【3月号⑥】「新システムで進む!桃の冬剪定」つき

  
 一月末の大雪で、暫く桃畑から足が遠のきましたが、雪が解けて畑に行くと、桃の蕾も一段と膨らんできているように感じました。

 二月に入り、少しずつ陽が伸びてきて、暖かさも感じられるようになってくるなか、桃の冬剪定を着々と進めています。

 桃の樹は基本的に三本主枝になっていて、一人が一本の主枝を担当し剪定ます。あんなちゃんがこれまで教えてくれたことを元に、どの枝を切るべきかを考えて目星をつけてから、あんなちゃんに見てもらうという、答え合わせ方式で進めました。

 毎回あんなちゃんが、簡潔で分かりやすい説明を交えながら教えてくれるので、自分のなかでも根拠を持ちながら積み重ねていくことができます。

 あんなちゃんの説明を聞くと、あんなちゃんが桃の未来のことを深く広く見て、緻密に考えていることを感じます。今できる一番良い形を目指して、素早く潔く判断していくあんなちゃんが本当に格好良いな、と思います。 

■整っていく桃の樹

 冬剪定も夏剪定と考え方は同じで、まず主枝の先端がどれかを見極め、競合してしまう枝や内向枝を落とし、枝同士の重なりを解消し、垂れている枝は地面と水平くらいのところまで詰めます。さらに、夏剪定で途中まで切り落とした枝や、下枝や枯れ枝など、細かい枝も切って整理していきます。

 夏剪定は割と大胆ですが、冬剪定は細かいところも多いので、違った難しさを感じます。
  
  
 でも切るたびに整っていく様子は、桃の樹にとっても気持ちよさそうに見えました。私も気持ちがスカッとして、きれいに整えられた桃の樹を見ると充実感に満たされていきます。 

 あんなちゃんが長い枝を指し棒にして、ピンポイントで切る枝を指してくれます。「ここの目の上で切る」とか、「ここから先を切り落とす」というふうに、枝の途中で切ることも多く、本当によく見て覚えておく必要があります。

 一回の説明で十か所くらいは覚えなければいけないので、記憶力のない私にはとても難易度が高く、毎回緊張しました。

 覚えなければ! と思うと余計に覚えられず、集中力が切れてくると切り忘れの枝が続出……。あんなちゃんが再度教えてくれることもありました。

 一か所でも太めの枝を必死に切っていると、パッと次の枝を忘れてしまって一人で一瞬途方に暮れてしまうことも……。そして一番ショックなことが、切る枝を間違えてしまうことです。私も二,三回間違えてしまいました。

 特に大きな枝を間違えてしまったら死活問題になることもあると思うと、ダメージが大きく、とても申し訳ない気持ちになりました。そんな失敗を改善するために、新たな方法をお父さんとお母さんが考えてくださいました!

 紙をまとめるつまみ式のクリップを印として切る枝に付けて、視覚的にわかりやすくするという方法です。印として目立つように、クリップに十五センチほどのスズランテープを事前に結び付けておきます。それを使って、自分の担当する場所の切るべき枝、切るラインにピンポイントでクリップを挟んでいきます。
  
  
 ある程度、一通り見て印をつけられたら、あんなちゃんに見てもらって、修正すべきところはクリップを移動したり取ったりして修正してもらい、あんなちゃんのOKが出たら、切っていきます。

■全部が明確に

 この方法は、忘れてしまったり間違えてしまうリスクがないという利点だけではありませんでした。自分で印をつけることで曖昧さがなくなり、自分の考えをはっきりとさせることができます。
  
 間違いも正解も、分からないところも、全部が明確になりました。あんなちゃんにOKをもらえると、自信にもなっていきます。
  

1本1本の樹の品種・樹齢が一目見てわかるように看板作りもしています

  
 格段に切るスピードは上がって、全体の進みも少し速くなったように感じます。
 自分の考えることに対してより責任を持つこともでき、確実に学べて積み上げていける、とても良い方法です。
  
 まだ始めたばかりで、現時点では考えて印をつけるのに時間がかかってしまうので、素早く印付けもできるようになったら、もっとスムーズに進むのではないかと感じています。
  
 そろそろ摘蕾の時期にも入ってきて、ミーティングとも同時並行で進めていくことになるので、少し焦る気持ちもありますが、新しい方法でよりペースアップできるように、時間を大事にしながら頑張りたいです。