【5月号⑪】「夏野菜の芽を見守りながら」 さき

 

 夏野菜の定植に向けて、続々と種まきが始まりました。その中で、芽出しも行っています。
 今回、種の芽出しを、せいこちゃん、えみちゃん、ちさちゃんと私の四人で担当することに。
 芽出しをすると聞き、オイルヒーター、テーブル、毛布、ビニールハウス用のフィルム、芽出しをするときに使う布やトレーなどを用意して、快適な芽出しハウスを、室内に作りました。

 種は一日から二日、給水させてから水を抜き、湿らせたウエスに等間隔に並べてくるみ、トレーに載せて、芽出しハウスの中へ入れます。
 その時から、一日を通して、水分調節、温度管理を行って、発根を促します。

 種が乾かないかどうか、野菜の適温にそった温度であるか、そういった細かい調節をしながら、発根を待ちます。
 うまくいくと、種によって異なりますが、約一週間で白い根が出てきます。
 それを見るのが、待ち遠しくて、毎日見回りに行くたびに、種の様子を見て、「まだ出ないかな」とドキドキしていました。

 

■種の生命力

 芽出しの初めはナスとピーマン。ピーマンは八百五十粒、ナスは九百五十粒、相当数の芽出しをしました。
 一週間、朝食前から就寝前まで、必ず交代で見回りをして、適温である最高三十度、最低十五度の間を保ちました。
 なかなか、微妙な温度調節は機械のようにはうまくいかないときもあるけれど、毛布をかけたり、オイルヒーターの温度設定を変えたりして、種たちがなるべく快適に過ごせるようにと考える時間がとても楽しかったです。
 ナス、ピーマンも、種まきしてから、土の中で順調に育ち、土を押し上げて芽を出す様子が、本当にたくましいです。

 

〈発芽したばかりのピーマン〉

 

 ほかにも、マクワウリや、スイカ、カボチャも芽出ししました。
 種の大きさも違えば、発根するタイミングも違いますが、やはりぞっくり出るときが必ずあって、それが読み通りにいくと、とてもうれしくなります。発根したらなるべくはやく種まきをしたいので、そのことも考えながら、一番よいタイミングで種まきできるように、芽出ししたいと思っています。

 特にカボチャは、通常なら給水をするものがほとんどですが、給水せず、また種の皮が硬いので、種に二か所の切り込みを入れて、芽出しをします。
 種に傷をつけるのは、少々気が引けますが、こうすることで、発根しやすくなるようです。
 実際に、五日後には、ぞっくり九割ほど発根しているのが見られて、その効果がすごいなと思いました。

 

 

 カボチャもそうですが、ゴーヤも皮が硬いので同様に行います。ゴーヤはさらに発芽が難しいので、温度調節をシビアに管理したいです。
 芽出しの担当をさせてもらって、今までは苗になった野菜しか見てこなかったけれど、こんなに小さいときから見ていると、種まきするにも、定植するにも、より感じるものも大きければ、喜びも大きいです。
 二ミリほどの小さな種でも、確実に命があって、エネルギーがあって、根を出そう、芽を出そうとしているのに、元気をもらいます。つくづく野菜の生命力ってすごいなと感じました。
 これからも、定植に向けて、種や苗の管理をみんなと協力してしっかり育てていきたいです。