「一人ひとりが意志をもって」 るりこ

5月9日

○桃の草刈り

 とても気持ちがよい作業でした。
 あんなちゃんと桃メンバーのみんなと、桃畑の草刈りをして回りました。
 摘果が押していて、摘果を進めたい気持ちは山々だけど、草もひどいので、今日は草刈りを優先します。できたら今日で終わらせたいけど、無理だったら明日中までには絶対に終えたいとあんなちゃんが初めに話してくれました。一昨日、昨日と摘果に入らせてもらっていて、一巡目の摘果がかなり押していることを、あんなちゃんの言葉や作業の空気感から強く感じていたので、少しでも早く摘果に入れるように、今日で草刈りが終えられたらいいなと思いました。目標は高いけれど、あんなちゃんの桃に対する思いを考えると、わたしも燃えるようなやる気が湧きました。

 5分でも10分でも作業に早く移れるようにと、朝の当番が終わったら、みんなで急いで草刈り機の用意に入りました。畑作業で2台の草刈り機が出ていて、桃メンバーが8人いて、使える草刈り機の数が限られていたために準備に時間がかかってしまいました。

 午前は開墾26アールと17アールの草刈りに行きました。あんなちゃんとりなちゃんは初めの1時間ほど、桃部会の講習会に出席していたので、その他の6人で進めました。桃の木を境に5畝間あるので、1人1畝間、残り1人は斜面に入り、自分が刈る範囲を事前に決めて、そこを責任をもって刈っていきました。

 個人的には久々の草刈りでしたが、使ったビッグMの草刈り機の調子が良くて、刈り味が最高で楽しい草刈りでした。桃畑は広いけれど、障害物が少ないので、1回の振り幅も広めにとれて、見る見る進んでいきました。自分の範囲が終わった人から、他の子のヘルプに自動的に入っていて、気がつけば後ろをまよちゃんが追いかけてきてくれていて、予想以上に早く終わらせることができました。

 続くように17アールに移りました。ここでも打ち合わせなく、みんなが自動運転で各場所に分かれて入りました。一人ひとりがどこに入るのが適切かを自分の頭で考えていて、その空気感というか、みんなの姿をみて、自分もどこに入るのが適切なのかを頭を使って判断して動けました。1枚の畑を大人数でやるときほど、周りを感じて、自分はどう動くべきなのかを考えていかないといけないのだなと学ばせてもらいました。

 桃畑の中でも最も広い2枚が終わったのが、12時30分。そのまま次は新桃畑に移動しました。畑に着くとすぐに、あんなちゃんが刈る場所の割り振りをしてくれて、
「できたら15分で新桃畑が終わったらいいな」
 と言いました。その言葉にやる気がもっと湧いて、みんなと絶対終わらせようと、さらにハイスピードで草を刈っていきました。
 結果的には3分の1ほど残して時間になってしまったけれど、それでもみんなと15分で終わらせようという必死感で、スピードを意識しながらもゲーム感覚で楽しみながらできた時間がとても楽しかったです。

 午後からも同じメンバーで草刈りの続きがありました。
 午後は二手に分かれようとあんなちゃんが話してくれて、あんなちゃんとりなちゃんチームが新桃畑の続きと奥桃畑、そしてあけみちゃん、ひろこちゃん、つきちゃん、まよちゃん、のんちゃん、わたしの6人が池上桃畑、池上スモモ畑、夕の子畑、石生の桃畑を担当することになりました。草刈りは16時40分には切り上げて、40分からは新桃畑で落ち合って、ラ・フランスの水やりをするという作戦です。
 出発前、あんなちゃんが、
「終わらせたいけれど、それで急いで怪我をすることは絶対にないようにしたいので、無理にでも終わらせようと思わなくていいです。1番は怪我をしないこと」
 と言ってくれました。ついつい気持ちが燃えるあまり、終わらせようという気持ちだけでいっぱいになってしまっていたけれど、それよりも大切なことを忘れてしまっていたことをあんなちゃんの言葉から思い出させてもらって、自分も落ち着いて、スピード感と質を意識した作業をしようと思いました。

 早速、出発して1枚目は池上桃畑に行きました。大人数チームはあけみちゃんが指揮をとってくれて、「ここは1時間で終わらせよう」と目標を設定してくれました。
 あけみちゃんとつきちゃんがスモモ畑に、その他の4人で桃畑を刈っていきました。やっぱり人数がいるとそれだけ進みも本当に早くて、58分で2枚の畑の草刈りが終わりました。自分の範囲が終わった人から助け合うチームワークの良さが嬉しかったです。
 2枚目は夕の子畑に行き、夕の子畑の目標時間は30分間だったのですが、28分で終わりました。1枚目の池上桃畑も2枚目の夕の子畑も、ひろこちゃんが、「このくらい」という時間設定の2分前に終わる、という感じで、ひろこちゃんの読みもすごいなと思いました。
 予定以上に進みがよくて、あんなちゃんから行けたらと言われていた石生の桃畑にも16時前には向かうことができました。石生の桃畑は桃の木がちょうど6本なので、1人1本担当で、木の下とその左右の道を担当して刈りました。
 刈る草丈は、昼食の時にお父さんが話してくださったことを実行して、5センチ残して刈りました。そうすると石にぶつかることもないという利点がありました。

 16時30分には石生の草刈りが終わりました。これですべての桃畑の草刈りを一通り回ることができて、予定以上にハイペースで進みました。
 新桃畑に向かう道中で、あんなちゃんとりなちゃんチームにも出会って、新桃畑で進行状況を伝えることができました。あんなちゃんが笑顔で喜んでくれたことがすごくすごく嬉しかったです。
 終わるかなという作業でしたが、水やりも含めて16時50分には古吉野に帰ってくることができて、草刈り機のメンテナンスも丁寧にできました。最後にあんなちゃんが、「これで明日から摘果に移れます」と言ってくれました。

 夕食の時にあんなちゃんが言ってくれたように、今日の作業はみんなが同じ気持ちで向かって、終始良い空気で進めることができました。わたしもあんなちゃんや桃メンバーのみんなの真剣な空気や、一人ひとりが意志をもって動いている姿に自分も前向きな方に引っ張ってもらいました。
 最後まで怪我や、草刈り機の故障もなく、みんなと最後までやり遂げることができた作業がとても嬉しかったです。わたしも少しでも力になれたらいいなと思います。