【2月号⑧】「自分を無にして、書に向き合う ―― 真似て学ぶ書き初め ――」しなこ

  
 お正月遊びの二日目は、書初めと百人一首。

 リビングで百人一首の熱い戦いが行われている中、書初めの部屋は静寂に包まれて、落ち着いた時間が流れていました。

 なのはなの書初めでは願真卿をお手本にして文字を書き、後半の時間では、自分の今年の抱負を二字熟語で書きます。

 はじめに、お父さんからお話がありました。学ぶということは真似ることから始まる、ということや、筆の使い方を教えてもらいました。筆の使い方では、筆の入りや終わりを、お父さんが実際に筆で書いて見せてくださってわかりやすかったです。

 願真卿のお手本では「知時」という字を書きました。

 字を真似るのは簡単なようで難しいです。自分の中にちょっとした雑念があるだけでも、上手く真似ることができません。弱気で臆病な気持ちだと、細い字になってしまったり、迷いがあると半紙に墨が滲みすぎたりするなと思いました。

 自分を無にして、素直な気持ちだと上手く真似ることができるように感じました。

 「知時」の字を練習して、お父さんに講評していただきました。
  
  
 一人ずつ作品を見ていただけたことが嬉しかったです。お父さんの「いいね!」の声が多くて、「この部屋には願真卿が降臨している!」と、ユーモアをまじえて私たちに話してくださったのも嬉しかったです。

 「知時」の字のバランスが難しくて、「知」は楕円のような横広に書き、「時」は縦長に書いてバランスをとることを教えていただきました。私は特に「時」のバランスと、「撥ね」の書き方が難しく感じました。

 「撥ね」の書き方も、お父さんが見せてくれました。撥ねるときに一度、筆を浮かして力を抜く部分があるのですが、その浮かし方に苦戦しました。
  
  
 難しく感じる部分もあったのですが、練習する時間を実行委員さんが長く設けてくれて、苦手な部分を何度も練習できたり、練習していくうちに少しずつ願真卿の字に近づけられて、集中して書けた時間が嬉しかったです。

 抱負では、「責任」という字を書きました。人任せにならないで、怖がらずに責任感を持って何事にも取り組んでいく、という思いでこの字を書きました。お手本はないのですが、願真卿ならこう書くかな、と思いながら、筆の入りや終わりを意識しました。抱負を書くことで、自分の思いもより強くなることを感じられました。

 作品は食堂に掲示されて、みんなの抱負を見ているだけでも、今年もみんなで成長していくんだ、と勇気をもらいました。

 静かで集中している空気の中、お手本に忠実に真似ていく書道の楽しさも感じられて、書初めの時間が嬉しかったです。