4月5日(水)「こんなにも同じ気持ちで ――2か月にわたるハウス修繕作業が完了 & 小村さんとの草刈りと溝掃除」

4月5日のなのはな

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 午前中の作業時間で、ユーノス畑のビニールハウスが完成し、2月1日から始まった、雪で潰れてしまったビニールハウス5棟の修繕が完了しました。
 今日の午前中は4人での作業でしたが、須原さんと、主に7人のメンバーで修繕を進めてきました。

 1月24日の夜から次の日の朝にかけて大雪が降った時、この地域でこんなに雪が降るところを私は初めて見て、降り積もっていく雪を見ながら、ワクワクした気持ちでいました。なのはなファミリーにある9棟のハウスのうち、5棟ものハウスがペシャンコに潰れてしまったのを見たとき、なんでハウスの存在に気がつけなかったのだろうと、申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。

 

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〈長いあいだ積もっていた雪がとけだした2月1日。ハウスの解体作業は、大屋根に溜まった雪のかき出しから始まりました〉
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〈ビニールを取り外した吉畑手前ハウスの骨組み〉
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〈古畑ハウスの解体作業〉
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〈グラウンドにパイプベンダー台を作り、歪んでしまったパイプを1本1本、きれいな形に直していきました〉

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 1棟目、須原さんに教えていただいて、吉畑手前ハウスから組み立てが始まりました。須原さんとさせていただく作業は、「こんな方法があったんだ」と今までにない、やりやすい工夫があってとても勉強になります。スピード感がある作業にしていくことが、優しい気持ちの使い方からくることなのだと感じます。

 例えば、パイプを差し込むとき、「あと〇センチです!」とオープンにしたり、1人ではできないときはすぐに声を上げること、作業をする一人ひとりが責任を持って動けるように指示をしてくださいました。

 

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〈2月9日、吉畑手前ハウスの組み立て風景です〉

 

 毎朝の籾摺り機倉庫の集合で、あるとき、「為せば成る」ということわざを須原さんが教えてくださいました。
「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」

 はじめは5棟のハウス完成が程遠く思えていました。1棟目のハウスでは、金具を一通り全部つけたと思ったら、印をつける位置を間違えていて取り外しをすることもありました。だけれどそういうトラブルも、「為せば成る」「為したら成るよ」とみんなで口々に言って、サッと足場づくりに動いていました。

 

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 誰かのミスも、それに気づけなかった一人ひとりの責任としてカバーしていく、前向きで優しい空気感がとても嬉しかったです。るりこちゃんが、
「8人で1つ、みんなで1つ、という感じだった。一人ひとり名前を書いた腰袋をつけて、毎日ハウスに向かうときがすごく嬉しくて、ハウスを守る戦士のように感じた」
 と話してくれました。

 為せば成る、須原さんに教えていただいて、修繕できたことが、どんなことも努力をしていたら必ず成るのだと信じられる体験となって、とても嬉しかったです。

 

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〈2月12日、吉畑手前ハウスの完成!〉

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〈2月25日には、古畑ハウスが、以前よりも広く生まれ変わって完成しました〉

 

 防虫ネットをつけていくとき、ネットが地面についてしまうと草取りをするときにやりづらいので、10センチほど地面より上でとめています。その長さ調節をするために防虫ネットをネットの線の何本目で折るか決めて折っていくのですが、「いち、に、さん、し……」と数えていくと数が分からなくなりました。なつみちゃんが、「私、折っていくよ」と言ってくれて、数えるのではなく、折り線をつけてしまうととても分かりやすくてやりやすくなりました。

 あけみちゃんが、
「自分が苦手なことでも、みんながカバーしてくれて、みんなの気持ちがとても嬉しかった」
 と話してくれました。

 

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 完成後のお祝い会、籾摺り機倉庫に四角く囲んだ形の椅子に座って、メンバーみんなのハウス修繕の中で、一番好きな工程と嬉しかったことや感想を、一人ずつ話しました。

