「新年、あけましておめでとうございます」
開口一番にそう言い合える仲間がたくさんいて、あまり実感はなかったけれど、いよいよ新年が始まったのだなという気持ちになりました。
大晦日は「NHF紅白歌合戦」で盛り上がり、気がつけば、年を越していて、二〇二三年。幸福感で眠りについて、朝、目が覚めると、昨晩の熱気と賑やかな校舎が嘘のようにシンと静まりかえり、世界にわたしたちしかいないかのように思えてしまうくらいに、穏やかな朝が広がっていました。
■そっとやって来た新年
リビングに入ると、暖かな部屋の中でみんなが日記を書いたり、本を読んだりしていました。そっとやって来た新年が、なのはな全体を丸く優しく包んでくれているような、ほっと安心のする始まりの朝でした。
新年始まりの朝食は、みんなと作ったおせちと、みんなでついたお餅が入ったお雑煮!
卒業生もたくさん帰ってきてくれていて、人数の多いぎゅうぎゅうな食堂で、お父さんの挨拶に合わせて、みんなで、「新年、あけましておめでとうございます」と言ってから、朝食をいただきました。
各チームで作った十二品が詰められたおせちは、誰の元へ届くかわかりません。
わたしのところに届いたおせちは、お重の真ん中にブリの照り焼きと海老の甘煮、伊達巻きが飛び出るように詰められてあり、全体の色合いもそれぞれが映えるように美しく配置してくれてあって、詰めてくれた子の気持ちまで詰まったおせちだと思いました。一品一品、味わって美味しくいただきました。
食堂は昨晩の紅白歌合戦がいかに面白かったか、各チームの秘話などで、話に花が咲いて、紅白の盛り上がりが続きました。
晩のうちに十分に笑ったつもりでいたけれど、思い出したらまた笑えてきてしまって、新年からみんなと笑いっぱなしだなと思いました。朝からたくさん笑って、縁起の良い一年になりそうです。
なのはなの三が日は遊び通しますが、三が日始まりの元旦の朝は、お屠蘇を飲んで、一人ひとり、今年一年の抱負を言います。
■心に、けじめを
こうして新年の始まりに、この一年で自分がどう成長していきたいのか、そのための具体的な行動を考えて自分を見つめ直す時間をもらうと、心にもけじめがついて、一年間頑張ろうという気持ちになれます。前向きに一年を始められることが嬉しくて、わたしは毎年、この時間を大切にしています。
お屠蘇をいただく前に、お父さんが二〇二三年がどんな年になるのかを話してくださいました。
「今年は世界的にも大きな変化のある年になると思います」
まず初めにお父さんがそうおっしゃり、ロシア・ウクライナ戦争のこと、経済の問題のこと、そして依存症の問題のことなど、世界、日本と跨って、今世の中で起きている問題がこの一年でどうなって移り変わっていくのかを、丁寧に話してくださいました。
そして、そういう情勢の中で、なのはなファミリーはどう変わっていくべきなのかも教えてもらいました。
まだ、たった今、この瞬間に、わたしたちが感じてきた痛みと同じ苦しみを抱えている人がたくさんいて、そういう人たちがなのはなの存在を強く求めています。摂食障害や生きにくさを抱えた人が一人でも多く、なのはなの存在を知って、なのはなに来られるように、ホームページやインスタグラムなどSNSを活用して、なのはなの存在をより広く、多くの人に知ってもらえるように、SNS発信を充実させていきたいと話してくださいました。
そして、そのためにも、なのはなに出会って、お父さんとお母さんから生きる答えを教えてもらったわたしたちが、先頭を切って回復していき、利他の世界を広げていくことの重要さを改めて感じ、わたしたちの使命を、もう一度思い直すことができて、気持ちがシャキッとしました。
■抱負
それからは、歳の順に一人ずつ前に出て、お父さん、お母さん、みんなの前で今年一年の抱負を発表させてもらいました。みんなの抱負を聞かせてもらったり、また、自分の抱負もみんなに聞いてもらうことで、有言実行して、必ず形あるものにしたいなという気持ちになることができ、より気持ちを正してもらえると感じます。
わたしは今年一年の抱負として、「守りから攻めの姿勢に転じて生きていきたい」ということを掲げました。
お父さんが、ウィンターコンサートでわたしが演じた役のように、「強い気持ちでね」と言葉を添えてくださり、お父さんにも背中を押してもらって、さらに勇気が出ました。そして、お母さんから盃を受け取って、お屠蘇をいただきました。
こうして新年の始まりを意味のあるものにできることが、とても有り難いことだと感じます。一人ひとり、今、持っている課題はそれぞれだけど、最終的に行き着く答え、辿り着く道は同じで、そこに向かって、みんなと新たな一歩を踏み出せたことがとても嬉しかったです。
その後は近所の諏訪神社へ、元朝参りに行きました。
歩いていると身体が火照ってきて、冬のコートでは暑くなって脱いでしまうくらいに、とても暖かく、よく晴れた天候に恵まれました。
神社まで歩いている最中、道路を行き交う車も少なくて、なのはなだけでなく、地域一帯が元旦の静けさに包まれているようでした。
■日本の文化
道すがら、地域の方々とすれ違い、新年のご挨拶を交わすこともできました。「あけましておめでとうございます」と言葉にしていると、新年っていいな、という気持ちになりました。
気持ちを正して、神社の鳥居をくぐります。お賽銭を入れて、二礼二拍手一礼をし、神様に新年の挨拶を述べました。手を合わせて、今年一年が良いものになるように、改めて前向きに頑張っていこうという気持ちを、もう一度自分の中に落とし込みます。
神社の厳かな空気の中にいると、日本人としての文化を感じ、立ち振る舞いを意識して、心も身体も真っ直ぐになっていくようでした。
年の始まりの元旦を、たくさんの仲間に囲まれて、穏やかな気持ちで一年を迎えられる環境にあることが、とても幸せなことだと感じました。
二〇二三年もみんなと、畑、演奏、スポーツ、ミーティングなど、様々な活動に真剣に取り組んで、回復に向かって、手を繋いで進んでいきたいです。そしてそんな毎日を、みんなと幸せでいっぱいにして、利他心の世界をなのはなから広げていきたいです。
地域の方々にも支えていただくなかで、笑顔溢れる一年になりますように。今年もよろしくおねがいします。