「聞こえてくる音は」 るりこ

1月25日

○雪かき
 こんなにも雪が積もるとは思ってもみませんでした。
 昨日の夕方から降り始めた雪は朝になっても降り続いていて、だんだんと恐怖を感じるくらいになりました。古吉野一帯が雪にすっぽりと包まれてしまって、閉塞感みたいなものを感じました。
 これだけ降ったら、ビニールハウスが雪で押しつぶされてしまって、9棟ある内の5棟が修繕しなければならない状態にまでなってしまいました。ハウスの危険を全然考えられていなかったことがものすごく悔やまれたけど、わたしがなのはなにいた中でこんなに雪が降ったことがなかったので、失敗を糧にして、これからは大雪と聞いたら真っ先にハウス対策を考えられるようでありたいです。

 午後からはみんなで雪かきに出ました。正午くらいから雪が止んで、雪かきをスタートする頃には空が明るくなって、ようやく止んでくれたとほっとしました。
 わたしはまえちゃんチームで、野畑に上がる坂から半分畑までの道のりを、まえちゃん、のんちゃん、さきちゃん、せいこちゃん、りさちゃんと担当しました。
 始まって5分も経たないくらいに、汗をかき始めて、服装に失敗したなと思いました。今日は最高でも1度くらいだと聞いていたけれど、雪かきをすると、全身を使うので本当に体力仕事です。でも道のりは長いので、無心になって、ひたすら雪を寄せていきました。

 気温が低いなかでの雪だから細かくて、水っぽくなくさらさらしていて、軽かったことが救いでした。地道だけど、確実に前進していて、後ろを振り向くときれいな道が広がっている景色を見ながら、自分を奮い立たせました。

 自分1人じゃ果てしないけれど、周りにはまえちゃんやさきちゃんがいて、時折、「おりゃ」と声を出し合って、笑ったりしました。その当たりでお父さんが来てくださって、「なんだかこのチームは元気があるな」と言ってくださったことが嬉しくて、やる気が上がりました。
 わたしたちがテミでかいていった後を、せいこちゃんとりさちゃんが角スコで追いかけてくれて、りさちゃんも疲れていたと思うけれど、一緒になって頑張ってくれている姿がとても嬉しかったです。

 3分の1くらいまで進んだあたりで、お父さんが崖崩れハウス方面からユンボで雪をかいてくださると、まえちゃんに連絡が入りました。
 そこからは、お父さんのユンボと自分たちのどちらが速いかをテーマにしてやりました。
 だんだんとユンボの音が聞こえてきて、野畑の頂上でお父さんが乗るユンボの姿を目にしたときは、ユンボのパワーに助けられたと思いました。雪道の中でも、ユンボを器用に操作してきれいに雪を寄せていくお父さんの運転さばきが格好良かったです。

 半分畑前までが一段落してからは、みんなのもとへ合流して、古吉野の坂から橋までの道のりを雪かきをしました。気がつけば、他の場所を回っていたチームも集まってきていて、台所の子たちもお仕事組さんの姿もあって、全員総出で長い列ができていました。

 わたしは雪国で育ったから、大雪も雪かきも日常のことで、今でも雪には良い思いがないけれど、みんなとやる雪かきならどんなに大変でも頑張れて楽しいなと思いました。
 また、雪国は除雪車がやって来て、大型機械で雪を除けてくれるけれど、まだ薄暗くて寒い夜に響くガーッというエンジン音が、わたしはずっと寂しい感じがしていました。
 でもみんなとやる雪かきは人力でやるから時間もかかるし、体力もいるけれど、周りで聞こえてくる音は、誰かの笑い声だったり、はしゃぐ声、力を入れるときの「ふっ!」という声とかで、みんながすぐ傍にいるから寒くもないし、寂しくもないなと思いました。ずっと雪は嫌いだったけれど、今日の雪かきは楽しかったです。
 すでに腰が鈍い感じがしていて、今日は疲労困憊でよく眠れそうです。
 おやすみなさい。