【2月号①】「成人式と、なのはな写真館 ―― みんなの中で作られた、大人としての自覚 ――」さくら

  
 なつみちゃんと成人式を迎え、たくさんの方にお祝いしていただけて、嬉しかったです。大人を自覚する節目のときを、お祝いという形で実感させてもらえることが、幸せなことだなと思います。みんなが私達のためにお祝いする気持ちでいてくれて、たくさんあたたかい気持ちをもらって、恥ずかしくないように生きたいと思いました。

 ウィンターコンサートのとき、人が人として完成し、正しく自立するために一番大切なことは、「家族から大事にしてもらっている、認めてもらっている、そう思える体験を、思い出ファイルとして積み上げること」だと教えてもらいました。
  
  
 成人式を迎えて、みんなが本当にあたたかくお祝いをしてくださいました。大切な思い出ファイルを作ってもらった時間でもありました。みんなから大事にしてもらっている、こんなにも好きでいてもらっている、そう思うと、私は自分にこだわらなくてよくて、自己否定、被害感情もなくして、みんなのために自分を使いたい、そう思いました。

■建築メンバーと

 一月四日の夜に、撮影チームの発表がありました。かにちゃん、ひろこちゃん、まりのちゃん、つきちゃん、りなちゃん、一緒に成人を迎えるなつみちゃんと一緒に撮影をさせてもらいました。四日の夜には、リビングの真ん中の机に集まって、なつみちゃんと私といえばこれ、というものをみんなが挙げてくれて、私たちも撮りたい写真、ムービーを伝えて、何を撮るか決めました。

 五日の午前に、衣裳考案をしました。その日の午後の撮影で着る衣裳から、考案を始めました。なつみちゃんは大好きな本に囲まれる写真で、白地に黒いリボンなどが入ったワンピースに決まりました。私は建築が大好きな気持ちで、赤いつなぎを腰まではき、腹筋Tシャツを着て、首にタオルを巻いて、防音のヘッドフォンをつけ、腰袋をしました。
  
  

 六日の衣裳では、なつみちゃんが、なつみちゃんらしいトロピカルなスカートと黄色いシャツのポップな衣裳、私は緑のスパンコールチューブに宝石のネックレスで、エキゾチックな感じになりました。

 撮影チームのみんなや、あゆちゃんが、これが似合うのではないか、というのを真剣に見てくれていました。まりのちゃんが、こっちはどうですか、と言って服を合わせてくれるのが、とても嬉しかったです。
  

なのはなの大人スタッフでもあり、建築隊長の須原さんと撮影!

  

 五日の午後から、つなぎスタイルでの撮影をしました。建築でつかう道具を用意していたのですが、撮影で、その道具たちがいろいろなバリエーションになって、面白かったです。特に、ブロアが拳銃のようになったり、スパナが手裏剣のようになるのが面白かったです。撮影の途中で、あゆちゃんが須原さんに声をかけてくださって、須原さんがきてくださいました。

 須原さんが背景の中に入ってくださって、一緒の撮影がとても嬉しかったです。撮影の中でも須原さんのユーモアや恥ずかしそうな笑顔に、とても幸せな気持ちになりました。

 なつみちゃんの本の撮影では、かにちゃんが見せてくれたイメージ画像をもとに、背景は大竹さんが作ってくださった本棚を使い、その前に置いた机に、本をドーナツ状に積み上げて、本の間から顔を出すという構図でした。なつみちゃんが、ハリー・ポッターに出てくるハーマイオニーのようで、可愛かったです。

 なつみちゃんの前に本が積まれているということで、本よりもなつみちゃんを明るくしたいという照明がとても難しく、かにちゃんがストロボやスタンドライトの当て方を何度も調整してくれました。クルクルライトのオレンジを斜め上から当てると、夕日の差す図書館のようでした。
  
  
 六日午前には、私は五日と同じ衣裳を着て、須原さんとるりこちゃんと、籾摺り機倉庫、フォークリフト、バナナハウス、光田んぼの土留め、大門ハウスの橋、ユーノスハウスを周ってムービー撮影をさせてもらいました。

 るりこちゃんと色違いのつなぎを着て、同じ衣裳になりました。須原さんはいつもの服で、と思っていたのですが、籾摺り機倉庫での撮影が始まる時、気がついたら須原さんが腹筋Tシャツを着てくださっていて、そのことがとても嬉しかったです。須原さんと、るりこちゃんと、みんなと作った場所を、作業をしたときのことを思い出しながら周っていきました。

 りなちゃんとつきちゃんが撮影をしてくれていました。りなちゃんがカメラを持って、つきちゃんが合図をしてくれました。高い所から撮る撮影場所があったり、撮影場所を綺麗にするために草取りをしたり、ビー玉の花を磨くために川の水をすくってくれたり、「いいムービーを撮るためならなんでもするよ」と言って、身体を張ってくれたことが、とてもありがたかったです。

