【2月号⑪】「喜劇か、悲劇か ルーレットで運命かわる セブンブリッジ」よしみ

  
 「お正月セブンブリッジ大会、スタート!」

 実行委員さんの明るいかけ声と共に、今年最初のセブンブリッジ大会が始まりです。

 昨年の秋頃からは本格的にコンサート練習が始まったこともあり、セブンブリッジ大会もしばらくお休みとなっていました。そのため、私はお正月遊びの中でセブンブリッジ大会があると聞いたとき、すごく嬉しかったです。

「今回の罰ゲームは、おそらく過去最高に、みんながやりたくない罰ゲームだと思います。ということで、最初に罰ゲームの内容を発表しておきますね」

 実行委員さんが最初の説明のときに、そう話してくれました。罰ゲームの発表とともに、その場に居たみんなから「えーっ!?」「絶対にやだー!!」という悲鳴があがるくらい、今回の罰ゲームは壮絶です。果たして、そんな罰ゲームを行うチームは一体、どのチームになるのか……。

 私は今回、オレンジチームで、まえちゃんとペアを組ませていただきました。まえちゃんとペアになるのは初めてで、一人だと心細いけれど、まえちゃんとペアで闘えるならきっと大丈夫だ! と思いました。今年初めてのセブンブリッジ大会、罰ゲームも過酷なら、ルールも過酷です。
  
  
 ここ最近は、ずっとトランプ一組で行っていましたが、今回は二組。そして二日間の後半のラスト三試合では、ルーレットで大逆転ルールが設けられることに。

 ルーレットにはマイナス一からマイナス五、プラス一からプラス五の数字があり、各チーム代表の人がルーレットを回して出た数字で、その試合の得点が何倍になるか、もしくはマイナス何倍になるか決まります。ルール説明を聞いたとき、これはゲームが荒れる可能性大だなと覚悟しました。

 でも実は私はトランプ二組の方が意外と好きで、「セブンブリッジはこうでなくちゃ!!」と心の中で思っていたので、今回のルールもとてもワクワクしました。

■ウサギのリーグで

 お正月のセブンブリッジ大会は二日間続き、一日目と二日目の合計得点で順位が決まります。まず一日目。一日目のまえちゃんと私ペアは、お父さん・お母さんペアのいるリーグでした。今年はウサギ年なので、リーグ名もウサギリーグになっていて、「ライオンヘッド」や「ネザーランドドワーフ」、「ダッチ」など初めて聞いたウサギの種類ばかりで、実行委員さんが可愛いイラストを描いてくれていたり、豆知識などもたくさん話してくれて嬉しかったです。
  
  
 一日目は、私たちは地味に負ける試合がほとんどでした。あまり大きな失点をすることはなかったのですが、毎回ちょこちょこ負け続ける……という感じで、我慢との闘いだったなあと思います。お父さんとお母さんペアがすごく強くて、リーグの中でも断トツで一位でした。

 前半が終わり、後半に入る前に、いよいよラスト三試合の運命をかけたルーレットが始まります。オレンジチームでは、あゆちゃんがルーレットを回してくださりました。

 同じチームのみんなで、「お願い!」と祈りながらルーレットの回る先を見ていて、一回目にルーレットが止まった場所は、なんとマイナス五倍……。

■勝利の女神は……

 オレンジチームからは悲鳴、でも他のチームから喜びの声があがりました。でも、二回目・三回目はマイナスではなくプラスが出て、チームのみんなで、「絶対に三回目のうち一回目は負けないようにしよう」と話し合って、後半に向かいました。

 ルーレットを回している間は、百人一首の坊主めくりのときの「坊主コール」と同じで、「マイナス」コールが響き渡っていて、なんだかもう、わからないけれど、とにかく面白かったです。
  
  
 後半も、まえちゃんと私のペアはほとんど勝つことができず、悔しかったなあと思います。他のリーグからは、まちちゃん・まっちゃんペアが一枚もカードを出せずマイナス三千点という噂を聞き、やっぱりどこのリーグも、試合の展開がいつもよりすごかったです。

 すべての試合が終わり、一日目の結果発表がありました。私の予想では、オレンジチームは三位くらいかな……? と思っていたけれど、三位・二位にオレンジチームの名前は出ません。なんと、オレンジチームは一位でした。プラス六千点という断トツ一位で本当にびっくりです。

