【4月号⑧】「永禮さんと過ごす、特別な日」 ななほ

 

「君の涙を、そして笑顔を、僕はいつまでも忘れないから」
「名もないような花が、命をふるわせて咲いている」

 二月二十七日は、私たちの大好きな永禮さんのお誕生日でした。
 いつも当たり前のようになのはなファミリーへ来て下さり、私たちを助けて下さる永禮さん。
 真夏の暑い日でも、なのはなへ草刈りや水やりのタンク補充に来て下さったり、真冬の寒い日でも黒大豆の脱粒や落ち葉集めに来て下さり、そんな永禮さんの存在が、私たちにとってかけがえのない、力強いなのはなのお兄さんです。
 そんな、永禮さんに感謝の気持ちを伝えたい!

 永禮さんの満面の笑みを心に浮かべながら、永禮さんのお誕生日会を企画し、準備してきました。
 なのはなの桃花を好きでいて下さる永禮さんへ、みんなと桃花の折り方で、黄色い菜の花の飾りを作りました。
 永禮さんのエネルギッシュなパワーを感じながら、黄色と青を基調にしたハニカムボールを作りました。
 二歳のたけひろ君も、永禮さんのお誕生日会がある二週間前から、「ハッピバースデーながれさ〜ん」とことあるごとに歌い、永禮さんが来て下さるのを待ち遠しくしていました。

 

■フラガールとなって

 お誕生日会当日。
 空がキラキラと光って見えるほど、よく晴れて、梅の花が笑ったように咲き揺れる中、永禮さんへ向けて、プチコンサートを送りました。
 一曲目は、『ビューティフル・ピープル』。
 この曲のテーマは「バイタリティ溢れる若々しさ」。
 夏に永禮さんと畑を周り、たくさん汗をかいて、牛肥まきをしたときの躍動感や、心の底から生きていると感じる気持ち、大好きな人と全身で動き、一緒に達成感を味わう時の喜びを感じながら、踊りました。

 いつでも、自分の理想や夢を、誰かに希望を感じさせられるようなことを語れるような人であること。
 『ビューティフル・ピープル』を踊っていると、今の自分がどれだけ未熟であっても、いつか必ず利他心を軸にまだ見ぬ誰かの役にたつ生き方をしたいと思い、力が湧いてきたし、大好きな仲間と、大好きな永禮さんへ向けて踊っていると、勇気を感じました。

 二曲目はゆりかちゃんがソロで踊る『ア・レヴァ』。
 赤の衣装を身に纏い、伸びやかに、淑やかに、それでいて力強く踊るゆりかちゃんの姿はとても美しく、曲が終わると、永禮さんの大きな拍手が鳴り響きました。

 

 

 そして、最後は永禮さんの大好きな『フラガール』。
「大地に光を 果てしない夢を……」
 さきちゃんの歌うフラガールが始まった瞬間、永禮さんが目元にたくさんの光を溜めて、感動して下さっているのを感じて、私もより、
(永禮さんに感謝の気持ちと大好きな気持ちが伝わりますように)
 と気持ちが強くなりました。

 私たち一人ひとりが永禮さんにとってのフラガールとなって踊るこの曲は、本当に私たちにぴったりで、出会うべくしてなのはなファミリーに出会い、出会うべくして永禮さんに出会ったのだという、運命や希望を感じました。
 私は間奏部分で子供組のみんなとウリウリという楽器を手に踊ったのですが、赤と黄色のウリウリが永禮さんのようで、私たちのようで、明るい気持ちになりました。
 最後、永禮さんの元に駆け寄って、お祝いの言葉を言わせていただいたとき、永禮さんがこらえきれずに涙を流されていて、そのくらい、永禮さんに喜んでいただけたり、気持ちが伝わったのが嬉しかったです。

 

 

■セブンブリッジ大会へ

 そして、プチコンサートの後は、セブンブリッジ大会!
 今回は永禮さんのお誕生日スペシャルということで、永禮さん率いる黄色チームが一回勝つごとに、各チームからプラス十点を与えられるという接待ルールと、全チーム共通して、連続勝ちをしたら、その回数分、得点が倍になるという特別ルールが設定されました。

 

 

 私はバディのりなちゃん、ももかちゃんと『肥料撒きリーグ』で戦ったのですが、このリーグにはお父さんや、さきちゃん・せいこちゃんバディ、ひろこちゃん・まちちゃんバディがいて、とても白熱し、場が荒れて盛り上がりました。

 試合開始そうそうに、永禮さん率いる黄色チームのさきちゃん、せいこちゃんペアが二連続で上がり、得点二倍に。
(そんな、負けてなんていられない! 私たちバディの絆を今こそ、発揮するときだ!)
 と思い、次の試合は背筋を伸ばしてみたものの、ひろこちゃん、まちちゃんペアがどんどん上がり、最高記録の四連続上がりをしていました。ということは、得点もどんどん四倍になっていきます。

 

 

