10月22日のなのはな
音楽合宿3日目の午後は、コンサートで行うビッグバンド演奏曲、『オーガスタス・グループ』の練習を行いました。
はじめに各パートで、これまでの合わせ練習で教わった、演奏のポイントを確認しました。まとまった時間で『オーガスタス・グループ』を練習するのは久しぶりだったため、一度落ち着いて、パートメンバーと輪になって楽譜を囲み、確認できたことが嬉しかったです。
今日は日曜日で、お仕事組さんも全員いてくれるという貴重な一日でした。クラリネットパートも、揃って練習に向かうことができました。
みんなで確認したことに沿って、合わせでそこを確実に演奏できるように、パートで練習しました。それから、音楽室での全パートの合わせに臨みました。
音楽室での、全体での合わせでは『オーガスタス・グループ』を何度か通して、演奏しました。メンバーが揃っていることもあるし、それぞれの習熟度が上がっていることもあってか、前回よりも迫力やまとまりが増していることを感じました。
自分自身も、まだまだ未熟だけれど、曲の流れが掴めてきて、少し余裕ができたことで、自分のパートだけではなく、全体の音を聴けるようになったことを感じました。
あゆちゃんが教えてくれたこの曲のイメージ。
奇妙な世界に迷い込んだ主人公を、面白おかしくからかうような、ウンパ・ルンパ族。その世界は、金管、木管、弦楽器の作る人工的な空気と、打楽器の原始的な空気が同居している。
さとみちゃんが音取りをして作ってくれた楽譜は、風変わりで多様なウンパ・ルンパ族の声が、それぞれの楽器の特性を生かして割り振られている、なのはなだけの楽譜でした。
テナーサックス、トロンボーン、ベースの、象のように大柄で重みのある、けれどイケイケのおじさん。トランペットのギラギラとした主張のあるおじさん。
クラリネットは、小さいけれど、丸くてずっしりとした確かな存在感のあるおじさんかな、と、パートメンバーで話し合いました。
そんな多様なキャラクターが入れ替わり立ち代わり、重なって、奇妙で大迫力な世界観を作り上げていることを感じました。
曲の前から順番に、あゆちゃんが「もっとこう演奏してほしい」というところを一つひとつ教えてくれて、演奏を良くしていきました。
ウンパ・ルンパ族が歌うフレーズは、最後の音を吹きっぱなしにせず、綺麗に回収すること。主となる楽器が変わると同時に、音のキャラクターも変えること。
曲調が変わるところでは、一瞬の静寂を作って、印象的に入ること。休符で音をしっかりととめて、そこに打楽器の音を聴かせること。
後半に、一番高い音を伸ばすところでは、お客さんのほっぺたがブルブルと震えるくらい、コーンと突き抜ける音にすること。
曲のどこでどのパートが立つべき音なのか、みんなで理解して、出るべきところは出て、支えるところは支えて、曲の輪郭がくっきりとなっていくことを感じました。
あゆちゃんが持っている理想を、熱く伝えてくれて、みんなでなのはなの演奏を作っていく時間が、本当に楽しかったです。
合わせ後は、パート練習に戻って、合わせで教えてもらった改善点を、練習しました。
転調し、一際奇妙さのある3小節。ここを効果的に演奏するのが難しいな、と感じていましたが、立たせる音とイメージを共有して、ゆっくりのテンポで繰り返し練習すると、すごく良くなっていくことを感じました。
音は違うけれど、4人の音が一つの意思になって、ぴったりと重なって、響きました。こんな風に吹くことができるんだ、と、少し背筋がぞくっとするくらい、嬉しかったです。
クラリネットがソロで吹く一フレーズも、ゆいちゃんが客観的に聴いてくれて、入りに角をつけることや、歌うように弾ませて吹くことを教えてくれました。客観的に教えてもらい、それを意識するだけで、吹いていても全然変わってくることを感じて、嬉しかったです。
