【2月号⑭】「激録! 洗濯警察二十四時! ―― 服収めみつひことして、洗濯事件を解決!?――」みつき

  
 「わたしたちの使命」。ウインターコンサートが終わってももちろん、わたしたちには、使命があるのです。具体的には、大晦日の夜。二〇二二年NHF紅白歌合戦で、表現する!そんな、大きな使命です。

 さて、何を表現するのか、何を伝えて笑わせ、泣かせたいのか…。そこで、これしかない、と気がつきました。ついに我々、「古吉野洗濯警察」の存在を明らかにすることだと!

 ……え? 知らないって?

 古吉野なのはなの皆さん。洗濯物は、裏返しに脱いでいませんか?洗濯物に、名前書いてありますか?共用の回収箱の洗濯物、溜めてないですか?

 大家族で生活するということは、洗濯物にまつわる事件が多く発生するリスクも高まる。これらの洗濯事件に対する、我々の警察活動はどのようなものなのか。事件の最前線で、我々が一体どのような働きをしているのか。

 それを伝えることができるステージこそ「激録!洗濯警察二十四時!!」なのであった。

集まった捜査員は、油性田やよい。かごの底せいこう。籾摺り与作。畳み坂りさ。そして私、服納めみつひこ。本番まで十日間、寸劇と替え歌の練習を共にした。

 我々が掲げたテーマは「緻密に、真剣に」。今まさにこの場所で起きた事件かのように再現すべく、その演技や小道具などの作り込みに念を入れた。
  
  
 実際の現場に足を運んだりしながら、扉のつくりや物の配置など、忠実に再現しようと試みた。分かりやすくなるならと、小道具を制作したり、実際の衣服を持ち寄ったり借りたりもした。リーダー、油性田の演技指導にも熱が入った。我々に妥協というものはなかった。

 もちろん、始めは難しさを感じたり、凹んでしまうこともあり、我々一人ひとり、迷いを感じることもあった。でも、絶対にみんなに伝わるステージになると、心の底では分かっていた。このメンバーならばやり遂げられると、確信していた。

 畳み坂りさことりさちゃんは初めての紅白出場であったが、不安を見せず、同じ目標まで、一緒に走り続けてくれた。かごの底せいこうことせいこちゃんが、脚本や歌詞、使う小道具のリストなど、すべてまとめてくれた。

 与作ことさくらちゃんが「はい!」と返事して、田舎訛りも堂々と演じてくれた。

 油性田ことやよいちゃんが先頭に立って「洗濯警察」を求め続けてくれたから、ここまで作ることができた。

■洗濯警察二十四時!

 いよいよ本番のときが来た。ステージ上への小道具のセットに、会場をお待たせしつつも、会場の外で円陣を組む捜査員の我々。もうとにかく思い切りやろう、と笑い合った。

「激録! 洗濯警察二十四時!!」ナレーションの台詞で会場へ飛び込むと、どっと笑いが起こった。劇が止まりそうになるくらい、みんなの笑い声や歓声、たくさんのリアクションが返ってきた。

 私はなのはなのみつきちゃんではない。洗濯警察の間でゴッドアイと呼ばれる、服納めみつひこなのだ。そうはっきり感じられて、何をしていても気持ちよくてたまらなかった。みんなの反応があるから自分が表現できるのだと、ありがたかった。

 ステージが終わって捌けてから、やり切った気持ちでいっぱいになった。あちこちで「自分のことだとドキッとした、面白かった」「明日から洗濯物、気にかけたい」と言っている感想も聞こえた。

 ちゃんと我々の思いは伝わっていて、楽しんでもらえて、今までのことも全て報われたのだと分かって、本当に嬉しかった。

 我々古吉野洗濯警察は、これで解散ではない。少なくとも私はそう思っている。いつでもみんなの心にある存在となれるよう、その機会をもらえた紅白歌合戦が、最高の思い出になった。

 以上、服納めみつひこが洗濯警察について書かせていただきました。ここからは、みつきに戻って、二〇二二年NHF紅白歌合戦の全貌を明らかにしていきます!
  

