まだ畑作業が本格的に始まらない二月、私たちは心の傷に向き合う旅に出発しました。
なのはなファミリーの活動において、畑、音楽、スポーツに続く四本目の柱であるミーティングの始まりです。
何が苦しかったのか、何が不安だったのか、幼い自分に向き合う旅。薄暗くて、風が少し冷たい、そんな手探りの旅。
一人では心細いから、バディの人と手を繋ぎながら、一歩ずつ進みます。グループのみんなと道を確かめながら、前だけを見て進みます。
そして、お父さんとお母さんに道を示してもらいながら、確実に前に進みます。
今回のミーティングは、摂食障害から回復するための要になる三つの大きなテーマを合体させ、それらが凝縮されたものです。どの工程も欠けてはならない大切なものです。
■どこまでも理解すること
また、今回のミーティングで力を入れているところは、〝フォローとレスポンスの充実〟であり、こってりと向き合い、一人では見つけられないところは手を取り合って見つけていく、ということです。
新しいことも多いですが、絶大な効果を発揮しながら、今なお少しずつ積み上げていくことができています。
鍵は、〝理解すること。
ミーティングを進める中で何度もお父さんが話してくれました。
自分の中の未解決問題、不安、心配をどこまでも理解すること。
何がわからないのか、それがわからないからこそ、わかるということは難しいです。また、自分の奥底に眠っている気持ちに向き合うことは、とても怖いです。小さいころからずっと固く握りしめてきた、自分を守るための盾を手放して、心を裸にすることは、とても勇気のいることだと感じます。
しかし、みんなと一緒に向き合っていく中で、自分の背中を押した大きな気持ちの変化がありました。それは、「わからないことや、なかなか前に進めないことは、ダメなことや恥ずかしいことなんかではなくて、そのことは貴重な材料になる。宝であり財産である」ということです。
一般論や、偶然を見つけたいのではない。
どんな気持ちを抱えている人も、どんな過去を抱えている人も、どんな悩みがある人も、必ず回復できるように確かなノウハウとして完成度を高めていきたい。
お父さんはそういう気持ちで私たちに向き合ってくれていました。
自分では恥ずかしく思って封じ込めていた心の引っ掛かりにヒントがあり、それらを一つひとつ分析する先に答えがありました。
思ってはいけないと思っていたその引っ掛かりは普遍的なものでありました。勇気をもって、自分の皮を一枚ずつ剥いていくたびに、新たな発見がありました。
何度かのミーティングを経てなお自分がつまずいていたものを、ちゃんと自分の手で取りだしてみたあと、それを理解し、癒していく過程。自分はこれで困っていたんだ、と、自分自身がわかって言葉になっていくこと。
次の人に繋げる自分のサクセスストーリーができていくことを感じ、そのことが嬉しかったです。
■まだ見ぬ人へ繋げる
誰かが同じように困ったとき、自分はこうしたよ、と言える体験を、一つひとつ噛みしめながら蓄えていけることが本当に嬉しいです。
苦しくても、つらくても、命が絶えそうになっても、それでも生き延びてきたのは、偶然でも何でもなくて、運命で、まだ生きるべき使命があるからだと思います。
何かをするために生きるべくして生かされていることを決して忘れず、それに見合う心と身体を作っていけるように、真剣にミーティングに向き合っていきたいです。そして真剣に、毎日に向き合っていきたいです。