
9月18日のなのはな
ウィンターコンサートへ向けての音楽合宿、1日目を迎えました。
9月に入ってから、日々の作業や当番の心持ちで、コンサートのDVDを観ることで、毎日の楽器の基礎練習で、コンサートへ向かって行く気持ち作りが始まっていました。表現者としての心持ちを作るため、日々に張り合いを持って生活を送ろうとする中、ドキドキしながら音楽合宿が始まることを待っていました。
手刈りを最後にして、稲刈りも全て終わり、この日から本格的にコンサートモードに入っていきます。
音楽合宿の始まりは、全員で体育館に集まっての柔軟、ウォーキング練習でした。
柔軟はペアになって、基本的なものを行い、トリオになって、バックストレッチも行いました。少しずつ筋肉を伸ばしていくと、とても気持ちが良かったです。身体の可動域が広がっていくように感じました。
バックストレッチでは、効果的な柔軟になるように、補助をする人の正しい姿勢を、あゆちゃんが教えてくれました。身体を思い切り捻ることで、背骨がまっすぐに、美しい姿勢になっていくということでした。
身体の柔らかさと、心の柔らかさも繋がっている部分があります。これからも柔軟を続けることで、しなやかに表現できる身体を作り、心もまた柔軟に動かせるようになっていきたいと思いました。
ウォーキング練習は、なるちゃんが基本の3つのポーズから教えてくれました。3つのポーズを美しくとって、そこを通過して歩くことで、ただ普通に歩くだけではない、舞台上での歩き方になっていきます。
ペアになってお互いを見合って、形を修正していきました。シンプルな動きだけれど、このウォーキングが難しいことを感じます。特に足を踏み出すときに、ぐっと腰に乗ることは、1歩1歩、勇気がいります。
けれど、地道な練習を続けていることで、確実に美しく歩く身体が作られていることを感じました。以前、初めてこの練習をしたときは、体育館をウォーキングで往復するだけで足に力が入らなくなるくらい筋力が無くて、大変でした。けれど今は、力を込めて踏み出し、表情まで美しく見せたいという思いで、往復できるようになりました。
ダンス、コーラスなどの出はけで、舞台を歩く場面は多くあります。そこでも非日常の舞台を保ち続けるために、美しい歩き方は大切です。これからも毎回のウォーキング練習で、本番の舞台を歩いているイメージを持って向かいたいと思いました。
そのあとはかにちゃんから、コンサートオープニングとなる『オブリビオン』のコーラスの音入れがありました。
図書室へ集まって、ソプラノ、アルトに分かれて並び、最初に息を吸って吐く中で、空気の通り道を身体の中に感じる練習を、あゆちゃんが教えてくれました。窓の外には山や自然の見える図書室の空間で、みんなでコーラスをする。この時間が好きです。
『オブリビオン』の原曲を聴かせてもらって、聴けば聴くほどに引き込まれることを感じました。壮大であり、生きていくことそのものがかかってくるような、切実さが訴えかけてくる曲。私たちの曲だと思いました。
コーラスは、サビ前には北風が吹くような澄んだ声で、礼拝堂に響くようにと、美しいイメージをかにちゃんが伝えてくれました。サビの印象的なフレーズは、粘りを持って動物っぽく、狼の吠える声のように、口の中に音を響かせること。
イメージと一緒に、かにちゃんが歌ってくれました。
限界近い高音や、音が素早く上下する部分があり、音を取ることも、メロディ通りに歌うことも、かなり難しかったです。
けれど、ピアノの音を聴きながら、何度も繰り返しみんなで練習し、少しずつ感覚が掴めてきました。
音入れが一通りできて、曲を通して合わせも行いました。まだ不慣れではあるけれど、みんなで一つの生き物になって、波になって押し寄せるような、胸の高鳴る感覚がありました。
かにちゃんが、どこから聴こえるか分からないような音が空間を満たして、見えない力の作った音楽の領域が感じられるような曲にしたい、と伝えてくれました。みんなでそのイメージを実現できるようになりたいと思いました。

午後には、全体演奏の『オーガスタス・グループ』の楽器パート練習がありました。
クラリネット・パートは、お仕事組さんもいてくれて、今季初めてメンバー全員が揃いました。4人並んで、基礎練習から行いました。
最初に、思い切り汚く、出せる限界の大きさで。次に、最小の音で。最後に、ピッチを揃えて、出せる1番綺麗な音で。
お父さんに教わった練習法で、ロングトーン、タンギングを行いました。終わるころには楽器も、身体も十分に温まって、音が出しやすくなりました。
そして、原曲を聴いて楽譜と曲を照らし合わせました。曲のどこから入って、クラリネット・パートがどういう役割をするのか、りなちゃんが中心になってくれて、みんなで認識することができました。
その上で実際にクラリネットを吹きながら、譜読みを進めました。この曲は、ウンパ・ルンパ族の歌う主旋律を吹くところもあり、歌うように吹くことができて、とても面白いなと思いました。
非日常的で、華やかで、吹いているだけで楽しくなるような曲でした。他のパートからも、いろいろなフレーズが聞こえてきて、またみんなで合わせるともっともっと、面白くなるだろうなと思って、ワクワクしています。
午後の最後に、金時祭りへ向けての『グレイテスト・ショー』の練習をしました。
アセスメントや夏祭りで、これまでにも踊ってきた曲です。本番まで、さらに高められるように練習していきます。
全体の中で、自分がどういう役割かということを意識して踊れるように、半分に分かれて、お互いのダンスを見合いました。
みんなのダンス、表情を前から観させてもらって、見せ場がどのように移り変わっていくのか、その中での自分たちのチームがどういう役割をしているのか、イメージを持ちやすくなりました。外向きな表情、見ていて希望になるような動きも、実際に観て、自分の中に落とし込むことができて、前からみんなの踊りを観られたことが、とても嬉しかったです。
金時祭りで、華やかで希望のある曲となるように、また新たな気持ちで『グレイテスト・ショー』を練習していきたいと思いました。
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夜には、コンサートの係発表がありました。
ダンス・コーラス、バンド、大道具、演劇、衣裳、照明、撮影など。ウィンターコンサートをみんなの力で作り上げていく、大切な係です。
私は、かにちゃん、どれみちゃん主任の照明係でした。
係で、メンバー全員で大切にしていきたいこと、コンサートまでの合言葉などを話し合いました。
照明係は、メンバー全員が、コンサートのこと、照明のこと、お互いのことを深く理解する。発信、コミュニケーションを大切にすること。合言葉は、利他心と意思を持って動き、美しいコンサートを作る。
深く理解するということが、愛情を深くすることだね、とかにちゃんが話してくれたことが、とても嬉しかったです。緊張もありますが、照明への理解をより深めて、成長していけるように、温かいメンバーの中でできることを頑張りたいと思いました。
音楽合宿はまだ1日目、始まったばかりですが、とても充実していました。コンサートへみんなで向かっていく過程が、私たちの良く生きていく、回復のための手段であり、なのはなでしかできない、大人の本気の遊びでもあります。
精一杯で向かえば、必ずいい形に結ばれると思います。未熟でもなんでも、希望を持って、楽しんでいきたいです。みんなの中でコンサートに向かっていけることが、とても嬉しいと思います。
(りんね)