5月25日(木)「夏の主役の畑づくり、畝立て達成 & オペラ歌手 翠千賀さんのコンサートへ」

5月25日のなのはな

「今日は、いよいよ、畝立てだ……!!」
 ついに、ピーマン、ナス、ゴーヤの畑作りがスタートです。

 畝立てと一言で言ってはそれまでなのですが、これから半年以上この畑で育ってくれる夏野菜たちの住まいを作ると思うと、ドキドキ、ワクワクして、朝早くから、布団の中でパッチリ目が覚めてしまった私。
 朝食前、7時10分に肥料倉庫に走っていくと、すでにさきちゃんが軽トラをつけてくれていていました。2人で黙々とライン引き用の米ぬかを積み、滝川横・奥畑に向かいました。

 今日で、なんとしてでも、ピーマンとゴーヤが植わる滝川の畑と、ナスが植わる梅見畑の畝立てを全て終わらせたい。どちらも10a以上ある大きな畑です。とすると、朝食前に少なくとも畝のライン引きだけは終わらせたい……!! そんな私たちの思いを汲んでくれるたくさんの仲間が、滝川の畑に続々と駆けつけてくれ、滝川の畑のライン引きを、朝食前に完成させることができました。本当にみんなありがとう!

 

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 さて、ここからが本番。午前の作業で、滝川の畑の畝立てが始まりました。
 まずは手始めに、範囲の狭い滝川奥畑からみんなで一斉に完成させていくことに。
 普段は桃の手入れをしているメンバーも、今日は午前いっぱい畝立ての作業に入ってくれていて、とっても心強い作業で、滝川奥の畑はものの20分ほどで終了。なんとも幸先が良いです。
 続いて、滝川横の畑へ。長辺が52メートル、短辺が23メートル。超ビッグ! はてさて、どのようにしてみんなで畝立ていたしましょうか。

 

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「最終的には、この畑の長辺を4分割して、畝を作る予定なので、分割したところまでをチーム対抗で対決しましょう!」

 さきちゃんが対決方式の畝立てを指揮してくれました。
 1チーム5〜6人で、全部で3チームを作り、それぞれ、1スパン目、2スパン目、3スパン目につきます。
「よーい、スタート!!!」
 対決方式はやっぱり楽しい。チームのみんなで、時に励まし合いながら、作戦を変更しながら、早く、綺麗に畝を立てあげるという心意気一つで、いそいそとクワで土を掻きあげていきました。
 優勝は、あけみちゃんチーム。確か、昨日のマクワウリの畝立てでも、あけみちゃんチームが優勝していたような……。チームメンバーのパワフルさに脱帽です。

 

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 時刻は12時30分。最後の4スパン目は、みんなで立て上げ、そのまま畝ならしの作業へ。ピーマンもゴーヤも、高畝のベッド畝が理想。今にも寝転びたくなっちゃうような平らで綺麗なベット畝に仕上げてくれて、昼食10分前に見事、滝川の畑の畝立てが終了。やったー!

 

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 この勢いで、午後は、梅見畑に挑みます。
 梅見畑は、ありがたいことに、午前中に須原さんが、再度トラクター掛けをしてくださっていました。
「見て……足がこんなに沈む!」
「これは絶対に土がフカフカだ……!!」
トラクター掛けたての土に大興奮の私たち。元気一杯、午後も頑張っていきます。

 

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〈畝立てチームに先行し、米ぬかでラインを引いていきます〉

 

 ライン引きと並行して、畝立てスタート。滝川同様、畑は広いけれど、畝の長さは短いので、1畝3人チームでテンポよく立てていきました。
「ここの畝立てでは、特に、土をしっかり上げて、畝間をツルツルにしたいです!!」
 みんなは、やっぱり畝立て名人。どのチームのみんなも、石畳のように平らな畝間で畝を作ってくれました。本当にすごい。

 ……おや? ライン引きチームのみんなが遠くのほうで何か楽しそうにはしゃいでいるような……。
 気のせいかな。

 

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 ライン引きのみんなも合流し、全員で畝立てを黙々と進めていきます。
 気づけば、午後15時半。今日の作業時間は16時半までです。これは全て終わらせるのは難しいかな……。そう思っていた矢先、ある時まちちゃんがふと、気づいてくれました。
「この先、1チームを2人にしたら、残り各チームが3畝立てたら終わるよ!」
 なんと。それだと、もっとスピードが上がって終わらせられそう!
 まちちゃんの神様のお告げのような言葉に一気に希望を持てて、早速ペアになって、やる気2割り増しで進めていきました。

 

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 そしてそして、午後も後半から、桃メンバーのみんなが走って駆けつけてくれました。
 お仕事から帰って来たえつこちゃん、そして勉強組のななほちゃんも来てくれ、16時ごろには、梅見畑に20人以上の仲間が集結。すぐそばに、たくさんのみんなの力を感じながら、力一杯クワで土を搔き上げているこの一瞬一瞬が、何よりの幸せだと思いました。
 最後の畝に突入した時、その畝には「GOAL」の文字が。ライン引きチームの素敵なサプライズが用意されていて、とってもとっても嬉しかったです。

 

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 そして16時20分、全ての畝の均しまで終えて、達成感いっぱいの作業が終了。
 本当に、本当に楽しかったです。
 これからこの2つの畑が、夏野菜を作る舞台になります。
 宝物みたいな夏の期間にできますように。