ドリームガールズたちによる『ア・レヴァ』

   
 トップバッターは、まなかちゃん率いる『ア・レヴァ』。

 ドリームガールズと名乗る彼女たち、青いドレスとふわふわの白いファーを身にまとっていて、なんともゴージャスです。なんとこのファーは、ビニール袋を切ったもので、お手製だとか。

 底抜けに明るい彼女たちだけれど、しっとりしとしたレヴァの「ア〜ラ〜」のメロディに乗せて、ここだけの話、日々のトホホな出来事や「あら〜」な出来事を歌ってくれました。 

 会場は、紅白の始まりにふさわしい華やかさと盛り上がりに包まれました。
  

見習いエンジェルズ

   
 次のチームはつきちゃん率いる 『エンジェルズ』。

 見習いエンジェルズの彼女たちは、それぞれ悩みを抱えているみたい。めげそうになる時もあるけれど、「わたしたちの使命」を思い出し、笑顔で曲を歌い上げてくれました。

 衣裳部さんのつきちゃんを筆頭にして、衣裳も手がかけられています。天使を象徴しているといってもいい、背中の羽はもちろん、頭には、あの輪っかが、ふわふわと浮かんでいるではありませんか!とってもキュートな天使たちから、目が離せませんでした。
  
  
 次は、ゆりかちゃん率いる『ザ・シード』。

 コンサートで「一腸目から八腸目のあたりに心のみなさんが居るよ」と言うセリフがありました。なんと今夜は、七腸目のみなさんが、わたしたちのもとにやって来てくれました!

 ちょっぴり繊細だけれど、真っすぐで頑張り屋な心のみなさん、コンサートに向かうなかでのわたしたちの試練を振り返ってくれました。

 「あんなことあったなあ」…。それも今は、こうしてみんなと笑い話にできることがうれしかったです。

 続いて、かにちゃん率いる『 ウィー・キャン・ゴー』。
  

紅白中に、視床下部の定例会が開かれます

   
 こちらもコンサート絡みで、かにちゃんが演じる視床下部の周りに、同じく視床下部の仲間たちが集まってきます。定例会は五臓六腑だけじゃなかったのか!視床下部のみんなが繰り広げる定例会に、興味津々です。

 自分たちで思い出ファイルを作ろうと、家族になりきって試みる視床下部さんたちですが、いつも失敗してしまいます。

 しかし「うまくいかなくても、そこに誰も良かれの気持ちがあったのなら、それはあたたかい思い出ファイルになる」ということに気が付きます。笑いもあり涙もある視床下部さんのステージに、心が癒されました。

 次は、ひろこちゃん率いる『ビューティフル・ピープル』。
  

ギブソン大王とお姉さんが登場!?

   
 会場に入ってくる、いかにも悪役な風貌のふたり。りゅうさん演じるギブソンと、隣には…誰!?

 ギブソンの姉、「ギブミー・ゆき」の存在が明らかになり、高らかに笑い叫ぶふたりの声が響く会場。ここはもう悪に染まってしまうのか…と思いきや、なのはなに来たことで利他心を知り、優しい姿へと変わるのでした。

 それにしても、ふたりの演技の迫力に驚いてしまって、りゅうさんとゆきちゃんが戻ってきてよかった!と安心してしまいました。

■全てをさらけ出して

 続いて、さきちゃん率いる『ビリーバー』。

 黒いドレスに身を包んださきちゃん、でも第一声に、「わたしは靴下」。普段何気なく使っている洗濯機や、鍋の蓋、体育館など、物の心の声を聞かせてもらえて、物の視点から見るわたしたちの姿はなんとも可笑しかったです。

 笑いながらも、来年は物を大切に扱わなくては!とハッとさせられました。

 ここで休憩時間をはさみます。あたたかいおぜんざいを頂いて、後半戦へのエネルギーチャージもばっちりです。

 後半戦トップバッターは、あんなちゃん率いる『バッド・ロマンス』。

 ステージの前に置かれた「ガガ・スイッチ」なるものを叩くと、今までの自分とはおさらば、解脱して変わって、明るい未来を進んでいくことができます。自分自身の葛藤や悩みをもさらけ出して、堂々と踊るみんなの姿が本当に格好よかったです。

 その衣裳もガガらしく、それぞれ一点もの、なかなか大胆で挑戦的。わたしもガガになりたい!後に続きたい!と感じるステージでした。
  

ワルの集団、菜の花組で『シバーズ』

  
 続いて、のんちゃん率いる『シヴァーズ』。

自分たちの失敗談を、さもさもわざとであったかのように語り合う「ワル」の集団、菜の花組。

 いつもはかわいらしいりなちゃんが、すくっと立ち上がってひとこと「俺から言っていいっすか!」。これには会場も大爆笑、普段のみんなはどこへやら。
  
  
 そして決まって、お互いを認め合う合言葉「わりいな〜!」が飛び出します。これから失敗をすることがあっても、この言葉があれば大丈夫だと思えるような、強さと図太さを分けてもらえました。 会場全員が腹筋崩壊するくらいのステージ作っちゃうなんて、みんな、わりいな〜!