 誰がそんなに勝ってくれていたんだろう? と思っていたら、勝利の女神は、さやねちゃん・りんねちゃんペアでした。

 まちちゃん・まっちゃんが大失点をしたときに、その得点をもらったペアがさやねちゃん・りんねちゃんペアで、その後も二人はびっくりするほど勝てたそうです。

■マイナス百二十五倍

 二人のおかげでオレンジチームは一日目、ぶっちぎりの一位で終わることができ、すごく嬉しかったし、これで罰ゲームはないかなと思っていました。

 ……。だがしかし、これで終わらないのがセブンブリッジです。セブンブリッジ大会二日目、大波乱が起こりました。その大波乱の原因となったのは……、ごめんなさい、私たちのペアです。
  

ルーレットで、逆転勝利のチャンスあり!

  

   
 二日目の前半ラストの試合、悲劇はおこりました。

 その試合、私たちの手札に回ってきた七枚のカードの中には、なんとジョーカーが三枚。まえちゃんと私はその手札を見た瞬間、恐ろしくなりました。何でも良いから早く「ポン」か「チー」を鳴こうと言っていたのに、私たちの番は回ってきません。

 でも、他のペアが捨てたカードで、ようやく「やった! これだ!チー!!」と思い切り鳴きました。でも、「ポンッ!!」と同時に叫ぶ声が……。

 ポンはチーより強く、なつみちゃん・まりこちゃんペアにそのカードは渡っていき、とうとう自分たちは一枚もカードを出せず、ジョーカーが三枚とも手札に残ったまま、同じリーグにいた現在最下位の青チームのゆずちゃんが……あがってしまいました……。
  
  
 私とまえちゃんは絶叫です。私の頭の中は真っ白というか、真っ青というか……とにかく何も考えられず、二人して倒れ込みました。ジョーカー一枚でマイナス五倍、それが三枚ということは、マイナス百二十五倍……。電卓で恐る恐る数字を打ち込むと、その得点は、マイナス六千点超え……。

 私も、まえちゃんも、こんなに大失点をしたのは初めてで、もう前半が終わった時点で、ぐったりでした。休憩のときに卒業生が持って来てくださった大好きなシュークリームをいただいたのですが、大好物でさえも味がわからないくらいのショックです。

 でも、おそらく、まえちゃんが居なくて一人でこの大失点だったら、きっと立ち直れなかったと思うけれど、まえちゃんと一緒だったから悲しさも半分になったなあと思います。

 この前半の悲劇は後半も尾を引いて、最後まで私とまえちゃんペアはマイナス六千点のままリーグでも断トツの最下位でした。

 そして最後の結果発表。一日目の時点で断トツ一位だったオレンジチームが、二日目の試合で見事転落し、最下位で罰ゲーム決定です。
  
  
 オレンジチームのみんなで罰ゲームの衣裳に着替えに行きました。今までなら私は絶対にこういう罰ゲームは恥ずかしくて耐えられなかったです。

 でも、なんだか今回はその恥ずかしさがそれほどなく、むしろ楽しさのほうが強くて、不思議となりきっている自分がいました。

 あゆちゃんとまえちゃんが、「みんな、『ブラック・クイーン』のダンサーのような表情で登場しよう」と言ってくださり、二人が先頭を切って堂々と歩いて行きました。私はその二人のかっこいい姿を見て、自分もすごく勇気をもらって堂々と歩くことができたなあと思います。

 罰ゲームはすさまじいものでしたが、罰ゲーム中、終始みんながたくさん笑ってくれて、「みんなに笑ってもらえたからまあいっか!」いう気持ちになれました。

 今年初めのセブンブリッジ、結果は見事撃沈でしたが、罰ゲームを通して自分の殻も少し破ることができたかなあと思えてすごく嬉しかったです。
  
  
 セブンブリッジで、今年のお正月三が日の遊びが全て終了しました。三日間、家族みんなで思い切り笑って楽しむことができて、本当に幸せだなと思います。

 今年も畑やダンス、楽器、スポーツなどみんなと一緒に頑張りたいです。