【4月号⑭】「美味しいお米ができますように ―― 排水工事で田んぼの準備 ――」 よしみ

 今年も、もうすぐ稲作の季節がやって来ます。なのはなファミリーでも、稲作に向けて田んぼの準備が始まりました。
 良いお米を作るには、水持ちが良く、且つ水はけも良い田んぼであることが大切です。そこで、より良い田んぼにしていくために昨年の田んぼの状態を見て、須原さん、ゆりかちゃん、ふみちゃんと一緒に二日間かけて、二枚の田んぼの排水を良くするための整備を行うことになりました。

 

 

 諏訪新田んぼでは、水はけを良くするために、排水口付近に溜まっていた土をさらったり、余分な水が入ってきてまた排水口に泥が溜まってしまわないようにモルタルで穴をふさいだりして、スムーズに排水できるように工夫しました。溝さらいではふみちゃんと一緒に開墾鍬やスコップなどを使って土をさらっていったのですが、一人だと結構重労働な作業になってしまうけれど、二人でならあっという間にできるし、おまけに楽しいという良いことづくしで、溝さらいしたところから水がサーッと流れていく光景を見ると、気持ちが良かったなあと思います。

 モルタル作りは、ふみちゃんは初めての作業で、私もまだ一、二回ほどしかしたことがなく、作業の最初に須原さんが作り方を教えてくださって、ふみちゃんと一緒に二人でドキドキしながら作業しました。水を入れる加減がすごく難しくて、「耳たぶくらいのやわらかさ」と聞いていたけれど、少しゆるめのモルタルになってしまいました。ブロックとモルタルを交互に積み上げていき、プチ左官屋さんになった気分で綺麗にモルタルを塗って仕上げて行く工程が特に楽しかったです。

■どこまで掘るの ?!

 そして、次の諏訪手前中田んぼでは、先ほどの諏訪新田んぼよりも大がかりな排水整備を行いました。須原さんがミニユンボを使って排水口の不具合があるところを掘っていってくださったのですが、その土の中からは昔使われていた土管や木が出てきました。田んぼの中に埋められていた木は、水を通す暗渠として埋められていて、田んぼの中に枝分かれして埋まっているそうです。また、土管は、排水するためのパイプの役割をしていました。今回の整備では、この土管や木を一度取り出し、新しい排水用のパイプと竹を入れて、再度埋め戻すという作業になることを須原さんが教えてくださりました。

 

 

 土管が埋まっている深さは、掘ってみると何と百三十センチほどでした。最初はいくら掘っても土管が見えてこなくて、「まだかな……。どこまで掘るの?!」と少し不安な気持ちになりましたが、掘り進めていく内に、ようやく土管が見えたときには、自分の肩までがすっぽりと埋まってしまうほどの大きな溝になり、すごくびっくりしました。

 ユンボが届かないところは、ゆりかちゃんとふみちゃんと一緒に三人でスコップを使って人力で掘りました。三人とも溝の中にすっぽり入って作業していたので、端から見たらきっと私たちの頭しか見えていなかっただろうと思います。三人とも服が泥になりながらもただ目の先に見えている土管を取り出すことだけに集中して、必死で掘っていきました。地面の下のほうになっていくに連れて、土がかなりの粘土質になっていったのでかなり手強かったけれど、頑張った分、土管が取り出せたときはものすごく達成感を感じ本当に嬉しかったです。一日目の時点で、埋まっていた土管と木を取り出すところまで終えることができました。

 

 

 そして、二日目も一日目と同じメンバーの四人で午前から田んぼの排水整備を進めました。一日目に取り出した土管が埋まっていたところに、新しい集水パイプや暗渠用の竹を埋め込んでいきます。パイプを設置した上に竹をたくさん重ねていき、その上から再度掘りあげた土を元の状態に埋め戻していきました。そうしているとパイプの先から水がチョロチョロと流れ始めてきて、新しく埋めたパイプが上手く機能していることが実感でき嬉しかったです。

 

■ガッチリ転圧!

 埋め戻した土は、排水口に近ければ近いほどガッチリと上から土を転圧して押し固めると排水がしやすくなることを須原さんが教えてくださりました。そのため、土を二十センチの高さになるくらいまで埋めたあと、タンパーという転圧する機械を使って排水口に近い付近をしっかりと押し固め、再度また土を二十センチほど入れてタンパーで転圧するという工程を何度も繰り返していきます。

 私はタンパーという機械を使うのは今回で二回目でしたが、こういう作業で本格的に使うのは今回が初めてです。それに、一緒に作業していたゆりかちゃんとふみちゃんも初めてだったので、最初は須原さんがタンパーを使って転圧してくださるのを見て、それから三人で交代しながら私たちもタンパーを使わせていただきました。

 溝が狭いため、本来ならUターンしてタンパーを逆方向に移動させるところを、今回は先まで行ったら引っ張ってまた最初の位置に戻しながら転圧していったのですが、タンパーが想像以上に重かったので、引っ張るときはロープを使って三人がかりで引っ張り戻していきました。

 

 

 自分一人では重たくてかなり大変だけれど、三人で一緒に引っ張ると使う力も三分の一になるので、一人にかかる負担が大幅に減ります。
 私がタンパーを使っているときは後ろでふみちゃんとゆりかちゃんが一緒に引っ張ってくれて、二人の力強さにすごく助けてもらいました。転圧しにくい急な斜面もみんなで協力してタンパーをかけることができて楽しかったです。それに、こうして新しく機械を使えるようになることも嬉しいです。

 タンパーをかけた後は、元通りになるように畦を作ったり、土も綺麗にならし、無事に諏訪手前中田んぼの排水工事も完了しました。整備前よりも確実に排水がスムーズになっていくと思うと、本当に嬉しかったです。
 今年も美味しいお米ができるように、私もできることを頑張ります。