最後にクラリネットパートで1曲を通して、あっという間に3時間の楽器の練習時間が終わってしまいました。
新しい気づきと、良くしていけたことがたくさんあって、とても充実した時間でした。
私は、もっとクラリネットを吹き込んで、指や体に、理想の音を入れていくことが必要だと実感しました。
全体やパートで、理想に向かって練習したことで、『オーガスタス・グループ』がより好きになって、もっとよく演奏できるようになりたいという思いが高まりました。
本番ではお客さんに、奇妙で大迫力の世界を見せる、みんなの一部になれるように、これから習熟していきたいです。
(りんね)
***
弦楽器のリズムが聞こえ、何かが始まるような予感がする。ステージが動き出すと同時に、歩き出す人物。リズムが増え、次々とステージの上が動き出す、ときには魔法がかかったように、はじけるように、舞うように……。
午前中、ダンス練習の最初は『オブリビオン』のダンスの最初の構成や動きをあゆちゃんが考え、みてくれました。平日はお仕事で一緒に練習できなかった、なおちゃんとも、動きを詰めることができてとても嬉しかったです。
物語の登場人物を演じる役者として、なおちゃんがセンターから歩き出し、手を広げると周りのみんなの振りが動いたり、ステージの上で物語が動き出す感じがするとても素敵な構成です。
曲の途中では、いろいろな役者が登場する部分があります。その部分は、事前にのんちゃんがダンスを考案してくれていました。今回私は、代役でのんちゃんと一緒に役者の人の振りを踊りました。なおちゃんと皆で、ステージの上の物語を一緒に動かしているような、物語の中で動かされているような、そんな感覚があり、わくわくしました。何度かカウントで合わせたり、曲で流してみたり、あゆちゃんが前で見てくれながら修正を重ねていきました。何度も繰り返しながら、あゆちゃんとなおちゃんと皆で形を見つけていく過程が面白く、嬉しかったし、この曲でコンサートが始まるのだと思うと緊張もするし、頑張ろうと思いました。
午前の後半は、卒業生ののんちゃんが考えてくれた『ホワイトフラッグ』のサビの振りを動画を参考にして、皆と一緒に振り入れしていきました。
卒業生ののんちゃんが考えてくれた振りは、しなやかに手を広げる振りもあれば、力強く頭を倒し手を振り払ったりもする、力強く魅力的なものだし、曲の気持ち、自分たちの気持ちを代弁してくれているようでした。ダンスで、自分や自分たちの気持ちを理解してもらっていると感じられます。
まだまだ振り入れたばかりの状態でしたが、練習の最後には曲に合わせて踊ることもできました。合わせをあゆちゃんに見てもらったときに、卒業生ののんちゃんが踊っている動画をみると、体幹をしっかりと使って、身体の隅々まで使って表現していて、のんちゃんの気迫が見える、皆にもそんな風に表現してほしいと教えてもらいました。
私も、のんちゃんが考えてくれた動画を見ていたら、のんちゃんが場所は違ってもお父さんお母さんやあゆちゃんたちと同じように、自分の使命や役割にベストを尽くしながら生きているのを感じました。
私達は本当の生き方、あるべき生き方、自分の使命や宿命、役割、答え、を探し求め、なのはなに巡り合いました。
自分の使命や宿命に真正面から向かい、深め、表現する。コンサートの過程の毎日が本番だと感じました。毎日が練習で毎日が本番。
そんな毎日の中で、自分の未熟さや、課題ももちろんたくさん見えてきます。でも、こうやって今与えられた役割や仕事、場所が違っていても、同じように、それぞれの使命、宿命をもって、自分の身体や心、存在を使って表現し、泥臭くも前に進み続ける、先輩、仲間、家族がいることがとても心強いです。
コンサートをつくる一人として、そしてまだ見ぬ誰かの道をつくる一人として、私も私の役割にもっと真正面から尽くし、貢献できるようになりたいです。
(あけみ)