「『スカイフォール』の編集」 せいこ

1月31日

 あっという間に1月も終わります。来月は、味噌づくりや、ミーティング、春夏野菜の種まきとかも始まるのかな、と思うと少しドキドキするけれど、来月もみんなと楽しんで頑張りたいです。

*お父さんと一緒に編集*

 音源編集の中で1番、難しそうだった、ウィンターコンサートのオープニング曲、『スカイフォール』。バンド楽器に加えて、管楽器も入っているので、壮大さを出したいけれど、うまくミキシングしないと、音のまとまりがなくなってしまうと感じていたのですが、午後に、お父さんが図書室に来てくださって、どういう風に音を作っていけばいいかをみてくださいました。

 まずは、何も編集していない状態で1曲を通して聴きました。
「ボーカルをもう2割くらい上げてみよう」
 お父さんがそう仰いました。確かに、編集していない録音音源は、バックの演奏と歌が並列的に聴こえていました。コンサート本番の外音は、ボーカルが立つようにお父さんが調整していたのですが、この録音音源は、外音の録音ではなく、ミキサーの中に入って来た楽器たちの録音なので歌が立っていないようになっていたのだと思います。

 私は、ボーカルのボリュームを可視化できるバーをみて、
「これ以上あげるとボリュームのバーがオレンジ(音が割れているというサイン)になっちゃいます」
 と、言うと、お父さんが
「ボリュームを見るんじゃなくて聴いて判断するんだ。ちょっとピーク時にオレンジになっても実際に割れて聴こえなかったらいいんだ。全部をこのバーで判断して小さくまとまった音にしてしまうと壮大さが足りない音源になる」
 と教えてくださいました。
 確かに。目に見えるこのバーは便利だけれど、これに惑わされるなぁ、と思っていることが度々ありました。改めて、耳で、楽器の音の奥行きを捉えることの大切さを知りました。

 その後も、お父さんが、各楽器のイコライザーを調節し直してくださいました。
「ハイハット、シンバル系も、ボーカルがよく響いている音域を下げないと、ごちゃっとしてしまう。いいアクセントにするには、ボーカルの音域を下げて、高音を少しあげる」
「ベースはもっと低音をあげて、これもボーカルの音域を下げる。こうするとボリュームをいまよりうんと上げても、うるさくならないし、かえって全体がどっしりした安定感のある演奏になる」
 一つひとつお父さんが教えてださって、最後に曲を聴き直すと、まるで別物のような音源になりました。初めは、ただ散り散りに各楽器の音がなっていたような音源だったのが、あゆちゃんの声を中心として、重低音のベース、バスドラムがそれを核でしっかりと支え、左右にバランスよくパンを振った(これは以前にさとみちゃんが各楽器のパンのバランスを緻密に考えてくれました)コーラスや、ギター、ストリングス、ピアノ、管楽器があゆちゃんの声を後押しするような壮大さを演出したようなミキシングになってすごく感動しました。

「マスターのボリュームは、この後、音を圧縮して大きくするだけの余裕を残すために-5dBくらいをピークにしていいよ。だけど、これも一時的にその音量を超してしまうのは全然大丈夫だから、目よりも耳で聴くこと」
 そう言ってくださってお父さんのレクチャーは終了。とてもとても為になりました。

 その後、このスカイフォールで、場面によって、もっと前に出て来てほしい楽器を部分的に上げたり、雑味を消したりといった作業を進めたのですが、お父さんに地盤を作ってもらってからだと、よりその作業が楽しかったです。
「2番のAメロで入ってくる管楽器、特にえつこちゃんのトロンボーンの重低音をもう少し上げてみよう」
「2番サビ前の、さとみちゃんや、あんなちゃんの音を、ちょっと立つようにするにはどこを調整しようか」
 みんなの演奏を聴きながら、このスカイフォールの魅力的な所、好きな所を深められる時間を満喫していたら、あっという間に午後の作業時間が終わりました。
 お父さんのミキシングの方法、それによる音の聴こえ方の違い、それをもっともっと感覚的にも深く理解できるようになりたいと改めて思った1日でした。
 明日からの作業も楽しみです。

 今日も1日ありがとうございました。