定の『オブリビオン』。練習の第一曲目も『オブリビオン』からスタートです。
まずは大人数コーラスの音入れからでした。なのはなファミリーバンドのドラマーであるかにちゃんが音取りをしてくれて、コーラスの音入れをしてくれました。
音入れの初めに原曲を聞いたときは、壮大過ぎる曲に自分がついていけない感覚がありました。けれど、かにちゃんがどんなふうに歌いたいのかを実際に歌って伝えてくれたり、音源を聞かせてもらって理想のイメージが入ってくる度に、どんどん『オブリビオン』の世界観に引き込まれていきました。
遠くで吹いている北風のように、とか、弦を弾くように、というかにちゃんの例えでイメージが広がり、それだけで歌い方が全然変わって、全体が一つにまとまっていきました。
普段はあまり聞けない、かにちゃんのつややかで力強い歌声。そこに込められている質の高いところを目指す気持ちも感じられて、かにちゃんならではのコーラス練習がとても嬉しかったです。
粘りをもって音圧を高めに歌うところから、瞬間的に抜き気味に歌う、その繰り返しのサビ部分はとても難しく、苦戦しています。十六分音符や三連符での音の移り変わりが多いので、一つひとつの音を正確に当てて、音の変わり目をはっきりと歌うことが本当に難しいです。

初めはゆっくりなテンポで正確に当てられるように、そこから少しずつ速いテンポにもっていくという練習をしていくと、次第に歌いやすくなっていきました。自分がどこが苦手なのか、音が下がりやすいのかも分かってきて、ポイントを定めて重点的に練習しました。
バディでも、何度も何度も歌って、少しでも理想に近づいていけるように、粘り強く練習をしていって、上手く歌えたときに喜び合えることが嬉しかったです。
■強く、繊細に
原曲を聞くと、本当に滑らかで美しいコーラスが聞こえてきます。そんなプロの人のようには届かないとしても、そのイメージはしっかりと頭に焼き付けて、うまくいったときの感覚も自分に入れていきたいと思いました。そして、なによりも気持ちを表現できるように、精一杯美しいものを追求していきたいです。
『オブリビオン』の原曲は、ストリングスの音が多くて、弦をはじくような音がたくさん出てきます。その弦をはじくのに似た音を、コーラスの声で表現しているところがあります。その部分もかにちゃんが歌ってくれました。その時、何かに少し似てる……と思いました。
それは、太鼓の「ハッ!」という掛け声でした。金時太鼓でも、演奏中に腹の底から掛け声を言うことがあります。ニュアンスはだいぶ違いますが、腹筋の使い方が似ていて、こんなところでも太鼓でやっていることが役に立つかもしれないと思うと、少し面白かったです。
少し横道にそれましたが、腹筋を使って、「Ha」と一音をハッキリと、響かせて発するのは、強い気持ちが必要だと感じました。タイミングもここしかないという拍で、ワンポイントに入れていかなければいけないし、一発で一音 を強く当てていく感覚は、気持ちが定まっていないとできないように思います。

恥ずかしさや迷いがあるとできないです。でも、それができるととても気持ちが良くて、堂々と歌うことで自信がついて強い気持ちになれると思いました。その部分を歌うのは、ソプラノの半分の人だけですが、それでもしっかりと聞こえるくらい大きな声で張りのある声で歌えるように気持ちも強く鍛えていきたいです。
■この曲を作る過程
今年も卒業生ののんちゃんがダンスの振付けを考えてくれて、九月の後半にはダンスの練習も始まりました。卒業生ののんちゃんが動画を送ってくれて、それをダンス部のあけみちゃんとのんちゃんが解読をして、振り入れをしてくれました。まだサビの振りだけですが、これまでよりも結構難易度が高い振り付けだと感じています。
でも、動画に映っている卒業生ののんちゃんの姿が、この世のものとは思えないくらいに美しくて、表現力の高さに圧倒されつつも、そんなふうに踊りたいと気持ちが高まりました。のんちゃんが考えてくれたフォーメーションをもとにみんなでこの曲を創り上げていきます。
あゆちゃんが訳してくれた『オブリビオン』の和訳を読むと、なのはなファミリーに来るまでに感じてきた気持ちが表現されていて、とても共感できました。振り付けにもそんな歌詞とリンクしている振り付けがあります。
それを、私たちだからこそ伝えられる気持ちで表現できるように、ダンスもコーラスも、練習を積み重ねていって、なのはなファミリーの『オブリビオン』にしていけるようにしていきたいです。その過程がすごく楽しみです。