【3月号⑨】「一本に幸せを込めて ―― 福を呼び込む節分の日 ――」さき

 節分の日。今年の方角に向かって、食べる恵方巻。なのはなでは一本一本を手作りで作っています。

 恵方巻づくりの日。河上さんが、作り方を一からレクチャーしてくださいました。

 寿司のりに、酢を指でパパっと散らし、酢飯を広げます。そこに、卵焼きときゅうりを載せ、かんぴょうと干しシイタケと仕上げに桜でんぷをかけて……。具を載せただけでも、豪華で、見ていると満たされた気持ちになりました。

 黄色、緑、茶、ピンクと色鮮やかな断面がきれいに見えるように、まきました。

 つい具を入れすぎてしまいそうになったけれど、案外巻くとコンパクトになって具沢山でおいしそうだと思いました。
  
  
 巻きすで巻くとき、親指を巻きすの外側に添え、ほかの指でまいていきます。言葉で言うのは難しいけれど、ほかの指を親指に近づけるようにしてまくと良いと教えてもらいました。

■職人気分で

 巻きすを外すと、きれいに筒状となった恵方巻が姿をあらわしました。

 五十人前の恵方巻がずらっと並ぶ様は、すごい迫力で、これが誰かの手に届くのかと思うと、ワクワクしてきます。思わずほおずりしたくなってしまうほど、美しいかたちになって、うれしかったです。自分が恵方巻職人になったような気分で、思わず一本作るたびに自己肯定したくなりました。やはり一番幸せな瞬間は、最後にすべての具材を巻くときで、さあ、行ってこい! という気持ちで、具を一気に包み込むときの感覚は、何とも言えないです。

 夕食には、丸々一本をみんなで食べました。この一本の海苔巻きにみんなの幸せが詰まっていて、なのはなに福が訪れることを祈りながら、おいしくいただけてうれしかったです。
  

今年の恵方、南南東を向いて恵方巻きを頂きました!

 

 夕食後、待ちに待った豆まきです。なぜ、待ちに待ったかというと、豆まきに使う白大豆を毎日、選別してきたからです。

 白大豆の選別をするなかで出た豆まき用の豆を、この日のためにみんなに思う存分投げてもらえるように用意しました。なのはなでは、各部屋ごとに人をわけて、全部屋に豆まきをします。

 お父さんとお母さんがデモンストレーションを見せてくださり、お父さんが鬼、お母さんがお福さんのお面をかぶり、鬼は外、福は内をしてみせてくれて、それがみんなに大うけでした。まさか、お面をかぶってお父さんとお母さんが登場するとは思ってなくて、びっくりしたけれど、節分らしくてうれしかったです。

 みんなで豆まきをしよう! ということで、さっそく豆を持って各部屋へと走ります。
  
  
 「鬼は外、福は内!」という掛け声が、校舎中に響き渡ってきます。勢いあまって、豆でずっこけそうになったり、人に当てちゃったりとかもして、わいわいやりながらの豆まきが楽しかったです。

 豆まきは一瞬だけれど、それだけで幸せが訪れたような感じがします。

 邪気を払い、福を呼び込んで、今年一年もなのはなファミリーに幸福が訪れますように。

 こうして、みんなで一つのイベントにむかって、何かを作ったり、やったりすることで、思い出深い、濃い節分の日になりました。