(せいこ)

 

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 農作業では桃の手入れが進んだ他、今日も永禮さんが来てくださり、諏訪手前中田んぼ、諏訪手前下田んぼの代掻きを行いました。高低差ができてしまい水が回りにくくなってしまっていた田んぼでは、永禮さんが、時間をかけてトラクターで丁寧に土を引っ張り、なんども均してくださいました。

 また、古畑ではコモンマロウの鮮やかな花が咲いています。この花を使ったハーブティーは、レモン果汁を入れると色が変化するという特性があり、またみんなでその楽しさ、美しさを味わえる季節が嬉しいです。

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〈梅林で、四つ葉のクローバーを見つけました♪〉

 

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 夜7時から、勝央文化ホールでオペラ歌手の翠千賀さん、伴奏の徳永洋明さんによるコンサートがありました。
 客席は、たくさんのお客さんで埋まっていて、その中には、保育園の幼い子たちや、小学生の姿もありました。
 ステージには、グランドピアノが置かれていました。
 客席に座って、整えられたステージを見上げていると、緊張や、これから、どんな演奏、歌が待っているのだろう、というワクワク感が相まって、少し不思議な気持ちになりました。

 ステージに登場した翠千賀さんは、ロングドレスを着て、とても綺麗な方でした。薄暗く、静まったホールいっぱいに、翠千賀さんの美しい歌声と、徳永洋明さんのピアノの音が響きました。オペラの歌声を、生演奏で聴くのは初めてで、その声量、音圧にとても驚きました。千賀さんはマイクを持っていないはずなのに、スピーカーから出た音のように、身体全体に振動が伝わってくるようでした。どこからこんなにもパワーがある音の源があるのだろう、と思いました。

 その答えは、トークショーで明らかになりました。一曲歌うごとに、翠さんと徳永さんが、プロフィールを話してくださったり、体験した面白いエピソードを話してくださり、客席を盛り上げて、楽しませてくれました。その中で、日本と、欧米との歌い方の違い、というお話がありました。

「日本の侍、を思い出してください」
 侍を元に、例えて話してくれました。侍は、日本刀で切るとき、引くようにして刃を使います。のこぎりも、包丁で食材を切るときも同じです。それは、歌い方も同じで、日本では、お腹をぐっと引き締めて、声を引く、回収するようにして歌います。

 けれど、欧米のオペラはそうではなく、開放して歌うようです。だから、声量のある声を、長く伸ばすことが出来るのだなあと思いました。歌い方によっても、国によって文化の違いがあることを初めて知り、面白いなあと思いました。

 プログラムの中には、オペラだけではなく、私達もよく知っている、『翼をください』や、『未来へ』『明日への手紙』などの、日本語の歌もありました。『翼をください』では、手元にある歌詞を見て、ホールにいる人みんなと、徳永さんの伴奏で歌いました。翠さんが客席に降りて、ぐるっと回りながら一緒に歌われていて、そばを通られた時に、透明感があって澄んだ歌声がたくさんの人の歌声の中に溶け込んで聞こえてきて、とても嬉しい気持ちになりました。

 

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 ピアノ伴奏の徳永さんは作曲もされていて、客席から出された3つのお題を取り入れて即興で演奏するショーも見せてくださりました。翠さんの、「お題を考えついた方はいますか」という声掛けに、たくさんの子供たちの手が一斉に上がりました。

 たくさんの素敵なお題が上がりました。「こいのぼり」「シャボン玉」「空」、どれも、思い浮かべるだけで爽やかで、清々しい気分になるようなキーワードばかりでした。3つのお題、全て青空が思い描かれるようなもので、繋がりがあるように思えました。徳永さんが、面白おかしく、
「『空』にちなんで、ソ、とラを使って弾きます」
 と話されていて、会場が一気に温かい笑いで包まれました。

 3つのお題が組み合わせられ、2分ほどの小さなストーリーのある曲に出来上がっていました。本当に、最初の曲の始まりでは、「ソ」と「ラ」でメロディラインが出来ていて、一瞬で考えて、弾くことが出来るのが凄いと思いました。言葉から連想される情景を、音にすぐに表現できるのが素敵だなあと思ったし、メロディの中に、雲が流れていく光景や、キラッと光る太陽の光、小さなシャボン玉が次々に舞い上がって、弾けて消えていく景色が目に浮かぶようでした。

 全8曲の演奏を聞かせてもらいました。知っている曲も、知らない曲も、まだ足を踏み入れたことのない、新しい世界を見せてもらったような、新鮮な気持ちになりました。
 トークショーでは、客席に座っている私達が楽しめるようなバリエーション豊かな話をたくさんしてくださったり、時には子供たちへのインタビューがあったりと、終始明るくて、温かいコンサートでした。

 翠千賀さん、徳永洋明さんのコンサートを、勝央文化ホールで開演するのは、今年で3回目となるようです。

「果物の採れる時期に、また次回みなさんとお会いできる時を楽しみにします」
 もう1か月もすると、桃の収穫できる季節になります。桃が終盤になってくると、次はブドウが採れます。来年、私達の作る桃やブドウ、美味しい果物が収穫できる時期に、また勝央町に足を運んでいただけたら嬉しいなあと思いました。

 今回のコンサートで、新しく吸収したことを、次のイベントや、自分達の作るパフォーマンスに繋げていきたいです。

(りな)