「昔の人が優しくないと生きていけなかった理由」 えみ

9月17日

 今日は、家族みんなと手刈りができて嬉しかったです。
 私は、途中からのんちゃんと合流させてもらったのですが、その時にはすでに光田んぼ下にみんなが立ててくれた4列のはぜが整然と並んでいて、その上の田んぼで、みんなが半分以上刈り進めているところでした。

 みんなに合流してからは、あゆちゃんやりゅうさんが刈ってくれる後をついて結びに入らせてもらいました。
 みんなが自分の持ち場について、黙々と作業している空気感が、やっていることは個人個人でもみんなが一体になっている感じがあって、その中にいるだけですごく安心した気持ちになったし、楽しかったなと思います。
 稲を結んでいくのに慣れるのは少し時間がかかったけれど、はぜにかけた時に落ちないように、なるべくきつくなるように藁で結んでいきました。

 あゆちゃんが、稲を刈りながら、
「昔の人が優しくないと生きていけなかった理由が分かるよね」
 という話をしてくれて、それが本当にそうだなと思いました。
 これだけ広い田んぼを、たった1枚だったとしても家族4人だけで手刈りするのは途方もないけれど、昔の人たちは、村で協力して助け合う利他心の社会があったから、成り立っていた。
 今は、機械があって、自分たちのように手刈りをしている人たちは日本にはほとんどいないと思うけれど、家族みんなで協力して作業することでしか感じられない喜びとか言葉にできないものがあることを、今日みんなの中にいて改めて感じました。

 一枚の田んぼを刈り終えてから、みんなでお弁当を食べ、ひと休憩した後からは、稲の束をみんなとバケツリレーをして下の田んぼにはぜ干ししていきました。
 夜の集合の時に、お父さんが、最初に稲の束を一人ひとり抱えて下の田んぼまで一気にもって来た方が効率は良かったという話をしてくださったけれど、このバケツリレーも稲刈りと同じかそれ以上に楽しかったなと思います。

 あゆちゃん、りゅうさんチームとまえちゃん、ゆりかちゃんチームの2列に分かれて、稲の束を次々に隣の人に渡して先頭の人に渡していきました。田んぼ中に、「はい、はい!」という掛け声が飛び交っていて、自分の前の人が毎回笑顔で渡してくれるのがすごく嬉しかったし、自分もひたすら声を出して繋いでいく時間が、不思議なくらい楽しかったです。
 身体は結構限界に近かったけれど、それでもどんどん力が湧いてくるような感覚でした。

 手前と奥で合わせて8列分のはぜがあって、ちょうど全部が埋まって、一部2段重ねになったところもあったけれど、ほぼぴったりで田んぼ一枚分の稲がかかりました。
 その光景が、本当に、綺麗でした。
 バケツリレーが終わった後、みんなで集めた草の上に寝っ転がった時に、ものすごい達成感を感じました。大げさかもしれないけれど、生きていてよかった、と言いたくなるくらい、一緒に汗を流して動いて、その喜びとか幸せを共有できる仲間がいるってことが本当に幸せだなとつくづく思いました。
 みんなとの稲刈りで心も充電されて、また勉強も頑張ろうと思いました。

***
 それと、今日はるりこちゃんのお誕生日でもありました。
 食事の席でコメントを言えなかったのは残念だったのですが、みんなとお祝いできたのが嬉しかったです。
 るりこちゃんのやわらかくて、穏やかな空気にいつも安心するし、るりこちゃんと何気ない会話をするだけで、いつも温かい気持ちになるなと思います。
 配膳や洗いでしばらく一緒に当番をすることも多かったのですが、るりこちゃんがいつも目の前にいる人だけでなくてその先の人まで考えて心遣いをしているのをそばで感じて、そんなるりこちゃんの優しさが本当に綺麗だなと思います。

 昨日の夕方、5時10分前に勉強を切り上げて畑の見回りに行こうとしたとき、ちょうど田んぼから帰ってくるるりこちゃんとすれ違いました。その後すぐに「えみちゃーん」と呼ばれて行くと、るりこちゃんが、
「私、今から配膳なんだけど、多分あゆちゃんとさくらちゃんお茶がないかもしれないから、これ光田んぼに持っていってあげてくれない?」
 と声をかけてくれて、それを持っていくと、あゆちゃんとさくらちゃんが、
「ちょうど今お茶が欲しかったけれどないねって言ってたところだったんだー」
 と言ってすごく喜んでいました。
 その時に、るりこちゃんがいつも周りの人とかその人の気持ちを大切に思っていることを感じて、すごく温かい気持ちでいっぱいになったなと思います。
 真面目で、誠実で、優しいるりこちゃんのことが大好きです。

 読んでくださりありがとうございました。