【8月号②】「諾神社の灯りに照らされて ―― 夏越祭 フラダンスショー ――」 ふみ

 

 諾神社で開かれた夏越祭に出演しました。
 今回の演目は、なのはなのステージでは初披露の新曲が三曲入り、全七曲の演目でした。
 イベントに出演するときに、ステージに立つことは気持ちを作るための手段の一つであり、そして、自分たちの気持ちを伝えるための手段の一つであるということを、いつもお父さん、お母さんが教えてくれます。
 七月二十二日の本番。今回の諾神社夏越祭でのイベントが、夏のステージの始まりであり、(イベント一つひとつに向かうなかで、気持ちを作り、成長していきたい)という気持ちで、今回のステージへと向かいました。

 

 

 一曲目の『ウリリ』という曲は、メリケンキアシサギという体長三十センチほどの渡り鳥をモチーフにしたフラダンスです。
 メリケンキアシサギという鳥は、黄色い足が伸びていて、その黄色い足を『ウリリ』衣裳でも使おうとお母さんが提案してくれて、『ウリリ』の衣裳では、ダンサーの足の甲に黄色いテープを衣装として使用しました。
 速い腰の動きや、鳥をモチーフにしたダンスが特徴で、一曲目から、お客様があたたかい空気で見てくださっていることがわかり、とても嬉しかったです。

 新曲の『ウリリ』から始まり、二曲目も、今回が初披露の『カアナアレ』という曲でした。
 『カアナアレ』は、一青窈さんの『ハナミズキ』がハワイアンにアレンジされた曲です。なのはなでは、母の日に、お母さんに向けて『ハナミズキ』の曲を歌っていて、私は、ハナミズキの曲が好きです。
 『カアナアレ』のダンス練習のときも、お母さんの笑顔が心のなかにありました。
 ステージに立ったとき、私自身、緊張もしていました。でも、お客様が笑顔で見て下さり、新曲の『カアナアレ』を踊らせてもらえて嬉しかったです。

 

■気持ちに止めを作る

 カアナアレのダンス練習のときに、決めポーズのときには気持ちを止める、ということをお父さんから教えてもらいました。ダンスが流れてしまっているのは、気持ちも流れてしまっているからなのだと感じました。決めるところはしっかりと決めて、ひとつの彫像のように、華がある人を演じていきたいです。
 ステージに立つときに、普段の心持ちや今の自分のありようがそのままステージ上で出ることを感じていて、相当気持ちを強く持たなければ見せられる表現はできないのだと感じます。
 イベントに出演できることが本当に有りがたく、気持ちをしっかりと作っていきたいです。
 客席から拍手が聞こえてきて、応援組のなのはなのみんなの笑顔が視界に入ったり、お客様の笑顔を見ると、凄く嬉しい気持ちになりました。

 

 

 もう一曲、新曲を披露しました。『オ・ヴァイ』という曲です。
 私たちは、この曲は、爬虫類の補食をテーマにした曲で、生きるという美しさ、力強さ、そして、野生味を感じる一曲になるように表現しました。
 私は、この『オ・ヴァイ』という曲が好きです。衣裳も、ゆりかちゃんがこういう衣裳にしたいんだというイメージを教えてくれて、ゆりかちゃんを中心にみんなで制作した衣装です。
 白を基調に、貝殻を飾った冠を被り、諾神社の神聖な空気のなかで踊っていると、神様が見てくださっているような気持ちになりました。

 最後の曲は、『ビューティフル・ピープル』で、みんなが大好きな一曲でした。
 みんながいつも畑作業をしているときの、みんなで力を合わせて活き活きとしている姿が目に浮かぶような表情でダンスで表現しようと、みんなで踊りました。
 できる人じゃなくたって、泥臭くてもいいから、いつも全力で、若々しく、今を生きること。保障を求めない生き方をする。
 まだ見ぬだれかのために、精一杯で表現したいと思いました。

 

 

■たった一人の人に

 踊っているときに、私のすぐ近くで三歳から四歳くらいの女の子がじっと見てくれていました。女の子はステージ中ずっと動かずに、口が少し開いていて、キラキラした目で見てくれていて、その子のほうに少し目線を向けると、ちょっと口元が緩んで、口角が上がり、ずっと見てくれていたことが嬉しかったです。
 その子にも気持ちが届いてくれていたら嬉しいなと思いながら、お母さんがいつも教えてくれる言葉が頭に浮かびました。
「たった一人でもいいから、その人に向けて表現する」
 まだ出会ったことのない人に、これからの夏のイベントのなかでも出会えるかもしれないと思いました。

 水田さんが、最後のアンコール曲の『フラガール』のときに、シャボン玉を飛ばして演出してくださって、嬉しかったです。
 これからも夏のイベントに向けて、みんなと走っていきたいです。