 あけみちゃん、よしみちゃん、るりこちゃん、なつみちゃんの好きな作業は、「妻面のビニール張り」でした。よしみちゃんが、美意識を持ってどこまでも追求する気持ちを持って、一つひとつの工程が終わるごとにみんなで達成感を感じられる時間がとても嬉しかったと話してくれました。妻面のビニールを張ったとき、“スプリング”という留め金で、皺なくピンと張ることができて、それに日が射した光景は、とても美しいなと思います。

 

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〈妻面のビニール張り。美しくビニールを張れるよう工夫しながら進めました〉

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〈3月14日の夕方、完成した崖崩れ下ハウス北棟の前で「LOVE」の4文字!〉

 

 りんねちゃんの好きな作業は、「アーチパイプ立て」でした。5棟の修繕で、りんねちゃんが毎回、さやちゃんとペアでアーチパイプ立てをしてくれました。5棟合わせて110本のアーチパイプがありました。

 

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 さやちゃんの一番好きな工程は、「クロスバーつけ」です。(クロスバーはハウスの頂点で交差する、補強用の筋交いです)
 好きな理由は、
「1本をみんなで協力しないと付けていくことができなくて、一人では無理なところも、みんなでやったらできるんだと感じられること」
 と話してくれました。

 

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 私も、ハウスの修繕をさせてもらう中で、誰かと協力することがとても好きになりました。金具をつけるのも、パイプを立てるのでも1人では難しくて、誰かと一緒でないとできないし、誰かと一緒だと金具を1つつけられたとき、何倍も嬉しいです。助け合うことの楽しさを教えてもらったと思います。
 私の一番好きな作業は「棟・母屋パイプつけ」です。

 

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〈3月27日、4棟目の藁ハウスができあがりました〉
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〈以前よりも美しくなって戻ってきた、崖崩れ畑下ハウス群の風景〉

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〈今日4月5日の午前11時半、ユーノス畑ハウスの大屋根を張り終え、無事に作業が完了しました〉

 

 こんなにも一つのことに同じ気持ちで向かっていける仲間がいることに、感謝の気持ちです。一人ひとりの優しい気持ちから、チームワークができて、作業の時間が毎回、とても楽しかったです。ハウス修繕メンバーのみんなとハウスの修繕をした時間が、宝物だなと思います。

(さくら)

 

***

 

 雨がもって、午前中に畑作業が進みますように――。
 そう願って、迎えた今朝。空には雲が広がっていたけれど、予報通り、午前は雨が降らなそうな曇天でした。この先3日間ほど、雨が続く予報らしく、畑が本格的に動き出したこの時期には痛い雨で、今日の午前は、雨前に畑作業を進めるチャンスでした。

 

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〈半分畑にて、ミズナの植え付け〉

 

 春ミズナの第2弾の定植、レタスの草敷き、ハウス修繕、桃作業……。
 そのなかで、わたしは、地域の小村さんと、そろそろ動き出す稲作に向けて、田んぼの水路の草刈りと溝さらいをしました。

「るりこちゃん、明日、小村さんと草刈りに行ってもらってもいい?」
 昨晩、そうあゆちゃんに声をかけてもらい、久しぶりに、小村さんに教えていただきながらの作業へ行けることが楽しみでした。メンバーはまえちゃんと、ひろこちゃんと、わたし3人。まえちゃんはすでに昨夜の夢の中で草刈りをしていたくらい、気持ちも身体も準備万全だったようでした。

 9時30分から作業は始まり、田んぼの入水元となる池に向かって上がっていくように、水路を辿っていきました。まえちゃんが、水路の両脇の斜面と畦際の草を刈ってくれ、わたしは、まえちゃんのあとを追いかけ、刈り上げた草を熊手ではいたり、水路に溜まった泥や草をクワで上げていきました。刈り残しがあれば、その都度、鎌で丁寧に刈りました。

