【8月号⑲】「心遣いを持ち寄って 駆けてゆく桃シーズン」 ひろこ

 桃の収穫が始まると、水を切るためにブルーシートを敷いたり、逆に晴れが五日以上続く場合は水やりをし、水分調整をしています。
 収穫直前や、収穫中の桃に過度な水分を与えてしまうと、桃が水っぽくなってしまったり、糖度が乗らなくなってしまうため、私たちは、ブルーシートを敷いて、対策をしています。

 木の大きさにふさわしい大きさのブルーシートを使用するため、各畑の必要な場所にブルーシートを割り振り、雨に備えています。樹一本につき二枚のブルーシートを使い、継ぎ目はパイプを芯としてしっかりと巻き、水が流れ落ちないようにしています。
 この季節は、特に天気を気にかけています。
 晴れが続き、土が乾きすぎると、桃のしぶみがきつくなってしまうため、水やりをしています。一本につき五百リットルや、大きい木では千リットルほど水をやり、スケールの大きさを感じました。

 

 

■桃メンバーとして

 収穫十日ほど前になると、ネットをかけて夜蛾や獣から桃の実を守っています。
 桃メンバー一同、声をかけあって、協力してネットをかけるネット掛けは、私たちの得意な作業の一つになっています。
 一番大きなネットは、二十六メートル×五十メートルほどの大きさがあるのですが、どんなに大きなネットも、みんなとならすいすいかけることができてしまって、毎回、達成感をみんなと感じられることが嬉しいです。

 

 

 木の本数が多く、何枚もかけているうちに、一人ひとりが自分の役割のエキスパートとなっていき、今何が必要か、どんな動きをすべきかを自ら分かり、動けていけていっているように感じます。
 ネットがかかると、桃が大切に守られているように感じ、安心感があります。
 ネット作りメンバーがネットをミシンで縫い合わせて、大きな樹のためのネットを作ってくれたのですが、使うときに使いやすいようにと束ねてくれてあったり、四つ角に赤いしるしをつけてくれてあったりと、心づかいが有難く感じました。

 

ネットをかけ終えて、脚立の上から見渡した開墾26a 畑

 

 ブルーシート敷きも、桃メンバーだけで追いつかない時には、みんなの力を借りているのですが、桃は、みんなの力で、みんなに守られ、大切にしてもらって、美味しい実ができるのだと感じます。みんなの気持ちがつまっているから、美味しいのだと思います。
 雨が多く、日照不足が続くと、甘さが乗らなかったり、逆に晴れが続くと糖度が上がってきたり、高温が続くと、桃の皮が青いままに果肉が熟れてきたりと、桃の栽培をしていると、何一つとっても、単純なものはなく、繊細で、頭も心を使わなければ良い桃は作れないと感じています。
 桃の収穫真っ盛り、まだまだ続きます。桃チームのメンバーとして、誇りをもって、精いっぱい努めていきます。