「初めて豆を煮た!」 せいこ

2月10日

 *初めて豆を煮た!*

 今日は味噌づくり第2弾の最終日。昨日糀が完成し、いよいよ大豆と混ぜ合わせ、味噌を仕込む日という日でした。私は、なるちゃん、しなこちゃんと一緒に予め吸水させておいた22.5キロの白大豆を煮るという役割を頂きました。

 私は豆を煮るのは初めてです。台所の大きな大鍋を使うのも、ほぼほぼ初めてです。前日から緊張していたので、朝も5時半くらいから目が覚めていました。

 朝の6時半から台所へ。みんなの起床前から作業をするのは、なんだかワクワクします。
 味噌樽に入った豆をざるで大鍋に移し、水を注いで、大鍋を点火。チャッカマンの火は、防除の噴霧器のノズルのようなものにつけて、コンロに火を移します。これが出来ただけで、台所のプロの河上さんやまりこちゃんになれたような気分でした。

「絶対に豆を踊らせないことと、灰汁はこまめにきっちり取ること」
 こちらも台所のプロである、なるちゃんが前日からそう教えてくれていて、煮ている最中もずっと一緒に様子を見てくれていました。

 最初のほうに出てきたアクは、さらさらとしていて、見ようによってはただの泡なんじゃないか? と思うくらいでした。大鍋の淵に浮いてくる豆をヨイセ、ヨイセと取っていたらなるちゃんが、
「お玉の背の部分で淵まわりのアクを1か所に集めて、まとめて取ると良いよ!」
 と教えてくれました。なるほど、それだと自分が腕を伸ばして取らずに済みます。効率が上がるとなお楽しい作業です。

 豆を煮はじめてから40分が経過した頃、気づけばアクの様子が先ほどとは明らかに変わりました。それまではうっすらと水に幕が張っているような、「目につく泡」といった感じの灰汁だったのが、「The 灰汁!!」というような、メレンゲみたいなモッタリとしたアクがそれはそれはたくさん出てきて、夢中で取って行きました。

「豆に灰汁があるのは、鳥とかに食べられないようにするためらしいよ」
 なるちゃんがそう教えてくれました。生の豆はめちゃくちゃ渋いんだろうな……。想像するだけで歯がキシキシします。

 灰汁を取る作業は、なんだか空の雨雲を取り除いているような気分にもなりました。こんな風に自在に天気が操れたらいいのに。土寄せや畝立てが続く時は、こんな風に雨雲を取り除きたいものです。

 そうこうしているうちに今度は、大鍋の3ヶ所、それぞれ直径1センチくらいのスポットから、フツフツと湯が沸いてきました。豆が踊らない程度に沸かせるのが美味しく煮るコツのようです。この湯が沸いてくる3ヶ所を私は「豆の踊り場」と名付けました。踊り場の豆たちが、煮えくり返らないけれど、少しは動いている、擬人化すると、豆たちがツイストはしていないけれど、ステップは踏んでいる、そんな具合がちょうど良いみたいで、常にそういう状態を保つように、なるちゃんに見てもらいながら火加減を調節しました。

 気がつけば灰汁は減ってきて、またサラサラした灰汁に戻りました。そして煮汁がだんだんオレンジ色に。
「豆の良い香りがするね〜!」
 夢中で灰汁とり、火加減の調整をしていて、なるちゃんに言ってもらって初めて気づいたのですが、台所中には豆の甘い香りが立ち込めていました。なんとも至福なひと時。

 あっという間に2時間40分が経過。味噌用の煮豆は10粒中6〜7粒ほどが、2本の指でグニュっと潰れる程度が頃合いです。なるちゃんが確認してくれて、
「うん、すっごく上手に出来てると思う!」
 そういってくれて、すっごくすっごく嬉しかったです。体感時間は30分くらいでした。

 なるちゃんの言葉は一つひとつ本当に丁寧で、わかりやすくて、何よりとても温かいと感じます。味噌づくり期間も、大事な手入れの時は、的確な判断をしてくれて、そうやって、物事のノウハウを積み上げていっているなるちゃんが本当にかっこいいと思いました。
 初めての煮豆づくり。とっても楽しかったです。

 この頃日記が書けていなくって、まだまだたくさん書きたいことがあるのですが、お風呂に行ってきます。最後に一つ。
「音源編集は、完璧じゃないところに完成がある」
 大筋をつかめば、あとは綻びが少しあるくらいが素敵な音源だということを、お父さんが教えてくださったのがすごく勉強になりました。
 人間もそうなんじゃないかと思いました。完璧を目指さず、綻びがあるくらいの人間で、常に周りのみんなと助け合いながら、健全に、光の中を生きていきます。

 今日も1日ありがとうございました。