【2月号⑬】「NHF紅白歌合戦に初出場 笑って、笑った、最高の夜」ももか

大晦日の夜、音楽室ではなのはなの、なのはなの子による、なのはなの子の為の紅白歌合戦が開かれました。各チームでこの1年にあった楽しかったことや失敗談も全てさらけ出して、本気で歌い、殻を破り、新たな気持ちで新年を迎えます‼

  
 私がなのはなに来た夏のときから、すでに、ちょこちょこと話題に登場していた『NHF(なのはなファミリー) 紅白歌合戦』。

 紅白のことをみんなに聞くと、「みんな人が変わるよ」「涙出るほど大笑いするよ」などなど……私は、チームで好きな歌を歌う。という単純なものを想像していたため、その回答に凄く興味を持ちました。お笑いなの!? いつものみんなではなくなる、ってどういうこと!? 気になって、わくわくで、ドキドキで、紅白のチーム発表や準備、当日が楽しみでたまらなくなりました。

 夏からあっという間に、月日が経過し、十二月三十一日二週間前に(コンサート直後)。毎日、古吉野中で紅白の話が、尽きませんでした。みんながみんなワクワク、早く準備をしたいという気持ちも、表情や言葉からあふれ出ていました。

 その期待、希望に答えるように、実行委員のやよいちゃんが黒板に早速、曲目を張り出してくれました。

 そのとたん、リビングで思い思いのことをしていた、みんながぴたりと手を止め、前に集結。
  

コンサートの役者メンバーが紅白の実行委員に!

  
 取材の人のように紙を囲み、「なにがあるの?」「どれにしよう」と……私は、正直、曲名を見ても、ウィンターコンサートで演奏した曲しか分からなかったのですが、知らない曲名でも、不思議と惹かれるような感覚がありました。

 私は、第一希望に『ビリーバー』、第二希望に『シヴァーズ』と、知っている曲の中でも、特に気に入っていた、明るい曲目をチョイス。チーム発表の時を楽しみに、期待をこめて封筒の中へ入れました。

 その後、お風呂やリビングで、なんの曲を入れたかの話が飛び交っていました。

■嬉しい発表

 中でも、私と同じく、『ビリーバー』などの、明るめな曲を選んだ子が、多数いました。誰になるのか見当もつかなくてチーム発表がさらにドキドキに。けれど、どのチームに入っても面白い、楽しい、ということは普段のみんなから、イベントでの盛り上がりから確実になっていたので、安心。昔、学校生活の時に感じていた、不安は一切ありませんでした。

 本番十日前の朝。やよいちゃんたちから、嬉しい発表があると、リビングに全員集合。期待を胸にドキドキ……みんなも同じようで、リビング中がいつにも増して、賑やかになっていました。すると、突然。

 役者のみんなの寸劇が始まりました。それを見ていると、今から何があるか分かりました。チーム発表です。みんなから歓声がおきました。

 そして、チーム発表。やよいちゃんが順に、名前と曲名を発表してくれました。名前が呼ばれるまで、ドキドキ。
  
  
 胸が高鳴ります。「さきちゃん、なつみちゃん、ももかちゃん、まりこちゃんで、『ビリーバー』」! 呼ばれました。しかし、私は一つだけでは、ありません。特別に、子供組でもステージを行うことになりました。やったー! 目を合わせて喜びました。これからが、楽しみになりました。

 ビリーバーチームでは、早速、何をするか案を出し合います。芸能人を参考にしたり、ドラマを参考にしたり、考えに考えました。簡単に、面白いものが作れると勘違いしていた私は、衝撃……難しい。

 「これだ!」と思ったものも、私たち版にアレンジしてみると、なんかしっくりこない。こんな連続でした。試行錯誤を重ねて、決まったのは『海外ドラマあるある』。

 それをなのはならしいものに、セリフを変えたものです。イメージが段々と固まって来て、希望の光が私たちに、差し込みました。 ビリーバーの替え歌も順調に決まって、いい方向に進んでいるのではないのかと、嬉しくなりました。