 中々、上がることのできない私たちと、お父さんと、ちさとちゃん。
 もう次が前半ラストの試合というとき、あの、試合中もボケとツッコミで漫才のように戦うさきちゃんとせいこちゃんバディが親で一発上がりをしたため、他のみんなは何のカードも出さずに、何の手も出せずに、試合終了。

 その時、私たちは手札に、七とジョーカーを持っていたため、マイナス千六百四十点という大失点となってしまいました。
(これは、罰ゲームな予感……)
 ドキドキの、中間結果発表では、一位が永禮さん率いる黄色チーム。これは、文句なしの結果に、私も嬉しいです。

 

 

 そして、最下位がお父さん、お母さん率いるオレンジチームで、私たち赤チームは最下位の手前。
 どうやら、オレンジチームでは私たちバディよりも大失点した人がいるようで、助かりました。でも、まだ安心できません。四位と最下位の差は小さいようで、気合いを入れて後半戦に入りました。

 

■後半戦と、運命の結果発表

 でも、そのまま最後のほうになっても一向に、得点するチャンスがないまま、何度も、りなちゃんやももかちゃんと床に崩れ落ちては、頑張ろうと意気込んでいたのですが、そのまま、最後の試合に。
「ああ、私たちが罰ゲームをすることになりそうだね」
 そう思い、三人顔を見合わせては、がっくりしていたら、またひろこちゃん、まちちゃんペアが四連続で上がり、試合終了。

 でも、そんな中、私たちにとっては嬉しい奇跡が起きます。そう、隣のお父さんから悲鳴とも、うなり声とも言えない、悲痛な声と、無理に笑った笑顔が見えました。
 ということは、大失点?
 お父さんが、「もう計算できない」といいながら見せてくれた手持ちのカードには、七とジョーカーがあり、私たちが前半に失点した、同じような展開に、四連続上がりは得点四倍という今回の特別ルールも加算されて、マイナス四十倍。
 結果は、マイナス千六百二十点となりました。

 これで、私たちは罰ゲームから免れた可能性が増して、ちょっと元気が出ます。
 そして、実行委員のあゆちゃんが最後の一チームの試合が終わるまでの得点を発表してくれたのですが、オレンジチームと赤チームの得点差は四十点ということで、これはおおいに大逆転が期待できました。

 

 

 そして、お待ちかねの結果発表!!
「一位、青チーム」と聞いた時点で、
(え、永禮さんの黄色チームじゃないの?)
 と思ったのですが、私たちと同じリーグにいた青チームのひろこちゃん、まちちゃんのペアが、今回の大会で一番高得点を出していたようで、黄色チームまでも上回る結果となりました。
 そのため、二位は永禮さん率いる黄色チーム。三位がピンクチーム。
 そして、運命が決まる四位は、
「おー、赤チーム!」
 ということで、私たちは数十点差でオレンジチームに勝つことができ、罰ゲームはお父さんとお母さん率いるオレンジチームとなりました。

 

■特別なワンショット

 なのはなファミリーでセブンブリッジ大会をしてから、お父さんとお母さんが罰ゲームをする姿は一度くらいしか見たことがなく、とても珍しい結果となりました。
 そして、今回はいつも私たちのために美味しいご飯を作ってくださっている台所の河上さんもオレンジチームで戦ってくださっていたため、罰ゲームに。
(こんなにスペシャルな罰ゲームは、見たことがない!)
 というような展開に会場は盛り上がりました。

 罰ゲームは、「今年、永禮さんとやりたいことをワンアクションのポーズで写真になって表現する」というもの。
 河上さんは、「これ、やったことがないから、想像でしかないだけど」と言いながら、見事、『泥んこ相撲』を表現していて、今年はぜひ、永禮さんも河上さんもなのはな泥んこ大会に出場してくださったらいいなと思いました。

 

 

 また、お父さんとお母さんがペアで、『牛肥入れ』と『播種』をしてくださったのですが、お母さんが、「私、牛になろうかと思ったんだけど」と言っていてつい、笑ってしまいました。

 

 

 他にも、ソフトボール大会とか、手植えなどもあり、これからの季節、永禮さんと作業やイベントができる機会がたくさんあると思うとワクワクしました。

 

■春を綴じて

 会の最後には、りなちゃん、ももかちゃんと、みんなで書いたペン画の作品とお手紙を永禮さんにお渡しできて、永禮さんに春をお渡しできたような、ポカポカと温かい気持ちになりました。
 なのはなファミリーや私たちを大好きでいてくださる永禮さん。
 永禮さんが当たり前のようになのはなに来て、作業を助けてくださったり、代掻きや田植え、稲刈りを毎年助けてくださることがとてもありがたいです。

 

 

 いつも力強く、笑っていて助けてくださる永禮さんの大きな力に私も助けられて、希望を頂いています。
 大好きな永禮さんへ贈る、お誕生日会。永禮さんの笑顔をたくさん受け取って、永禮さんに喜んでいただけたことが嬉しかったです。