 

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 事前にあゆちゃんから、「草丈が高くて、少し大変かもしれない」と聞いていました。笹が両脇から伸びていましたが、そのなかをまえちゃんが勇敢に進んでいきます。刈った笹や草をはいていくと、自分たちの後ろに真っ直ぐ続いていく水路と、その両脇に広がる、整然とした美しい小径が続き、その景色を見ていると、見慣れた場所のはずなのに、どこか別の場所へと迷い込んだような気持ちになりました。

 わたしたちの反対側から、小村さんとひろこちゃんが、同じように草刈りを溝さらいをしながら進んできていて、中間地点で行き合ったころに、小村さんから、「休憩しようや」と声がかかりました。刈ったばかりのスペースに4人で腰をおろし、お話をさせていただきました。

 小村さんから、この雨が終わったら、気温がぐんと下がって霜が降りるため、発芽したてのジャガイモの芽が霜でやられないように刈草を敷いた方が良いぞ、と教えていただきました。田んぼのことだけでなく、畑の作物のことまで気にかけてくださり、小村さんが経験を積まれてきて学んだ知識を、わたしたちにも惜しみなく伝えてくださることが、とても有り難いことだと感じました。

 こうしてご一緒に作業をさせていただく機会は、私は少ないけれど、少し言葉を交わしたり、お話をさせていただくたび、小村さんの温かい人柄を感じます。なのはなファミリーのことを応援してくださる地域の方との繋がりがあって、わたしたちが畑や田んぼをできるのだと改めて感じました。

 休憩をしていると、ぽつぽつと小雨が降ってきました。「雨だな。降る前にやろうや」。小村さんの言葉に、みなが一斉に立ち上がり、それぞれの道具を持って、持ち場へ駆けていきました。生い茂った木々が程よく雨を遮り、作業を継続することができました。

 

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 後半に行くにつれ、刈る草や笹の量が増えていきましたが、雨が本降りになる前に少しでも進めようというやる気の方が勝って、小村さんとまえちゃんの草刈りの勢いも追い上げにかかっていました。水路に溜まっていた土をクワでさらっていくと、押し止められていた水が流れ出し、細い水路をすーっと音を立てて流れていく様は、小径に向かって小さな魚の群れが走り出していくように見えました。

 雨が本降りになりだした頃、草刈り機のエンジン音がピタッと止みました。小村さんとまえちゃんが行き合った知らせでした。
「あと30分で終わろう」。ラストスパートは全員で熊手を持って、刈った草を除けていきました。昨日に小村さんが前倒しで少し進めてくださっていたことにも、とても助けられました。だんだんと前方に小村さんの姿が見えてきて、それからひろこちゃん、まえちゃんと続き、離れた場所にいた4人が同じ場所で出会いました。

 

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「12時だから、帰ろうや。あと少し残っているけど、それはまたいつでも、午前でも午後でも、何人でもいいから、またやろうな」
 小村さんがそう言い残して、出発されていきました。雨脚も強まっていたので、今日の作業は解散になりましたが、進みとしては切りの良いところまで終わらせることができ、小村さんも「良かった」と喜んでくださっていました。

 

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 帰り際、自分たちが刈った水路の道を辿ると、すっきりした小径が水路に沿って伸びていて、小村さんと、まえちゃんと、ひろこちゃんと4人で、ここまで刈ったんだなと思いました。

 田んぼの季節が始まる前の準備が整い、この夏も小村さんが田んぼの水入れのことや、草刈り、溝掃除のことをたくさん教えてくださるのだと思うと、嬉しい気持ちでいっぱになります。そして雨が本降りになる前に、やりたかった畑作業がたくさん進められてよかったです。

(るりこ)

 

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〈雨の午後は、『ザ・グレイテスト・ショー』のダンス練習や、ハウスの作業で使った道具の片付けなどを進めていきました〉