 須原さん、るりこちゃんが、私がやりたいことを一緒に楽しんでくださって、四人と撮影をしている時間がとても楽しかったです。
  
  
 十二時半頃に、なつみちゃんの撮影に合流しました。グラウンドの裏の木に囲まれた秘密基地のような場所でした。緑色のリボンを編み込んだ三つ編みと、目元の緑のアイシャドウがなつみちゃんに似合っていて、可愛かったです。

■大人として

 七日のお昼のハウスミーティングのとき、しなこちゃんが、
「二人がみんなからお祝いしてもらって、自分もお祝いをしていて、二人を見ていると、自分までお祝いしてもらっている気持ちになるんだ。私は成人式には出られなかったから、お祝いさせてもらえることが嬉しい」
 と話してくれました。

 なのはなに来る前だったら、成人式に出ることが考えられないことでした。なのはなに来て、みんなの中で気持ちを作ってもらっているから今があって、成人式を迎えられなかった人の分も、なのはなの子代表として成人を迎えたいと思いました。

 成人式前日の夜、お父さんから、成人式を迎えるときの気持ちについて、教えていただきました。
  
  
 成人、大人になる、大人であることを自覚する、というのは、今まで中身が空っぽだなと思ったり、気持ちのできていないところを周りの人に見せて、空っぽの人であることに甘えて守ってもらっていたところも、大人となっては空っぽでいるわけにはいかなくて、もし空っぽだとしても空っぽでない振りをして、やせ我慢をしてでも立ち続けて、大人として誰かを守っていく、空気を作っていくのだと教えていただきました。

 その場に必要な役割を演じていく、演じる、ということは、大人の嘘があることになります。私は、正直であることが美徳、のように思い込んでいました。それは子供な考えなのだと思いました。

 やせ我慢だったとしても、なのはなの利他心の空気を作りたい、そう思うと、空っぽだったはずの気持ちが作られていくような感じがしています。自覚する日ではあっても、成人式を迎えたから、二十歳になったから急に大人になるわけではなく、人にはそれぞれの年齢での役割があって、成人式はみんなで迎えるもので、社会にとって必要な役割を演じていこうと、それぞれに決意を固める節目の日だと教えてもらいました。
  
  

 また、伝統を守りつなぐという意味があって、一年でも空いてしまうとやり方を忘れてしまうので、日本の伝統的な和服、振袖を着て参加することが大事なのだと教えてもらいました。

■振袖を着て

 成人式当日、朝五時四十五分には、リビングのストーブをゆりかちゃんがつけてくれていました。まだリビングだけが電気がついていて、外はまだ日が出ておらず、シンとして暗かったです。

 あゆちゃんに髪、まえちゃんとあゆちゃんにメイクをしてもらいました。私の髪は、二つのお団子で、三つ編みをした二つの束をお団子にして、そこに桜の髪飾りをつけました。なつみちゃんは一つのお団子で、オレンジの髪飾りや、花火の線のようなカラフルな飾りがつけられて、艶やかな髪がとても綺麗でした。
  
  
 メイクも、丁寧に、綺麗に見えるようにしてもらっていると、成人式を迎えるということが、大きな節目なのだと感じました。
 村上さんが着付けをしてくださいました。村上さんから去年いただいた濃いピンク色の振袖が、とても嬉しかったです。村上さんの手があたたかくて力強くて素早かったです。

 毎年なのはなの子の着付けをしてくださる、村上さんの振袖に相応しく、綺麗に立ちたいと思いました。
 なつみちゃんは鶴の模様が入った赤い振袖で、緑の重ね襟、帯締めをしていて、とても似合っていました。

 勝央町の成人式では、今年百一名が成人を迎えました。
  
  
 毎年、成人を迎える姿を後ろから見させてもらっているから、先輩たちのお手本があることがありがたいと思いました。これから成人を迎える子も含めた、みんなが後ろにいてくれて、なのはなの子らしくいたいと思いました。

 成人式から帰ってきてから、なのはな写真館の体育館で撮影をしました。
 かにちゃんがスタンダードな写真を撮ってくれて、あゆちゃんとまえちゃんが遊びのある写真を撮ってくれました。

■温かい家族

 あゆちゃんのブースでは、アップを撮りました。

 椅子に座ると、みんながレフ板の銀マットで囲ってくれて、スタンドライトを構えたみんなが影をなくすように照らしてくれました。右手の壁際にはももかちゃんが、左手の壁際にはりんねちゃんが銀マットの端を持ってくれていて、そこから姿は見えないけれど銀マットを後ろで持ってくれている人がいて、左右から来た銀マットをまなかちゃんが台に乗って持ってくれていました。あゆちゃんが真ん中でカメラを構えてくれていました。

 りゅうさんが空気を盛り上げるために、「桜」の言葉が入っている曲を次々に流してくれて、りゅうさんも歌っていました。
 あゆちゃんが撮れた写真を「見てこれ」と言って周りの人に見せると、「かわいい!」と言ってみんなが嬉しそうで、一人ひとりの姿が優しかったです。
  
