【3月号②】「遊びと、手際の良さ ―― 「御米~豆」の第二弾 味噌作り ――」せいこ

  
 第一弾メンバーによる「ぱわふわちゃん」が、無事、味噌蔵で眠りについたその翌週、家庭科室には、新たな味噌づくりメンバーが集結。

「第二弾のみんなは、『お姉さんメンバー』だね」
 第一弾は、子供組さんが多かったこともあり、図らずも、「お姉さんメンバー」になった私たち。

 ゆりかちゃんのこの一言で、私たちは、糀を育むお姉さんとして、「大人の糀づくり」に励むことを誓いました。
  
  
「写真も、いつもと違うポーズで撮りたいんだ」
 普段は、写真に写る際、手を顔の近くでパーにするポーズをとることが多い私たち。

「写真も大人っぽく、ちょっとセクシーなポーズでいこう」

 まさか、ゆりかちゃんからそんな提案が出るとは。思わず笑ってしまいましたが、ノリの良い第二弾メンバー。初日から、オトナのポーズとは如何なるものか、考えながら、家庭科室をセッティングしていました。あまり自分たちの中に「オトナ」の引き出しはなかったのですが、育苗機を背に、みんなで、ポーズを決めました。はい、ポーズ!

 ……もはやセクシーとは何だろうか。楽しかったので良しとしましょう!

 第二弾メンバーの大きな特徴、それは、「ものすごく仕事が速い」ということです。
 二日目、糀を種付けするための米を蒸す作業、「蒸米」の際は、しなこちゃんとゆりかちゃんが蒸籠について米を蒸してくれていたのですが、全てのお米が、理想とされている固さの「ひねりもち」に蒸しあげてくれました。
  
  
 そして、他のメンバーで、ベストコンディションで蒸しあがった米を、次々と冷まし、手早く糀を種付けして引き込みを進め、なんとも美しい作業の流れが出来上がっていました。これぞ、「大人のスピード感」です。

 手早さと共に、確実に糀がお米に行き渡るようにも意識しました。安定感抜群のチームワークで、引き込みが完了。いよいよ、糀の見回りがスタートです!

■楽しみながら、確実に

 糀の見回りは一時間ごと。日中と、夜中も交代で見回りに行きます。味噌作り期間の音楽室での寝泊まりは、非日常感があり、ワクワクします。私はひろこちゃんとペアで、夜は、十一時、深夜一時、そして早朝の五時が見回りでした。
    
 連日早朝から手入れをしているので、夜は、寝過ごしてしまいそうで心配だったのですが、ひろこちゃんが、毎回、アラームが鳴るよりも早く目を覚ましていて、私を起こしてくれました。

 アラームの一歩先をいくひろこちゃんの体内時計に感動しました。他のペアのみんなも、夜中に確実に見回りをしてくれていて、徹底した温度管理の中、順調に糀が育っていきました。
  
  
 三日目の夜、二番手入れの際。私たちの育てているこの糀たちに、まだ名前をつけていないことに気がつきました。そして、私たち、味噌づくり第二弾メンバーのチーム名も、まだ考えていません。

「やっぱりここは、お姉さんっぽい名前が良いよね」
「第二弾は、黒大豆味噌と白大豆味噌、どっちも作るから、黒と白が入った名前が良いよね」

 そんなことを話しながら、みんなで名前の候補となるものを挙げつつ、手入れをしていました。

 夜も更けた頃だったからか、みんなの名前の候補となるアイデアが止めどなく出てきて、それがいちいち面白く感じ、終始笑っていた、二番手入れでした。

 しかし、手元は確実。
「あ、せいこちゃん、濡れ布巾絞っておいたから、これ使ってね!」
「米がなるべく散らばらないように成形しようね!」

 きちんとした手入れにするべく、こうした声掛けも決して忘れない。 
 ユーモアと、誠実さを兼ね備えた頼もしいメンバーに、何度も助けてもらいました。

■『御米〜豆』

 チーム名は、悩んだ挙句、「御米〜豆」に決定。読み方は、「およね〜ず」。

 ひろこちゃんが提案してくれたもので、味噌づくりに欠かせない「米」や「豆」も入っているし、私たちのキーワードである「お姉さん」の「ねえ」も語呂に入っています。なかなかに素敵なネーミングセンス。漢字にすることで、古風にもなって良いかと。ちょっとベテランアイドルっぽい響きにしたいので、発音も「キャンディーズ」と同じ抑揚で読んでいただけると幸いです。

 糀の名前は、四日目の早朝、仕舞仕事が終わった後に決まりました。白大豆味噌になる糀は、「白百合 米花(しらゆり べいか)」と命名。ちょっとお嬢様育ちのお姉さんといった感じでしょうか。「米花」を一つの漢字として読むと、「糀」になります。

 黒大豆味噌になる糀は、「味噌川 黒美(みそかわ くろみ)」。なんとも美しい名前。別嬪なお味噌になってくれそうです。

 残すは出糀のみという、最終段階でやっと名前が決まりました。

「今回の味噌づくりで一番苦労したのは、糀の名前を決めることだったかもね」

 そんな冗談を言いながら、寝床につきました。それだけ、他の手入れや見回りは、みんながきちんと出来ていたのだな、と思うと、誇らしい気持ちにもなりました。
  
  
 糀づくり、最後の作業である出糀では、写真撮影にも力を入れました。無事に美しく仕上がった糀を背に、様々なポーズで記念撮影。この「御米〜豆」メンバーで活動できるのも、残すは、あと一日。

 そんな寂しい気持ちを表現するために、メンバー全員が、三角巾で涙を拭うポーズで撮影をするなど、ひとしきり写真を撮りました。そのあとは、またまた一丸となって、手早く片付け。

 全力で楽しみ、全力で良い仕事をする。そんなメリハリの効いたこのメンバーが本当に頼もしかったし、その空気感が、何よりも「大人」だなあと感じました。
  
  
 最終日の味噌玉づくりでは、私は初めて白大豆を大鍋で煮る作業をしました。家庭科室では、なるちゃんや、ななほちゃん、ほしちゃんたちが、味噌玉を作りに来てくれるみんなを誘導してくれていて、この日もチームワーク抜群でした。味噌玉作りの前座として、みんなに糀の紹介もしました。これでみんなも、私たちの糀の名前をばっちり覚えてくれたことでしょう!

 黒大豆で味噌玉を作ると、白大豆よりも、とてもしっとりとしていました。まとまりやすいので、まえちゃんやみつきちゃんは、ひよこ饅頭のような味噌玉を作ってくれたりもしました。さすが、器用なお二人。夜には、なるちゃん中心に、この味噌づくり期間の手入れで良かったことや、来年改善すべきことなどを話し合い、まとめ資料も作成しました。
  
  
 最終日まで、ずっと、ずっと充実していた味噌づくり期間でした。サービス精神旺盛で、何事にも全力、そしてとことん真面目な「御米〜豆」のみんな! すごく楽しい五日間でした。ありがとう!