「繋がる」 ふみ

5月19日(金) 

 

 

 洋なしの花はどんな花が咲くのだろうか、と思って、洋なしのことを調べてみたら、洋なしはバラ科のナシ属でした。桃もバラ科で、洋なしの花は桃の花と形が似ていて、色は白かったです。バラ科の植物はお花の形が似ているんだなと思いました。
 桃は、バラ科のサクラ属で、桃なのに、サクラなのかと思ったことを思い出しました。

 水曜日、今期、初めての桃の袋がけをしました。
 早生品種の『はなよめ』から袋がけをスタートし、午前中に、あんなちゃんとりなちゃんが早生品種だけ防除をしてくれていて、午後から袋がけをして、あんなちゃんの段取りがいつも凄いなと思っています。
 いかに効率よく、桃にとってベストな手入れになるようにと、あんなちゃんの緻密さをいつも感じます。

 袋がけの方法をあんなちゃんが教えてくれて、袋はオレンジ色の袋を使用しました。
 『はなよめ』の実は、5センチくらいになっていて、桃の実が(ここにいるよ)と教えてくれているように感じて、すごく可愛いなと感じました。
 袋がけをするときに、袋の口の切れ込みが入っている部分に枝をフィットさせて、隙間なく口を閉じることがポイントであることを、あんなちゃんが教えてくれました。
 虫や雨が隙間から入って、中の桃の実に影響がないように、しっかりと袋の口をしめて、そして、袋の片方についた針金で1回折りして、風などで飛ばされないようにすること。
 何回も折ると、収穫のときに取れなくて、収穫しづらくなってしまうことも教えてくれました。

 大切なことだから、あんなちゃんが1人ひとりの袋の口の閉じ方を見てくれて、あんなちゃんに「OKです」と言ってもらえると、嬉しかったです。でも、慣れてきたり、手が疲れてくると、袋の閉じが甘くなってしまうので、ちゃんと確かめながらやろうと思いました。
 袋がけをするとき、目の前の桃の実に袋をかけたら、収穫までもう袋をあけることはなくて、自分が選んだ桃の実が収穫に繋がるのだと思うと、緊張もしたし、ちゃんと桃の実をみて、綺麗な桃がなるように、桃と収穫の約束をしている気持ちになりました。

 桃の実は、木になって、じっとそこにいて、虫がきたら食べられてしまうこともあるし、摘果されて落とされてしまう実もあるけれど、そんなことは桃は動じず、なるべき実がなるようにと、何回も何回も摘果されたって、虫に食べられたって、その桃の運命が決まっているかのように、堂々として、そこに実っている姿が美しいなと感じました。

 収穫まで袋のなかで成長していくのだと思うと、私も袋がけを頑張ろうと思いました。

 あんなちゃんが、摘果のときも教えてくれたことで、木の上の方(日当たりがいいところ)は120%残して、木の下の方(日当たりがよくないところ)は80%にすることを、袋がけのときも教えてくれました。
 しっかりと摘果が出来ているから、今、木に残っている実はほとんど袋をかけていいけれど、明らかに現実的に実がつけられないところや、実が集中しているなと思うところは、袋をかけない判断をすることが求められました。
 桃の実がなったところをイメージして、ここだったら、この枝、葉の量に対して、2つ実をつけるのは多いのか、ここだったら日当たりがいいから、つけてもいいか。桃に問いかけながら、袋をかけていき、脚立に上り、桃の実を目の前にして袋をかけていると、今自分がかけすぎているのかどうかがわからなくなるときがありました。

 そういうときは、「脚立から降りて、自分が袋をかけたところを客観的に見てみるといいよ」とあんなちゃんが教えてくれました。

 脚立から降りて見てみたり、あんなちゃんが袋がけしたところを見て、学ばせてもらえることが有り難く、難しいと感じるけれど、自分が収穫する実を決める作業でもあるのだと思って、勇気や覚悟、決断力、潔さを持って、桃に向き合っていきたいと思いました。

 そして、あんなちゃんの姿をみていて、一番は桃に誠実に向かうことを感じます。

 あんなちゃんの手入れをみていて、あんなちゃんの真剣さや誠実さに、桃の実は正直に答えているようで、いつも美味しいなのはなの桃が、応援してくださっている方や、なのはなの桃を楽しみにしてくださっている方の笑顔に繋がっているのだと感じました。
 私は、技術や知識はまだまだだけれど、まだ見ぬだれかに繋がる、だれかの笑顔に繋がるように、気持ちだけは桃に届いてくれたらいいなと思います。

 今年の収穫の量は、昨年よりも多くなると、あんなちゃんと以前話したことがあって、あんなちゃんが「桃のことを考えると、緊張するね」と言っていました。
 私もできることを精一杯で頑張りたいです。どんなときも、正直に、誠実に、そして、未来のだれかの笑顔に繋がることを思っていたいです。

 ここまでにします。

 お父さん、お母さん、おやすみなさい。