  
 かにちゃんのブースではストロボを使って、全身を撮影しました。
 ストロボと対角線にレフ版の銀マットを持ってくれるさやねちゃんやつきちゃん、みんながいてくれて、温かいユーモアの言葉が嬉しかったで
 かにちゃんがカメラを構える姿が真剣で優しくて、とてもかっこよかったです。
  
  
 お父さんが写真を撮ってくださいました。「大人っぽく」「口を閉じて笑って」と言ってくださいました。あゆちゃんがお父さんと私との写真を撮ってくれたとき、お父さんの表情から「自立した男性」と感じて、お父さんのきりっとした笑顔がかっこよかったです。そんなふうに大人としてあるべき姿を、見せ続けてくださっているのだと感じ、お父さんが私達のお父さんでいてくださることが幸せで、私もそういう大人になっていきたいと思いました。

 まえちゃんのブースでは、ひたちてまりの前で座った写真や、扇風機で風を受けての写真を撮りました。
 一つポーズをとる度、「かわいい」と言ってもらって、とても嬉しかったし、扇風機を向けてくれる、よしえちゃんや、まことちゃんも楽しそうで、風を受けるのも面白かったです。
  
  
 どのブースでも、十五人くらいの、みんながぎゅうぎゅうに囲んでくれて、私のほうから写真を撮りたいと思うくらい幸せでした。
 みんなで作る一枚一枚の写真なのだと思いました。みんなの姿を目に映して写真に写りたいと思いました。

■撮影チーム

 みんなが私達のためを思って体育館の準備をしてくれて、優しい気持ちでいてくれて、みんなのおかげで良い写真がたくさん撮れて嬉しかったです。

 成人式を迎えた気持ちと、抱負を言うところまで、撮影チームのみんながずっと助けてくれました。かにちゃんが中心となって、見てくれました。
  
  
 撮影のとき、私たちが綺麗に映るように、真剣に立つ位置や照明を考えてくれて、撮るときには、「いいねいいね」「可愛い」「ニコ」と、優しい声掛けをしてくれて、カメラの奥のかにちゃんの温かくて大きな瞳と、伝わってくる優しい表情に、かにちゃんが大好きだなあと思いました。

 メイクもしてくれました。指先、筆先から、かにちゃんが丁寧に綺麗にしてくれていることを感じました。かにちゃんが実況中継をしながら編み込みをしてくれたり、ユーモアで、温かくて和める空気を作ってくれました。

 ひろこちゃんが、見えないところでたくさん動いてくれていました。建築、本、魔女、ドレス、などの衣裳に合う曲を流してくれていました。ドレスを着たときには、『花のワルツ』やギター曲のオルゴールバージョンがあり、アコースティックギターでもいろいろな曲を演奏してきた、ひろこちゃんだから流せる曲で、ひろこちゃんが別な用事で撮影に来られないときでも、曲は流れていて、心遣いがとても嬉しかったです。

 衣裳選びで判断に迷ったとき、まりのちゃんが、静かに、だけど嬉しそうに、「これはどうですか」と差し出してくれたり、見てくれることがとても嬉しかったです。「二人とも似合っている」と言ってくれる言葉に心がこもっていて、とても嬉しかったです。
  
  
 つきちゃんが振袖のことを考えてくれたり、衣裳を片づけまで見てくれました。
 つきちゃんが、三回くらいやり直してシンデレラのお団子を作ってくれて、そのことがすごく嬉しかったし、なつみちゃんの魔女の三つ編みなどもしてくれていて、つきちゃんが髪の毛を結うのも上手なことを初めて知りました。

 りなちゃんが、ポーズをとると真っ先に、「かわいい」と言って盛り上げてくれました。

 「いいムービーを撮るためならなんでもするよ」と言ってムービー撮影をしてくれた、りなちゃんの姿が頼もしくて、とても嬉しかったです。

 なつみちゃんと一緒に成人を迎えました。なつみちゃんが優しくありたい、よくありたい気持ちがいつも強く伝わってきて、なつみちゃんと大人を自覚する決意を表明する成人式を迎えられたことが、とても嬉しかったです。

 撮影チームのみんながあたたかくて優しい空気を作ってくれて、楽しんでくれていることがとても嬉しかったです。次につながるようにストロボの使い方などもみんなが覚えていっていました。

 各チームのみんながお祝いムービーを準備して撮ってくれていました。「話したいけど、お楽しみで」と笑って声をかけてもらえることが嬉しかったです。成人式を迎えて、大人としての自覚を忘れないで、常にその場に必要な役割を考えて演じたいです。

 これからなのはなに来てくれる人に、自分がどんなふうに苦しんで、回復していくのか話すことができて、生きる姿から希望を持ってもらえる人でありたいです。

 お父さんお母さんが教えてくださることが、一瞬一瞬がかけがえのないことで、自分の精一杯で覚えて理解していきたいです。
 成人をたくさんの人のお祝いの気持ちがとても嬉しかったです。ありがとうございました。

*なのはな写真館 20歳のさくらちゃん