「全員揃って」 るりこ

3月7日

○アーチパイプ修繕完了

 今日、崖崩れ北ハウスのアーチパイプの修繕が完了しました。
 崖崩れ北棟のアーチパイプ全66本(33アーチをジョイント部分で雄と雌に分けるので、×2で66本)+妻面のアーチパイプ4本と縦のパイプをそれぞれ7本ずつ、そしてクロスバーで、本当にたくさんの量がありました。(あとから、藁ハウスのアーチパイプも混ざっていたことが判明したので、実際は66本以上ありました))

 スタートしたばかりの頃は、グラウンドに山積みになっているパイプたちに本当に終わりがくるのか、やってもやってもなかなか減らないような気もしていて、途方に暮れてしまうときもありましたが、やっぱり何でも終わりはくると思いました。
 今回、雪でハウスがつぶれて落ち込んでいるときに、須原さんが何度も、「為せば成る、為さねば成らぬ何事も」とおっしゃってくださいましたが、ここまでハウス修繕をしてきて、その言葉の意味を感じたのは今日で三度目でした。改めて、やったらできないことはないのだと思いました。

 アーチパイプの修繕は、全部で4工程に分けられ、それぞれ4チームに分かれて、各工程を担当してやりました。
 わたしとなつみちゃんペアが第一工程の修正、あけみちゃんとよしみちゃんが第二工程の修正、さくらちゃんが溶接、りんねちゃんとさやちゃんが錆止めのペンキ塗りの最終工程です。

 第一工程では、ジョイント部分から折れ曲がりのひどい肩の部分までを修正しました。常設の台にアーチパイプの正しい形の線を引いて、その上にパイプを置きます。ビスを揉んである当て木をところどころ必要な部分に打ってポイントにして、内に折れている場合は引き、外に広がっている場合は押して、パイプの歪みを細かく修正していきました。

 主にわたしが折れ曲がりをみて、必要箇所に当て木を打っていき、なつみちゃんがパイプを押したり引いたりしてくれました。わたしの声かけで、「押します」「引きます」「もう少し強く」「はい、ストップです」を合図になつみちゃんが押す力を強めたり、押しを止めたりしてくれました。なつみちゃんの力の加減がちょうどよく、基本的には行き過ぎを抑えるために控えめの力から始まって、徐々に強めていってくれたのですが、折れ曲がりが酷かったり、歪みのスパンが短い箇所は相当な力が必要でした。そんなときなつみちゃんが力を思い切り出して押してくれて、自分だったら絶対にできなかっただろうなという部分でも、なつみちゃんの力の強さで歪みを修正することができて、その度になつみちゃんの持っている力や、出し惜しみをしないところがすごいなと思いました。

 本数が増えていったり、時間が経つごとに2人の息も合っていくのを感じました。また、力を加えたら、それに反発する力が作用して、その反発がパイプのどの辺りに生じるのかもわかってくるようになって、1本にかけるスピードが速めていくことができました。速いものでは3~4分で修正できるものもありました。
 やりながら、なつみちゃんとどんどん良くしていけました。金とこの置き場所を定位置にしたり、次のパイプに移る前に台の上をきれいにしておくこと、他にもなつみちゃんがわたしが台の上に上がりやすくなるようにとブロックで踏み台を作ってくれました。

 道具の配置を決めると、使いやすさだけじゃなく、自分たち自身も動きやすくて、また2人の中で歩くルートも自然と固定されて、一本ごとにパイプの歪みは違うにせよ、それ以外の動きややり方はマニュアル化されていきました。

 そしてお互いに、「ナイスストップ」とか「ナイス力加減」というように声かけをしていて、見本の線に一発でぴったりはまったときには、「ナイスー!」と口を揃えて言いました。そうやって褒め合っていると、なつみちゃんとの気持ちも揃っていくのを感じて嬉しかったし、毎日同じ作業の繰り返しでも飽きることがなく、むしろ今日はどれだけ本数が稼げるかという意欲になりました。1番多かった日では、2時間半で23本も修正することができました。

 わたしたちが第一修正をしたものは、隣の台のあけみちゃんとよしみちゃんの元へ運ばれて、第二修正が行われます。わたしたちのなかでは、『第2オペ室』と呼んでいました。
 第二修正では、完全に折れ曲がった肩から地面に差してあった先端部分までを直します。ここでは人間の力だけでは絶対に押すことも引くこともできないので、『ベンダー』というテコの原理を利用した道具を使いました。わたしはこの道具をなかなか上手く使いこなすことができないのですが、あけみちゃんがとても上手で、見てすぐにどこに当てて押すのか引くのかということを判断していました。
 ここで完全にパイプの形が整って、さくらちゃんが待つ溶接会場へと運ばれていきました。

 各チームで分担されて動いていたけれど、1本のパイプをみんなの手によって修復していっているなかで、みんなの気持ちも1つになっていることを度々感じることがありました。
 例えばわたしとなつみちゃんが、「やった、20本目」と言っていると、隣のあけみちゃんたちもが、「すごーい!」と一緒に喜んでくれたり、力が必要なときはすぐに駆けつけてきてくれて、快く手を貸してくれました。

 また、途中からりんねちゃんとさやちゃんは現場に行って、できあがったアーチパイプを立て始めてくれていて、グラウンドにいるチームと現場チームと二手に分かれて作業をしていました。でも17時になって作業が解散するのは、現場チームのりんねちゃんとさやちゃんが帰ってきて全員揃ってから、というように、誰が言うでもなく、みんながお互いを気にし合っていて、「そっちどうだった?」というように結果報告もみんなでしてみんなで喜ぶ、というのが、とても良いチームだなと感じて、わたしもその1人でいられることすごく嬉しかったです。

 明日からは全員揃って、現場入りです。もしかしたらばらばらで現場入りになってしまうかもしれないと思っていましたが、今日みんなでアーチパイプを修繕したので、全員揃って行けることが嬉しいです。
 崖崩れ北棟には3月15日前後にレタスがくるそうなので、それまでにハウスが立つようにしたいと、さくらちゃんが教えてくれました。ハウスの面積的にはなかなか手強いと思いますが、ここまで2棟をこのメンバーで建ててこられたので、反省も活かして、スムーズにいくようにできたらいいなと思います。