 次は、子供組のみんなで『キュア・フォー・ミー』。

 今回の紅白で殻を破りたい!と先頭を切ってくれたのが、子供組のみんなです。食事のコメントを聞くたびに楽しみにしていましたが、ついに披露してくれました。

 「まさか!そんなのってあるの!?」今までに見たことない衣裳に、会場は騒然としました。

 でも、それだけ子供組のみんなが「変わりたい」「今までの自分に逃げたくない」という思いで、考えて考えてたどり着いた衣裳や脚本だったんだなと、ひしひしと伝わってきました。

 それを思うと、なんだか涙が出てきて、子供組のみんなに愛おしさを感じたし、元気づけられました。

 続いて、さやねちゃん率いる『ビューティフル・ファイター』。

ガールズグループ『NBP』が、紅白歌合戦に緊急来日です。ビニールや黒色を基調とした衣裳はもちろん、キレキレのKポップダンスがとても格好よかったです。一人ひとりの自己紹介も余裕たっぷりで、アイドルそのもの!早速わたしもNBPのファンです。

 次は、やよいちゃん率いる『リカバリー』。  

  
 わたしたち、洗濯警察の出番です。衣服記名率百パーセントのオールネーミング、一度見た衣服は見逃さないゴッドアイ、洗濯かごの底の汚れまで気にかけるライオンモップなど…。

 飛び抜けた異名と凄腕を持つ捜査員たちが、日々どのような活動をしているのかを紹介していきます。

 なのはなの子なら、共感せずにはいられない!洗濯物にまつわるあるあるなどを交えながら、至って真剣に、忠実に再現して演じました。

 続いて、ゆいちゃん率いる『エンジェルズ』。このチームのメンバー、どこかで見たことある組み合わせ…?そう、ウインターコンサートで思い出ファイルのシーンに出演していた、夫婦役のみんなではありませんか!

 ウインターコンサートでは冷たい思い出だったけれど、それを、今夜はあたたかい思い出へと変えて、わたしたちに共有してくれました。新聞を読んでいるところを邪魔されて怒る父親は、妻である母親の家事を喜んで手伝う父親に変わっていました。
  
  
 わたしたちがこうあってほしいと願った夫婦の愛の形を見ていると、救われるようなうれしい気持ちに包まれました。

■かけがえのない仲間

 いよいよ最後は、お父さんとお母さんのステージです。

 お母さんは『お月さまほしい』。

「君が今頃泣いてるんじゃないかって思ったんだ」

 お母さんの優しいけれど強さのある声、目を閉じて歌うその姿に、涙が出てきそうになります。お母さんが、わたしたち一人ひとりに伝えてくれているようでした。

 お父さんは『傘がない』。

 「行かなくちゃ、君に会いに行かなくちゃ」

 お父さんの伸びやかで力のこもった声は、聞いているだけで心が晴れ晴れとしてきます。

 紅白の最後を飾るのは、やっぱりお父さんしかいないなあと思いました。
  
  
 お父さんが歌っている間に、時計の針は十二時を差し、二〇二三年を迎えました。「あけましておめでとう」とそれぞれ隣の子にご挨拶。大好きな仲間と迎える新年は、かけがえがなくて、本当にうれしい瞬間でした。

 毎年の紅白で、みんなの新たな一面を見ることができて「あの子のここが好き!」「これがこの子の良さなんだなあ」と、それぞれの子に対しての好きの気持ちを、何度も再確認することができます。

 わたしもみんなも本当になのはなのみんなを想い合っていて、家族以上につながっているのを感じました。

 

 二〇二二年、さようなら。二〇二三年、よろしくね。二〇二三年も、なのはなのみんなとたくさんの思い出を作って、またこの場所で笑って締めくくることが出来ますように!