1月27日(金)「優しい満月のように」

1月27日のなのはな

 バンペイユ。漢字で書くと晩白柚。
 晩成品種で果肉が白いことから晩白柚と名付けられたこの果物は、雪の降る今日、無事に収穫を迎えました。

 4年前、盛男おじいちゃんと苗木を吉畑ハウスに植えてから、枝葉を伸ばし、丈夫に成長してきた晩白柚。実をつけるのは、今回が初めてです。

 

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 晩白柚は世界で最も最大の柑橘類としてギネスにもなっているくらい、実はずっしりと重く、直径が20~25センチとバスケットボールのようです。

 なのはなファミリーで晩白柚を育てるのも、私が晩白柚を育てるのも初めてのことで、晩白柚を育てるにあたり、心配なことも多かったのですが、この大寒波にも負けず、真っ黄色に熟れた晩白柚の姿は、とても逞しく、力強く私の目には映りました。

 記念すべき、晩白柚の収穫。
 あゆちゃん、かにちゃん、りなちゃんと一緒に吉畑手前ハウスへ行きました。

 いつのまにか、私の背を遙かに超えて、すくすくと育った晩白柚。
 まだ樹自体は小さいけれど、1本で15玉の大きな実をつけました。それも、1玉1.5~2キログラムのお月様。

 5月には真っ白な、ジャスミンとシトラスを混ぜたような香りのする花を咲かせ、夏の暑い日も、水やりをしに行く度に葉っぱを艶々とさせ、がっしりと枝を太くしていった晩白柚。

 寒くなってきたら、籾殻をたくさん地面に敷いて、収穫前は水やりを控えて、甘さが乗るように気を配りました。

 

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(どうか、甘酸っぱくて綺麗な実がなりますように)
(どうか、盛男おじいちゃんによい報告ができますように)

 あゆちゃんから、「盛男おじいちゃんは晩白柚が大好きなんだよ」と聞いて、より、私の心も、まん丸に光る晩白柚のように、お月様が優しく照らしてくれているような明るい気持ちになりました。

 りなちゃんと一緒に剪定ばさみで晩白柚の枝を切り、収穫をすると、ずっしりと手に重みがかかりました。
 思わず、そのまま抱きしめたくなるような可愛らしい色と、爽やかで甘い香りのする晩白柚。

 あゆちゃんとかにちゃんが見守ってくれる中、りなちゃんと一緒に、かごいっぱいに晩白柚をとりました。

 

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 1玉、2キロほどもある晩白柚はとても迫力があり、夕食の時にみんなに収穫した晩白柚を見てもらうと、お父さんとお母さんが、
「今まで見た中で、一番大きい晩白柚だね」
「よく、ここの地で、こんな立派な実ができたね」
 と言ってくださりました。

 今後、晩白柚は2週間ほど追熟して、皮は子供組のみんなと、とある日に向けて加工をする予定です。

 無農薬で育った、なのはな産の晩白柚をみんなでいただける日が楽しみだし、来年ももっとたくさん実をつけて、綺麗で美味しい晩白柚ができるよう、大切に育てていきます。

(ななほ)

 

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〈晩白柚の木の隣にある、バナナ用の3重ハウス内は……雪がちらつき始めた午後3時の時点でも、気温36度を保っていました!〉

 

***

 週末に来る次の寒波に備えて、ビニールハウスの雪かきを行いました。

 なのはなのビニールハウス、9棟。大雪で骨組みが曲がってしまったハウスと、そのままの形を保ったハウスがありました。
 今日行ったのは、吉畑手前ハウス、二重ハウス、新ハウス、崖崩れハウス2棟の側面の雪かきでした。

 

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 ハウスの屋根に降り積もり、そこから側面へとなだれてきた雪は、ずっしりと固まっていて、かなり分厚かったです。このまま、次の大雪が来てしまうと、さらに降り積もった雪が降りる場所がなくなってしまいます。
 須原さんやみんなで、竹のつっかえ棒をハウスの中に立て、補強はしてあるのですが、2回分の大雪がハウスにのしかかってしまうと、さすがに耐えられないかもしれません。
 雪がやんだあと、手早く修繕作業に取り掛かるためにも、今、降り積もっている雪をかく必要がありました。

 

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 ハウスの一辺ずつに大人数でとりついて、自分の担当する区画の雪を、地面が見えるくらいまで、てみでかき出していきました。
 はじめに進めた、下が斜面になっているハウスの側面は、雪をそのまま斜面の下に降ろすことができました。斜面の下に落ちた雪は砕けて、一面にそのボコボコした雪が落ちている様子が、なんとなく、南極にいるようだな、と思いました。

 斜面の麓にあるハウスでは、難しさも上がりました。斜面とハウスの両側からの雪が、ハウスの側面に溜まっているため、雪の深さもあったし、雪を斜面の上側に上げる必要があるため、今までになく背筋を使っていることを感じました。少しずつ、雪を羊羹のように切り出して、上へ放り投げることを繰り返していると、だんだん背中から全身が熱くなっていきました。
 けれど、力のあるみんなで取り付いていると、吉畑に並ぶ3棟の雪かきは、順調に終えることができました。

 

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 次に向かった崖崩れハウスは、一番の難関でした。
 それは、道路側ハウスと真ん中ハウスが向かい合っている面の、雪かきです。ハウスとハウスの間は、私には目の高さくらいまでの雪が、隙間なく積もっていて、はじめに見たときは、心の中で、見なかったことにしたくなってしまいました。
 あゆちゃんが勇ましく、先頭に立ってその雪を、かき始めてくれました。

 奥側から、あゆちゃんとまよちゃん。手前側からは、りなちゃんが先頭に。私は、あゆちゃんとまよちゃんが削りだして山になった雪を、更にハウスの外側へ送っていきました。
 私の外側にはほしちゃんがいてくれて、私が送った山を、さらに外側へと送ってくれました。
 最初は途方もなく感じていたけれど、流れができてくると、あゆちゃんたちの力強さで、確実に掘り進んでいけていることが感じられました。2人が削りだす雪は、ときには一抱えもある巨大な塊になっていました。てみに受け取ると、ずっしりとして、でも雪だから、そこまで重くはありませんでした。

 

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 あゆちゃんが、次から次へと雪が来ることを気遣って声をかけてくれたのですが、もちろんマイナスな気持ちにはなっていなかったし、だんだん、身体の疲れも感じないゾーンに入って、夢中になっていました。
 ただひたすらに、2人から流れてくる雪を、ほしちゃんへと送り続けて、ほしちゃんもハウスの外へと送り続けてくれていました。雪の出口が遠くなると、ひろこちゃんとよしみちゃんも来てくれて、列になって雪を運んでくれました。

 手前から進んでいた、りなちゃんとの距離が近くなって、最後は距離の近い手前から、あゆちゃんたちも雪をかいて、みんなでバケツリレーをして外へとつないでいきました。
 はじめ見たときは、まるで信じられなかったことだけれど、ハウスとハウスの間は、綺麗に雪が無くなりました。トンネルを開通させるとは、こういうことなのだな、と感じました。

 

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 今回の雪かきは、今まで一番体力を使う雪かきでした。
 あゆちゃんを先頭に、一人ひとりがそれぞれの全力で、一生懸命、雪をかいて、みんなで達成感を感じられたことが、嬉しかったです。
 セロリ、晩白柚など、元気な作物の育つ、守られたハウス。みんなで雪かきをして、さらにみんなの思いが、ハウスに満たされたのではないかと思います。
 週末の寒波にも耐えてくれるように、願っていたいです。

(りんね)