10月1日
●見ている世界を確かめ合う
『Oblivion』のコーラスをあゆちゃんに見ていただきました。
バンドメンバーのみんなも居てくれて、バンド演奏のなかで歌わせてもらえた時間が、貴重でありがたかったです。
ひとつひとつのフレーズの歌い方を、あゆちゃんが、じっくり見ていってくれました。
出だしの部分では、角を付けて入ること、クレッシェンドでは、思いきり急上昇して上がり切ること。声の飛ばし方なども教えてもらって、どんどん深く、厚みのある歌が広がっていくのを感じました。
でも、わたしがあゆちゃんとのコーラス練習が大好きなのは、歌に込める気持ちを通じて、あゆちゃんの見ている世界、これからわたしたちが見ていく世界を、確かめ合うことができるからだと思います。
「何も怖くない。全部見られてもいい。
全部ぶち壊してしまっていい。そこからまた、自分の作りたいように作っていきます、って、伝えるように歌うんだよ」
「この曲が、みんなの原点だと思うんだ。1人ひとりの物語の原点。でも、それが結局、誰も例外がない、みんなにとっての原点だと思うんだ」
あゆちゃんが伝えてくれる、その言葉を聞いてから、2番のサビを歌いました。今まではただ、高音とか、音程だけを気にして、「楽譜の通りになるように」と思って、歌っていたのが、変わりました。
思いきり口を開けて、溜め込んできた何かを吐き出すように、歌うことができました。そして、これまでずっと、のどに何かがつかえているのかと感じてしまうくらい、出したくても出せなかった高音のソのシャープが、今までにない、1番大きな声で出すことができました。
指揮をしてくれるあゆちゃんのところに集まってくる、他のみんなの声や空気を感じて、みんなが同じように感じていることも、わかりました。
歌い終わってから、涙が溢れてきました。「自分だけかな」と思っていたのに、他のみんなも鼻をすすったり、目を赤くしている子も居て、ああ、同じだったんだなあ、と感じました。
自分の歌い方が変わって、自分の気持ちが変わった。初めてこんな気持ちになった。気持ちが溢れたんだなあと感じました。
あゆちゃんは、どんな時であっても、どんな歌であっても、自分で歌っていて涙を流すことはなくて、堂々と歌い切ります。歌の世界を、伝えたい世界を、貫いています。
自分のなかにある世界を知り尽くしているあゆちゃんが、大きくて、強くて、格好いいです。
わたしは、まだ自分で自分の気持ちも、その限界も知らなかったから、涙が出てきてしまいます。
もっと、自分の気持ちを突き詰めて、自分自身をはっきりさせたいです。そして、誰かに伝えられるくらいに、強くなります。今まであった、良かったことも悪かったことも全部、精一杯、堂々と、美しく見せられるようになりたいです。
わたしたちのコンサートのオープニング『Oblivion』が、もっと大切な曲になりました。歌い込んで、踊り込んでいけることがうれしいです。