【4月号⑩】「育苗ハウスへようこそ!」 せいこ

 

 こんにちは! 育苗部、副部長のせいこです。
 三月から、二〇二三年、なのはな春夏野菜の育苗が本格的にスタートしました。

 育苗部部長は、まりのちゃん。育苗経験や知識をきちんと積み上げてくれていて、今できる一番ベストな手入れについて、いつも共有してくれます。

 育苗部、監督は、まえちゃんです。育苗だけでなく、作付けや田んぼのことなど、畑全般を見てくれています。まりのちゃんと手入れの方向性を決めかねたときは、まえちゃんやお父さんにもに助けを求める。そんなスタイルで、育苗ライフを過ごしております。

■育苗って楽しい!

 そんな私も、「育苗部副部長」なんて言っておりますが、実は、育苗を担当するのは初めて。各野菜の発芽適温や好きな環境を、その都度調べながら、なんとかやっております。みんなで撒いた種を毎日手入れし、発芽したら、なんと嬉しいものか。そして、順調に育って畑へと苗たちが巣立っていくとき。なんと感慨深いものか。育苗ってすごい! 楽しい!

 

 

 育苗部の朝は、七時半の苗出しと水やりからスタート。最近は日中に二十度を超える日が多いので、涼しい環境を好むレタスなどを、朝のうちにハウスの外に出す、という作業をしています。

 これは、毎朝、有志でたくさんのみんなが手伝ってくれます。二十トレー以上あるレタスの苗も、みんなでバケツリレーすれば、ものの五分で苗出し終了。何も言わなくても、当たり前のようにみんなが助けに来てくれて、私は毎日毎日、感謝してもしきれない思いでいっぱいです。

 

 

 毎朝、せっかくみんなが来てくれるんだから、この苗出しを、何かイベントのようにできないだろうか……。そう思って、最近は、七時半から、ウィンターコンサートでの演奏曲『ザ・シード』を流し、感動的なBGMのもとで、みんなで苗を運び、水やりをする、というお楽しみを催しています。

 吉畑ハウスの朝の手入れを終えたら、古畑ハウスに向かいます。こちらは、サツマイモの苗床。
 日中も、発芽適温である二十五度から三十度あたりを保つように、ハウス内のビニールの厚さや、ハウスの巻き上げを調整しています。最近は、種芋から、少しずつ、ピンク色の芽が出始めました。このまま順調に発芽してほしい。頑張ってもらいましょう。

 畑に直播きする野菜でスタートしているのは、ホウレンソウとコマツナ。ホウレンソウは、去年、スプリングコンサートを跨いでの種まきだったので、四月下旬ごろに撒いた三弾や四弾は、発芽適温を超えてしまい、あまりうまく発芽しませんでした。今年はその反省を活かし、三月中にすべて種まき。作業自体もスピード感を意識しながら進めました。

 

 

 種まき後も、発芽まで培土を乾かさないよう、一日二回の水やり。現在六割ほど発芽しています。このまま続々と出てほしいものです……! ホウレンソウは、発芽が少し難しいです。ちょっと手がかかるけれど、その分、愛着がわく野菜だなぁとつくづく思います。

 コマツナのほうはというと、きちんとポイントを抑えて種を蒔いて、種を乾かさないように水やりをすれば、三日ほど経ったら百パーセントと言っていいほど、揃って発芽してくれます。すごい社会性だ。これはこれで、見習いたいものです。コマツナも大好き。

 

■お気に入りの苗

 最後に、私たちそれぞれが選ぶ、お気に入りの苗を紹介します♪
 まえちゃんは、マメ科の苗だそうです。落花生などです。確かに、葉が丸くて、絵本に出てきそうな可愛さがあります。ちなみに、このときハウスにあったマメ科の苗は、絹さや。ほぼ百パーセント発芽してくれて、草丈十センチほどに成長していました。

 

 

 私は、レタスの苗です。なんと、まりのちゃんも同じだそう。嬉しい! さすが私たち、育苗バディですね!
 このフリフリ感がたまらなく可愛いと思うのです。マメ科の苗が「ポップな可愛さ」だとすると、レタスの苗は、なんというか「クラシカルな可愛さ」といったところでしょうか。昔の貴族が着ているシャツのような、クラシカルなフリフリ感。お上品です。

 好きな苗について語っていたときのこと。
「サニーレタスを育てたこともあるんだけど、サニーレタスの苗は、これよりもっとフリフリだったよ」
 まりのちゃんが、こう教えてくれました。ほほう……。ぜひ、見てみたいものです。

■力を合わせて

 まりのちゃんは、自分の知っていることや積み上げてきた経験をすべて教えてくれます。私が苗作りについて、わからないことを一つ質問したら、それに付随してたくさんの情報を教えてくれます。苗作りを自分のものにして、責任を持って全力を尽くすまりのちゃんの誠実さ、純粋さが大好きだし、とっても尊敬しています。

 レタスも発芽が難しいのですが、一弾から三弾まで、無事に九割方発芽し、軌道に乗っております。一弾はそろそろ定植できそうです。
 四月からは夏野菜も続々とやってきます。どの苗もベストな状態で畑に巣立ってくれるよう、みんなと力を合わせて、育苗していきます。

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【コラム】サツマイモの伏せ込み

 古畑ハウスで、サツマイモの伏せ込みをしました。去年収穫したサツマイモの中から、300グラム以上の大きめのイモを集め、約200個伏せ込み、苗を作ります。
 育苗チームのみんなが見てくれて、元気な芽が育っています!