■イメージはばっちり

 一方、子供組チームでは、お父さんのアドバイスのおかげで、比較的スムーズにテーマが決まりました。私たちがなぜ摂食障害になったのかを、コメディ調で演じます。
  
  
 これは、凄く深く、面白くするのは難しいけれども、うまくいけば、とても興味深く、かつ面白いものになる。私は、まだミーティングを行っていないのもあり、脚本は、まだ掘り下げて考えることができませんでした。ですが、ななほちゃんが、

「大丈夫! ももかちゃんは、みんなにツッコむ、面白いのを、作り上げる、大切な役になってもらいたい」

 と言ってくれて、突っ込み役になりました。ななほちゃんたちの、優しいフォロー、言葉がとても嬉しくて、そのやさしさに胸がきゅっとなりました。お父さんにも、さらにアドバイスを頂き、脚本が面白く、良いものになりました。

 なのはなでは衣裳も肝心。衣裳考案が行われました。一時間三十分と、長いようで短い、考案の時間。考案の前にある程度、案を固

めておく必要があります。私たちのイメージは、ばっちり。

 その状態で足取り軽く、衣裳部屋へ向かいました。予想は的中。一人ひとり、役にあった衣裳が出来上がっていきました。ビリーバーチームは……でしたが。

 子供組チームでは、最初は順調。寸劇の前半で着る衣裳を、各々作り上げて行きました。

■子供組あるある

 しかし、次が問題。劇中で変身する予定で、後半のコーディネートを考えて行きます。

 なかなか、ピンとくるものが見つからず、苦戦。合わせて見ると、ダサく見えてしまうものが、多く、笑い。それを、ひたすら繰り返していると、驚くべき光景が、目の端にふと見えました。さくらちゃん!? なんと、全身肌着と葉っぱ!? しかも、真剣な表情で考えていました。
  
  
 みんな、大爆笑で、さくらちゃんに駆け寄りました。ななほちゃんは、「それは、ダメだよっ」。私は、「面白い!」意見がバラバラ……子供組あるある。

 結局、葉っぱは無しになり、全身タイツとカラー巾着と、面白いけど可愛い衣裳になり、ひと段落。

 ところが、夜。事件が起きました。お父さんとあゆちゃんの案により、考えもつかない、殻を破りに破った衣裳に……決定。これを今回、着たことにより、私たち子供組は怖いものなし、になりました。

 衣裳も決まり、残り時間三日間は、練習のみ。が……順調だったはずのビリーバーチームで、脚本壊しが始まりました。しかも、全く系統の違うものに。なのはなにある、様々な「もの」になります。

 ものの気持ちになって、みんなに、その使い方や気遣い方を訴えます。脚本だけではありません。替え歌に衣裳、すべて作り・考え直しました。初めは、全く時間もないのに、今から作り直してどうなるものか。と思っていたし、焦りました。
  
  
 ですが、そんな思いも吹き飛ぶくらい、どんどん良く、しっくりとくるものが出来ていきました。そして、空いている時間は練習。練習を重ねに重ね、さきちゃんにも演劇の監督をしてもらい、磨かれていき、凄く嬉しかったです。一安心。

 さらに、嬉しい出来事が。帰ってきてくれていた、卒業生もチームに入ってくれることになりました。スペシャルメンバーも加わっての「ビリーバーチーム」。本番がさらに楽しみになりました。

 三十一日の夜。遂に、待ちにまった紅白歌合戦当日。お昼にはお風呂に入り、個性的なメイク、髪型をみんながみんなしていて、普段とはもちろん、コンサートや遊びの時とも、なのはな内のオーラが違って、ドキドキ・ワクワク。

 そして、一日はあっという間にたち、本番の時間に! 紅白仕様に飾りつけられた会場(音楽室)へ。卒業生や、そのご家族も見に帰って来てくれました。
  
  
 会場も、みんなも華やか。なかなか見ることのない、珍しい光景です。みんなの衣裳を見ても、チーム名を見ても、どんなものか、想像ができません。でも、確実に面白いのは、全身で感じました。

■大爆笑、大満足

 ガラガラ。役者のみんなが登場、チーム発表のときのように寸劇が始まりました。もう、オープニング寸劇だけで、爆笑。これから、どんなに面白いことが始まるのか、楽しみでたまらなくなりました。

