9月14日
○フルートと、ちさとちゃん
今日は個人的に、とてもとても嬉しいことがありました。
午後のはじめに楽器のパート練習があり、昨日今日とパートリーダーのちさとちゃんが入って、頭部管を使った基礎練習をしてくれました。
ちさとちゃんが、「みんなで初心に返ろう」と言い、まずは何よりも頭部管ということで、昨日からひたすら頭部管だけを使って、練習をしています。
良い音が出たときは、口の形、穴の大きさ、息の入れ方、スピード、頭部管と唇の距離が適切なときです。だから闇雲に頭部管で音を出していても、それは何も身につかなくて、良い音が出た瞬間、いまはどんな状態だったのかを知ることが必要だと教えてくれました。
そこで、基礎練習のときによく行う練習方法で、鏡の前で吹くという練習法をとっています。
鏡の前だと常に自分の唇の状態が見えるので、良い音が出ているときとそうでないときに何が違っているのかをすぐに確認することができます。そして良い音が出たときは何がよかったのかを研究して、次もそれと同じ条件でやるようにしたら、自分の癖などがわかって、克服できます。
わたしは穴が少し右にずれる傾向があって、それはこれまでに改善法を見つけているのですが、今回新たにわかったことは、下唇のちょうど中心に線が入っていて、その線を頭部管の穴のぴったり中心に合わせると、息がよく入り、良い音が出やすいということを発見しました。
ちさとちゃんが、「わたしは理屈で考えるタイプなんだけどね」と言いながら、とても細かく、感じたことやこうしたらやりやすいという、ちさとちゃん自身が突き詰めて見つけたアドバイスを惜しみなく、わたしたちにも共有してくれます。それがいつもとても嬉しいのと、わかりやすいです。
ちさとちゃんがつきちゃん、みつきちゃん、わたし、一人ひとりに向き合って教えてくれます。それぞれの段階が違うけれど、一人ひとりに合ったアドバイスや練習法を教えてくれて、できるようになるまで一緒に考えて、必ず改善策を見つけ出してくれます。
久しぶりにとさとちゃんとフルートの練習をして、自分の頭部管の音を聞いてもらったとき、ちさとちゃんが、「るりこちゃん、前からこんなに良い音出ていたっけ?」と驚いて、「ステップアップしているね」と自分以上に喜んでくれました。
でもわたしは頭部管で音は出ても、組み立てると息が交じった音や倍音になってしまう傾向がありました。頭部管だけのときと、組み立てたときで、同じようにすればいいものの、何かが噛み合わないような、頭部管でできることができなくなってしまうように感じていました。
そのことをちさとちゃんにぼそっと呟くと、今日の練習の時間に、
「るりこちゃん、あれだけ頭部管で良い音が出ているから、きっと組み立てても良い音が出るはずだよ。るりこちゃんが言っていたことを解決しよう」
と、わたしのために時間を設けて、個人練習に付き合ってくれました。
しばらくわたしが音を出しているのを、ちさとちゃんが横から見て、息のスピードを速くすることやお腹から息を出すこと、他にも穴と唇に当てている部分をもっと上にしたらどうかなどと、気がついたことをどんどん言っていってくれました。でもなかなか良い音が定まりません。
そのとき、ちさとちゃんが、「あっ」と言い、わたしのフルートを受け取って、少しいじって、また渡してくれました。そして、「これで吹いてみて」と言いました。
何をしたのかな? と思いつつ、ちさとちゃんからフルートを受け取って、もう一度吹いてみると、驚きました。一発で良い音が響き渡りました。その音を聞いて、ちさとちゃんが、「それ! めっちゃ良い音だよ!」と言ってくれました。
驚くくらい、今までと確実に何かが違う感覚でした。自分が出した息が確実にフルートに入り、吹いていると、自分の息でフルートが振動し、芯から音が響いているような感覚でした。とても吹きやすく、軽く、唇にはまったという感じでした。
思わずちさとちゃんに、「何をしたのですか!?」と聞きました。ちさとちゃんがみんなを集めて、話してくれました。
「るりこちゃんの音を聞いていて、息が漏れているような音だなと思ったんだ。それは穴と唇の距離が遠いからだと思ったんだ。
プロのフルート奏者のゴールウェイさんは、フルートを置いたときに、頭部管の穴が上向きになるのが良いと言っていたのだけど、さすがにわたしたちは西洋人じゃないから、それは難しい。でもわたしも少し上を向いている状態の方がいいなと思っているんだ。組み立てたときに頭部管と胴部管が真っ直ぐに揃う目印はあるけれど、人によっては少し巻き気味にした方がよかったりする。巻き込みすぎは音が低くなってしまうからダメだけどね。わたしも本当にフルートの微妙は傷とかを目印にして、自分でここが良いという場所を決めていて、みんなも自分に合う位置を研究してみるのもいいかもね。
るりこちゃんの場合は、ちょっと巻き気味の方がいいかもしれないと思って、少し回したんだけど、それですごく音が変わったね」
ということを話してくれました。
ちさとちゃんが話してくれること、そしてわたしの状態をみて、気がつき、改善法まで導いてくれたことが本当に嬉しかったし、ちさとちゃんは改めて緻密で、自分が納得できるまで研究して研究して、深いところまで突き詰めて自分のものにしているのだということを感じました。
それはちさとちゃん自身が自分自身やフルートに真っ直ぐ向き合ってきたからわかることで、それを自分のためだけじゃなく、仲間のために使っているところがとても優しいと思いました。
ちさとちゃんがわたしのフルートを少しいじり、改善してくれた頭部管の向き加減をよく見て、自分のものにしようと思いました。よく見ると、ロゴの『YAMAHA』の『A』と『M』の中間に目印がきたら、自分の口に合うということがわかりました。
