「目の前いっぱいの花火」 みつき

8月15日

●目の前いっぱいの花火

 昨夜は、みんなで古吉野の坂に出て、打ち上げ花火を見ました。
 花火を用意してくださっている方々の大きな声がこちらまで聞こえて、「さん、にい、いち……」のカウントダウンで、花火が噴射されました。
 ひゅるひゅるひゅる、と花火が空に上っていって、ぴたっと止まったとき、「あ、来るぞこれは…!」と、何度も予感しました。そして、その予感通り、それ以上に大きな花火が、目の前いっぱいに広がりました。
 赤色、緑色、黄色。次々と花開いていくなか、一瞬の暗闇に、まだ自分の目に残っていた、花火を見ました。

 どこかで花火の音がして、窓を開けると花火が見える。
 花火を見て、花火を見ているまちを見ている。そういうことは、今まで何度もありました。
 けれど、昨夜は、古吉野のわたしたちに向けて上げられた花火を、確かに受け取っていて、夏の忘れられない贈り物になりました。
 なにか物語の主人公になったような感覚で、こんなに綺麗な景色を特等席で見させてもらえたことが、本当にうれしかったです。
 イベントや季節が終わることを惜しんで、「この時間がずっと続けばいいのに」と感じられる、今、ここにあるすべてが、本当に尊くて幸せだと思います。
 上がっている花火を見ながらも、隣に座っているすにたちゃんの横顔や、前に座っているお父さんお母さんの背中、後ろに居る子の歓声、みんなの存在を感じていました。
 隣でいっしょに花火を見ることができる家族が居てくれて、わたしは、本当に幸せ者です。
 花火が終わってしまっても、時間が流れてしまっても、ここにあった幸せは、永遠になるんだなあと感じました。

 今日、古吉野の辺りに、台風が来ました。
 時々吹き付けてくる雨風に驚いたりもしたけれど、大きな被害はありませんでした。
 通り過ぎたのがはっきりわかって、急にしーんとして、ぴくりとも動かなくなった窓の外の景色が、少し違和感があるような、でも、いつもの日常が帰ってきたようでした。

 わたしたちは、室内でOMTをしていました。夏の間に楽しかったこと、これから楽しみなことを話していると、尽きませんでした。
 これからの楽しみのひとつ、縁日の準備も進めました。輪投げのチームでは、輪の試作をしてみたり、輪の色を塗ったりしました。『スカイブルー』という、明るい水色のペンキを塗った輪は、まるで孫悟空みたいに頭にはめて遊びたくなるくらい、かわいいです。

 今、日記を書いていますが、セミが鳴いているのが聞こえます。
 明日からはまた畑に出られるのが楽しみです。おやすみなさい。