「桃にも心、わたしも心」 みつき

3月14日

●桃にも心、わたしも心

 今朝は霜がびっしり降りてきていて、久々の白い景色でした。それも、すぐにお日様の光で解凍されて、溶けてなくなっていきました。

 今日も、桃の摘蕾をしました。
 夕の子畑に入ったのですが、『さくらピーチ』の桃の木に取りかかっていると、「蕾がなんだかぽろっと取れにくいかも?」と感じました。
 よく見ると、その蕾は、他の木と比べると一段と大きくて、ふっくらまるまるしていました。蕾をさらによく見ると、もう、あのピンクの桃の花びらが見え隠れしていました!

「もう、すぐにも咲いてしまいそうだね」と、ななほちゃんに話しかけると、
「そうだね。『さくらピーチ』は、1番くらいに咲くのが早いからね」と、教えてくれました。
「え? 収穫の時期は1番遅い、晩生の品種なのに?」
 わたしは、初めて知った事実で、びっくりしてしまいました。
 1番乗りで花を咲かせてしまって、そこからはゆっくりゆっくり実を成熟させていって、甘くなっていくのだと思うと、なんだか物語の「うさぎとカメ」のうさぎみたいで、マイペースな感じがかわいらしいなあと思いました。

 以前、あんなちゃんが、
「『清水白桃』の桃の木は、気むずかしいところがあるけれど、味は桃の女王さま」
 と話してくれていたことを思い出しました。
 こうやって、桃によって性格があるんだなあということを実感させてもらえて、すごく面白くて、楽しかったです。
 今日で古畑の桃の木も終わって、桃の摘蕾の1巡目がすべて終わりました。
 ここまで大胆に蕾を落とすことができるのは1巡目だけだし、大人数のみんなと桃の木をつぎつぎ廻った時間が、とてもうれしかったです。

 昼食には、スペシャルメニューの、三色丼が並んでいました。
 炒り卵、肉そぼろ、桜でんぶの3色です。その桜でんぶのピンク色は、さっきちらりと見えた、桃の花びらのピンク色でした。
「あ、また会えたね」と、2人だけの秘密を共有したみたいだったし、美味しくて、頂けてありがたかったです。

 午後に、山畑の畝立てをしてきました。
 明日、春じゃがいもの植え付けをするとのことで、じゃがいもを植える穴も開けてきました。そこで「穴開けスピード選手権」をまえちゃんが開催してくれました!
 この間、お父さんから教わった「ワンアクション」を意識して、クワを振りかざして、一発で穴を掘る気持ちで動きました。すると、ざく、ざく、ざく! と、思いのほか早く進むことができました。

 しかし、やよいちゃんの驚異的な速さには勝てませんでした……! みんなで、1位のやよいちゃんの穴開け方法を見せてもらって、真似しながら穴開けをしてみました。
 やよいちゃんは、1発で穴を掘っているのはもちろんだけれど、そのステップが特徴的でした。うさぎが横歩きしているような足のステップで、みんなでぴょこんと跳ねながら進んでいくさまは、かわいくて楽しかったです。
 そして穴開けは2分間で終了! スピード感のある作業は、本当に気持ちがよかったです。

 帰り道、やよいちゃん、ももちゃん、りなちゃんの3選手が、下り坂でかけっこをしていました。畝立ての疲れも何もなかったように、発射したロケットのごとく走っていく3人が、とっても楽しそうで、笑顔がきれいでした。
 その姿から、身体が楽か疲れるかとかじゃなくて、自分の心を楽しませたい、みんなと楽しみたい気持ちの方が勝っているんだろうなあと感じました。
 わたしも、身体じゃなくて心で生きているんだと思い直して、明日も、自分にできることを頑張ります!
 おやすみなさい。