 トップバッターは、あゆちゃんたち『ドリームガールズ』。あゆちゃん、まえちゃん、まなかちゃんと、元気バンドメンバー。『ア・レヴァ』の曲にのせ、面白悲しいエピソードを歌ってくれました。

 衣裳には、お母さんがずっと、何かの形で使ってほしいと言っていた、クリーニングの袋を、ひらひらと可愛くドレスにつけてアレンジしていました。凄く、きれいでお洒落。ビニールとは、全く思いません。歌は面白くて、はっちゃけお嬢様のような感じの三人は、とても面白かったです。
  
  
 その後、紅白順に披露していきました。どのチームも、どうしてこんなにも、面白いものが考えられたの!?と思うくらい、爆笑。笑って、お腹と顔が崩壊しそうでした。

 そして、私たちビリーバーチーム『夜の古吉野』の出番が。さきちゃんたちは、きれいなドレスを着て、私は、猫になってスタンバイ。

 直前まで、みんな、セリフをぼそぼそ……コンサートの時のような雰囲気で、緊張が高まります。

 やよいちゃんによる、MCが始まりました。それだけで、みんなが大きく反応してくれたり、笑ってくれたりしたことに、安心感と嬉しさが吹き出てきました。

 堂々と楽しむことを決意。心配なんて、鼻息で吹き飛ばして、みんなの前へ出ます。
  
  
 そして、ガラガラガラ。私は、体育館。体育館になって、みんなに面白おかしく、思いを伝えます。私のキャラは、優等生ぶっているような、ナルシスト。ももかを捨てて、表現しました。すると、みんながお腹を抱えて、笑ってくれました。みんなの笑顔を見ると、凄く満たされた気持ちになりました。かっこつけているセリフに、恥ずかしさを感じなくなりました。
  
  
 のりのりの替え歌を終え、『夜の古吉野』は幕を閉じました。着替えるとき、さきちゃんたちと、「だいせいこー! やったね」とハイタッチをして、それが、嬉しかったし、楽しかった。と心から思い、大満足。

■恥ずかしさを捨てて

 後半には、子供組『ボスベイビー』が。着替えの時には、緊張とは別のドキドキ。衣裳を、着ることにドキドキ……いざ、例の衣裳を着てみると、想像以上。

 ななほちゃんたちと、夜なのを忘れ、紅白中だということを忘れ、「きゃーーー」叫んで、笑って。こんな恰好で大丈夫なの? とざわざわ。けれども、私たちの出番は、もうすぐ。迷っている時間は、ありません。
  

子供組チームによる『カラヤブリ隊』。歴代のNHF紅白歌合戦に類のない潔さで、殻破れること間違いなしの衣装と演出でした!

 

 「気にしない!」とみんなで言い合って、入場口へスタンバイ。MCの後、入場。みんな、格好に、大笑いしながらも「かわいいー」と、言ってくれていて、少し安心。その後も、恥ずかしさを捨てて、堂々と役になりきりました。

 やっぱり、みんなと演じること、みんなの笑顔を見られること、そのことが凄く楽しくて、嬉しいなと思いました。あっという間に、終了。

 みんなの、ステージは、どれも個性的で、頭の中に強く残りました。

 中でも印象的だった、『エンジェルズ』を歌った『思い出ファイルアゲイン』チームでは、ウィンターコンサートの脚本の中に出てきた、悲しい思い出ファイルを、とても心温まる、思い出にしてくれました。もう、見ているだけで、胸がキュンキュン。

 あの、悲しく、苦手であった、思い出ファイルのシーンが、それに変わっただけで、大好きになりました。キュンキュンだけでは、ありません。優しい会話に、しあわせ心ポッカポカ。感動もしました。楽しい時間は、本当にあっという間。気が付けば、年を越していました。
  
  
 最後は、お父さんとお母さんが、二曲ずつ歌ってくださいました。みんなで、手拍子しながら、歌う。その時間が、胸がキュッとなるほど、しあわせで、最高でした。

 こうして、なのはな紅白歌合戦(NHF)は、幕を閉じました。こんなにも、笑って楽しかった、お正月は、初めてです。もう、しあわせ!