それ以降も吹いてみましたが、やっぱりこれまでフルートを吹いてきた感覚と確かに何かが違っていて、音が出しやすく、自分の息が管に入って振動しているのが、フルートを持つ手を通して伝わってきました。
ちさとちゃんも、「やっぱり良い音だよ!」と言ってくれました。
こんなことって、本当にあるのだなと思いました。
時々、お父さんも若い頃にギターを練習していて、練習しても練習してもなかなか弾けるようにならなかったけれど、ある日突然、弾けるようになったんだという話をしてくださることがあります。
それとは少し違うかもしれないけれど、たったの1日で、しかも楽器の微妙な加減で、こんなにも吹きやすくなって、同じ楽器だとは思えないほどの大きな変化を自分がわかるくらいに感じることが本当に起こるのだと驚きました。
そう思うと、フルートだけじゃなくて、日々の生活や畑作業のことでも、パターン化してしまっていることを少し変えるだけで、劇的にやりやすくなったり、変化できることが、自分が気がついていないだけで、他にもたくさんあるのかもしれないとも思いました。
今日ちさとちゃんにフルートを見てもらって、そして吹きやすくなったフルートを吹いていて、これまでよりもっともっと、フルートが好きだという気持ちが強くなりました。そしてこのフルートが持っている一番良い音を出してあげたいと思いました。
そう思うと、これからの練習がすごく楽しみになってきました。これまでは音楽経験が浅いことを理由に、自分はこのくらいまでかなと、自分で自分のレベルを制限しているところがあったけれど、こんなにちょっとしたことでわたしも変われるなら、上達できるところまで上達してみたいと意欲が湧いてきました。
それともう一つ、嬉しかったことは、ちさとちゃんが、
「基礎練習ももちろん大事だけれど、みんなにフルートを吹く楽しさを味わってもらいたい」
と話してくれたことです。
そこで、ちさとちゃんが気に入っている曲や、以前なのはなでフルートパートで演奏した曲などを教えてくれて、
「これを聞いたり、みんなでも少しずつ吹けるようになっていったら、モチベーションも上がるのではないか」
と言ってくれました。
そして最後の5分間で、これまで2回ほど、なのはな内でフルートパートで演奏したことのある曲のサビのメロディを吹いて、運指を教えてくれました。
一度演奏したことのある、ちさとちゃんが一音一音を思い出して、音程を教えてくれて、みんなで2小節くらい吹いてみました。すごくゆっくりだったけれど、自分たちがフルートで吹いていることがこの上なく嬉しくて、笑顔が止まりませんでした。
ちさとちゃんが、「わたしたちのテーマ曲(?)はこれにしよう」と言ってくれました。何だかちさとちゃん、つきちゃん、みつきちゃん、わたしの、身長が小さいところや、わたしたちのふんわりした性格にもその曲調がしっくりくるようで、4人のテーマ曲ができたことがすごく嬉しかったです。そんなふうに、みんなのモチベーションが上がるように、優しい言葉をかけてくれたり、穏やかな空気感だけど、確実に一人ひとりがステップアップできる練習法で引っ張ってくれる、ちさとちゃんがいてくれることが言葉にできないくらいに嬉しいです。
わたしもそんなちさとちゃんのように、1つひとつの物事に真摯に向き合い、どんなことも自分ごととして深く高いところまで突き詰めて、そして何よりも仲間を大切にできる人になっていきたいと思いました。
これからビッグバンド演奏の曲も決まって、練習が始まっていくと思うけれど、ちさとちゃんが同じパートにいてくれると思うだけで、わたしもちさとちゃんの背中を追って、付いていきたいです。
***
話が前後して午前のことになりますが、さくらちゃんと一緒に、今回は山裾西のモチ米の籾摺りをさせてもらいました。
モチ米は水分値が15%目安ですが、山裾東のモチ米は乾燥機では15%だったのですが、米名人で測ると14.6%と、水分値が少し低めになってしまいました。保存性は水分値が低い方が良いそうですが、味は高い方が美味しいらしいです。
さくらちゃんがその反省を活かして、山裾西のものは乾燥機の時点で設定値を16%にして止めてくれました。その状態で、乾燥機よりも精度の高い米名人で測ってみたところ、ぴったり15%になっていました。何度測り直しても、15%です。さくらちゃんと、「やったね」と喜びました。
さくらちゃんが籾摺り機と計量器の2台につき、わたしはひたすら30キロになった米袋の口を縛っていくという役割分担で分かれてやってみました。米袋の数が前回の3倍近かったけれど、それでもとてもスムーズに進めることができました。
今日は永禮さんも来てくださって、お父さんのコンバインと2台体制で進めてくださっていました。お父さんが運転する、4条刈りの『モンローちゃん』が大活躍で、わたしも知らない内にどんどんと稲刈りが進んでいて、もう終わりも間近で、本当に速いなと驚いています。
明日はいよいよ紫黒米の機械刈りがあると聞いています。わたしもさくらちゃんと一緒に、これまでモチ米が入っていた乾燥機や籾摺り機を丁寧に掃除をして、紫黒米が籾摺りできる状態にしておきたいなと思います。
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今夜はスタッフミーティングで、河上さんが夕食にご一緒してくださいました。
そのときに食事の時間を守ることなどを改めて話してくださり、わたしも時間を守る意識を高く持っていたいと思いました。
長くなりましたが、読んでくださってありがとうございました。
今日はフルートのことが本当に本当に、嬉しかったです。
明日も頑張ります。おやすみなさい。