「たけちゃんがお手本」 りんね

1月27日 

 

〇雪かき

 今日の午前はあゆちゃんを中心に、ハウスの雪かきを大人数で行いました。

 みんなでハウスにとりついて、ずっしりとハウス側面に積み重なった雪を、外側へと、力を使って出していくのは、とても楽しかったです。

 新ハウスから、吉畑下へ雪の塊を落とすと、くぐもった音を立てて雪が砕けました。みんなが落としたボコボコの雪が連なっていると、なんとなく南極にいるような気持ちがしました。

 今日の最難関は、崖崩れハウスのハウスとハウスの間に降り積もった雪を、開通させることでした。

 ハウスとハウスの間に、私の目の高さほどもある雪がぎっしりと詰まっていて、最初は見なかったことにしたくなるくらい、でした。

 けれど、あゆちゃんが先頭に立って力強く掘り進めてくれて、そこへ加わることができました。

 あゆちゃんとまよちゃんが掘ってくれた雪を山にしてくれて、それを私がハウスの外側へと中継して送り出していました。少し進んで、私の後ろにほしちゃんが来てくれました。

 そのとき、私は非常に申し訳のないことをしてしまいました。

 ほしちゃんの思っているイメージと、私の思っているイメージに少し違いがあったのですが、私は、ほしちゃんが立っている場所が近いのに対して、私の頭の中にあるイメージで、ほしちゃんがもう少し遠くに立っていることを前提に、雪を送ってしまっていました。

 しかも、「速く雪を送らなければ」ということに頭を支配されて、あゆちゃんにストップをかけてもらうまで、自分の暴走を止めることができませんでした。

 これは、非常に失礼だし、嫌な気持ちにさせてしまったな、と思います。

 けれど、一旦落ち着いて体勢を立て直すことができて、ほしちゃんは多分心の中で大らかに許してくれたと思います。

 何よりも目の前の人を大切にして作業ができるように、自分に余裕がないときほど、そのことを意識できるように、変わりたいと思いました。

 最後はみんなで、ハウス間を開通させることができて、嬉しかったです。

〇夜の集合

 夜の集合でのお話が、自分にとっても大切なことだったな、と感じました。
 自分の持っている多くの責任に対して、限界を感じつつあることについての、質問がありました。
 お父さんの答えは、リラックスするところ、集中するところを意識的に作る、ということでした。また、役割に対して、絶対に妥協しないのではなく、時には自分の体調を万全にすることを、優先してもいいということを、教えてもらいました。

 お父さんの物書きだったころのお話も、してくれました。

 20年以上物書きを続けていて、最後のアンカーの仕事になるまでは、「この仕事は向いていない、いつか辞めたい」という思いを抱いていた。けれど、自分にしかできない役割があるのではないか、ということを想うと、物書きを続けることができたと教えてもらいました。

 米山さんという、物理学者の女性のお話も、印象的でした。

 物理学者同士で結婚をして、優秀な夫は海外の大学へ呼ばれ、研究や教鞭をとることに忙しかった。米山さんは、夫が第一で、自分は付き添いという形で、夫の行く先々で、現地のセミナーを受け、一応自分も、物理学の端に存在し続けていた。

 それで、次の物理学の会長を決めるとき、一番世界中の物理学者と繋がっていて、親しかったのは、奥さんの米山さんだったから、多くの人に推挙されて、会長になったというお話でした。
 その話のように、自分の立場に不満を持たず、流れの中で役割を頑張り続けていたら、いつか必ず良い流れがくると、教えてもらいました。

 この話を聞いて、私は今に対する不安や、焦りを無くして、流れに身を任せて頑張っていきたいと思いました。

 お母さんも質問のことについて、お話をしてくれました。

 「みんなは、小さいころにちゃんと見てもらっていなかったから、上手に、全力を出して楽しんだり、休んだりすることが、できないんだね」と教えてくれました。
 私も、今日も感じたことでしたが、全力を出すような作業をして、体力の限界を超えても、なかなかセーブさせたり、休んだりすることが、できません。

 今日は、午前の雪かきをしてから、午後、さんざん迷ったあげく、一人勝手に、消え入りたい気持ちになって職員室、行って、夕食までの2時間は休ませてもらいました。
 本当はみんなと同じように働きたいけれど、体力が無くて、すぐに体調を崩してしまう。また体力を使う作業をしたら、そうなると思うと、怖いな、と感じてしまいます。
 お母さんの言葉を聞いて、それは自分だけではなく、みんなにも共通することなのだと思いました。

 たけちゃんがお手本だと、お母さんが教えてくれました。
 遊ぶときは心置きなく楽しんで、休むときは安心して眠る。たけちゃんを見てくれる人がいることは、たけちゃんにとって本当に大切なことでした。
 そして、みんながみんなのことを、たけちゃんを見るように見守っていたら、いいんじゃないか、とも教えてくれました。
 私も、頑張るときと休むときのメリハリをつけて、楽しんで生活できるように、なっていきたいと思いました。