「ああ、明日は味噌玉作り」 ななほ

2月4日

・味噌戦士 パワフワレンジャー

 昨夜、ゆりかちゃんに声をかけてもらい、昨日から第1弾味噌作りメンバーに助っ人して入らせていただくことになりました。

 第1弾のメンバーは子供組も多く、とても賑やかな中、作業が進んでいったり、糀も本当に元気でパワフルです。

 昨夜は夜の11時半から二番手入れを行ったのですが、その時にチーム名も決まりました。

 その名も『味噌戦士 パワフワレンジャー』です。
 赤や青のバンダナに、カラフルなエプロンを着けた私達。それは、味噌にとっては正義の味方のレンジャーだなと思い、私もパワフワレンジャーの仲間として味噌作りに携わらせてもらえることが嬉しいです。

 家庭科室に入ると、糀の発酵した甘い香りが広がり、ゆりかちゃんがコンサートの曲を流してくれています。

 二番手入れは一番手入れからの時間も短いのですが、白いふきんをはぐると、中からフワフワの糀たちが迎えてくれて、私の心もフワフワ、華やかな気持ちになりました。

 「こんばんわ~」と糀たちに呼びかけて、しっかりと攪拌、放熱し、最後は、「おやすみなさ~い」と糀たちを糀箱へとしまいました。

 そうしていると、本当に糀のお母さんになった気持ちがしたし、味噌作りメンバーの中では、ゆりかちゃんが私達のお母さん役をしてくれているみたいで、温かい空気の中、糀もスクスクと育っています。

 メンバーのみんなが、「ななほちゃん、お願いします!」「嬉しいな。本当に1人いてくれるだけで、やりやすさが全然違う」と言いながら、大きく優しく迎えてくれたことも、嬉しかったです。

・夜の見回り

 私はちさちゃんと、4時、8時、12時が見回りの担当で、昨夜は4時に起きられますようにと気合いを入れて寝ました。

 毎回、ゆりかちゃんが用意してくれる目覚ましアラームは時に愉快で、時に優しくて、グッドチョイスなのですが、今年は『春の小川』だということでした。

 『春の小川』と聞いた時、(え? どんな曲だろうか)と思ったのですが、ふみちゃんが鼻歌で歌ってくれると、頭の中に「ミソラソ ミソドド ララソミ ドレミ・・・・・・」と浮かんできて、小さい頃に、子供のピアノの本で、遊んで演奏していた曲だと言うことにきがつきました。

「これって、春の小川って言う曲だったんだ」
 さっき、その話をしていたら、りなちゃんが笑いながら、「象徴的な日本の曲だよね。ファとシが出てこない」と言っていて、私も笑いました。

 それはいいとして、問題は4時。ゆりかちゃんがセットしてくれていた春の小川は、とても穏やかな曲調だけれど、大音量で、私は一度、3時に目が覚めました。

 でも、春の小川は大音量だから起きられるけれど、すぐにまた眠りについてしまい、気がついたら4時に。

 トントン、トントン。
(だれだ? 私の夢の中で、ドアをノックしているのは……)

 ハッと、目が覚めるとなるちゃんが優しく起こしてくれて、ちさちゃんと2人、意識も半分のまま、見回りに。

 でも、糀のお母さんの立場になったらパッと眼が覚めて、お湯を替えたり、電熱器の左右を変えたりなどをしたのですが、見回りが終わった時、ちさちゃんが、「私、寝坊したかと思って、メガネ忘れて、実は何も見えないんだよね」と言っていて、笑ってしまいました。

 そういう私も、目はいいけれど、前髪はねぐせが立っているし、ちさちゃんは靴下を右しかはいていないし、2人とも、なるお姉ちゃんに助けてもらいました。

 でも、そんな夜を過ごせるのも嬉しくて、温かい気持ちでまた、布団に潜りました。

・仕舞仕事

 今朝はフラダンスメドレーで朝を迎え、みんなと最後の手入れ、仕舞仕事。
 仕舞仕事は、その名の通り、味噌作りの手入れの工程で、実際に糀たちに触るのが最後の手入れです。

 出糀では、二番手入れよりもさらに繁殖が進み、お米の粒が白くなっていました。それが、とても可愛かったし、7時から8時で無事に仕舞仕事が完了です。

 そのあとは、朝食の時間まで白大豆洗いをして、樽に大豆と大豆の2.5倍の水を入れました。

 白大豆を洗うのは久しぶりだったのですが、りなちゃんとペアで洗っていると、白大豆がユズの種にも見えてきて、思わず笑ってしまいました。この冬、りなちゃんは、ずっと、ユズの加工作業を進めてくれていたからです。

 それからは、出糀まで、ちさちゃんと見回りをしながら、過ごしました。
 その間も、小豆の選別をしたりとか、ちさちゃんと、りなちゃんと明日の味噌作りに向けて、替え歌作りもしました。

 私達は、パワフワレンジャー。ということは、私達の替え歌は、あのフラダンス曲です。

 何の曲かは想像にお任せするのですが、さっき、りなちゃんと替え歌を最後まで作ることができて、2人で何度も笑いながら、ちょっぴり遊びのある替え歌ができて、明日が楽しみになりました。

・出糀

 午後4時。ちさちゃんと、糀の見回りに行くと、もうすでにゆりかちゃんが家庭科室で待っていて、
「40度になったら、出糀を迎えようと思うんだ」
 と話してくれました。

 それからは、続々と、ふみちゃんやなるちゃんたちも集まり、全員集合。
 そして、ゆりかちゃんを中心に、出糀とそのあとの片付け、明日の味噌玉作りに向けての弾取りを確認しながら、40度になるのを待ちました。

 ももちゃんもいてくれて、ももちゃんと30秒ごとくらいに、温度計を確認しては、「まだ、39.6度で変わりなし」「ああ~。39.7度」などと、上がるのを待ちます。

 みんなと、歌を歌い、時に踊り、時に手を合わせてお祈りをし、時に糀箱の周りにさる団子のようにぴたっと身体を寄せ合いながら、40度になるのを待つと、39.9度から40.0度になる瞬間を見ることができました。

 その時はみんなと、「わああ~~~。40度になった!!」と叫んだのですが、糀が恥ずかしいのか、それから10秒ほどの間に、39.9度と40.0度を4回くらい、行ったり着たりして、その旅にみんなと「わあ~」「あれ~」「わあ~」「あれ~」と繰り返し、それも楽しかったです。

 ああ、明日は味噌玉作り。
 昨日から今日にかけて、味噌作りメンバーのみんなと過ごさせてもらえたことが嬉しかったし、午後にはなるちゃん、ももかちゃんとミートチョッパーを準備したり、洗い物をしたり、糀箱に使っていた毛布を干したりしました。

 夜も、台所に大豆を運び、家庭科室の掃除をして、やれる準備は全部完了。

 明日は、私はももかちゃんとミートチョッパーの担当なのですが、ももかちゃんは初めての味噌の仕込みかなと思い、私も、ももかちゃんが楽しめるように精いっぱい動いて、フォローしたいし、とっても楽しみです。

 替え歌もできて、明日は8時から替え歌の練習もみんなと台所でする予定で、こんな風に、明日が待ち遠しく思えることが嬉しいです。

 美味しい味噌になりますように。