「気持ちと手」 ゆず

2月11日

 外に出ると、陽の光で空気があたたまっていて、廊下よりも暖かく感じました。朝から陽がさしていて嬉しくなりました。

 午前中のはじめ、りなちゃんと、桃の看板のニス塗りをしました。
 刷毛を使って、水で溶いたニスが厚くならないように気を付けながら塗っていきました。手数を少なく均一に薄く塗れるとそれだけで嬉しくて、単純な作業だけれど夢中になって楽しかったです。

 看板の数だけ桃の木があって、絶えず、あんなちゃんやみんなの気持ちと手が、その桃の木たちに向けられていて、そうやって月日が経っていくのだと思うと、机一面に桃の看板が並ぶ光景が、とても迫力あるものに感じました。

 そのあとには、少しの時間だったけれど、あんなちゃんに教えてもらいながら桃の剪定をしました。
 夏に剪定をするときは、木に養分が多く循環しているため切り口が少し膿んだようになってしまうこと、そのために少し枝を残して切ること。冬に剪定をするときは、木に養分がそれほどないため、際で切らないと切り残した部分に養分が届かず枯れてしまうことをあんなちゃんが教えてくれました。

 答え合わせ方式で剪定をしているんだよ、とあんなちゃんが教えてくれました。剪定をしていくなかで、どの枝を切るだろうと自分で考えながら、あんなちゃんが教えてくれる答えと答え合わせをしていく。答え合わせ方式、という呼び名がすてきだなと思いました。
 見ていく枝を決め、あんなちゃんが先端から切り落とす枝を伝えてくれました。枝の方向や向きが良くない枝や、切り残している枝を落としていきました。

 桃の木の剪定、そして久しぶりに使うのこぎりに緊張しました。木にのこぎりを当て、角度を決めて、刃を入れていきました。切った断面は、円を描いていて、鮮やかな緑色の部分もあって、肌理の細かい断面は何度見てもきれいだなと思いました。

 陽があたたかくて、桃の枝には芽がぷっくりとついていて、あっというまに春だなと思いました。これから摘蕾やいくつもの作業を経てまた収穫に繋がっていくのだと思うと、次の夏がとても近くに感じました。

 午後には、カブとネギの収穫をしました。カブを土の中から抜く感触。ネギの香り。そういった生きているものの感触や匂いに触れるのがどこか久しぶりな感じがして、地面に近い感覚にほっとしました。
 仕事に行く平日も、もっと色々なものに触れたり感じたりして、心を動かして過ごしたいと思いました。

 毎日をちゃんと、積み重ねていきたいです。