私が入った、ウィンターコンサート最初の舞台背景の作業は、籾摺り機倉庫の裏から、足場のパイプを出す作業でした。
スプリングコンサートで舞台背景の設置をしたとき、足場パイプを組み立ててから二階の床板を取り付けていく工程に時間がかかり、照明やダンスの場ミリなどの時間を短くしてしまったことが、とても悔しかったです。これまでは、足場パイプに桟木を置き、その上にベニヤ板を二枚重ねで二十四枚(十二枚分のスペース)、ビスを打ってとめていました。
ウィンターコンサートでは、設置が早くできるように、須原さんたちと、事前に古吉野で床板を六枚、組み上げました。六スパンある足場に対し、六枚の床板をはめ込むだけで良くなり、そのことで搬入搬出も早くなりました。
足場の下に四人、上に四人がつき、床板を下から持ち上げ、上の人がもらって、敷いていきました。床板は重さがあるので、足場に固定しなくても、置くだけで安定していました。
サテン布の吊り込みでは、まえちゃんたちが細かく計算をしてくれていて、ホールでの設置をスムーズにすることができました。
舞台が大きく見えるような、波の飛び出しや、センターの唇のくり抜きを須原さんがされていました。そのままベニヤ板に下書きしてとっていくと、ベニヤ板の無駄になってしまう部分が多くなってしまいます。無駄が出ないように分解して切り抜かれているのがすごいなと思いました。
須原さんが、夜も寒くなく制作ができるように、籾摺り機倉庫をビニールハウスにしてくださって、そのアトリエで様々な制作が進みました。ドアの取っ手は木の枝で、なのはなの飾りがついていて、とても可愛かったです。
ウィンターコンサートでも大竹さんが来てくださり、舞台背景、小道具の制作を助けてくださいました。
「あなたの使命」「ミミズのような生き物」「視床下部」「本棚」「影絵」「六腑」と、劇で使う小道具をたくさん作ってくださいました。
LUCAがとうこさんに渡した札は、細かく切り抜きされた木が白く塗られていて、二枚の模様が合わさったようになっていました。そのデザインが繊細で綺麗で、「あなたの使命」という文字はないけれど、あなたの使命だと思えるもので、すごいなと思いました。

ミミズのような生き物は、「こんな顔になるんだ」と見せていただいたものが、お父さんの案から大竹さんが下描きされた絵で、この顔は想像していなかったというような顔で面白かったです。ジグソーでベニヤ板から切り抜きをさせてもらって、耳のとんがりや鼻の形が炎のシルエットみたいでした。
ミミズのような生き物や、視床下部はベニヤ板を白ペンキで一度下塗りをしてから、大竹さんが絵の具で色塗りをしていました。大竹さんがたくさんの色の絵の具を持っていて、色を混ぜて作る、グラデーションで、絵がぐっと深い感じになっていくのが、すごいなと思いました。
私はペンキの上にはペンキ、舞台背景にはペンキ、のように思っていたけれど、絵の具は、洗うと落ちやすくて、色を混ぜて作りやすいのだと思いました。
胎児の影絵は、大竹さんがベニヤ板に下書きをしてくださり、線に沿ってジグソーでくり抜きをさせてもらいました。くり抜いていく順番などを教えていただいて、ジグソーで線を残してくり抜いていくのが、とても楽しかったです。
五臓六腑の六腑は、発泡スチロールで作られていました。発泡スチロール板を必要な厚みになるように重ねて、彫刻刀で削られていました。
彫刻刀の刃は、天然砥石を削って刃に合わせた専用の砥石を作って、自分の手で研いでいくそうです。よく切れる刃物で削った木は、削られたところが綺麗になるのだと教えていただいて、大竹さんが実際に木材を切ってくださいました。触ってみると、ツルっとしていて、見た目も艶々になっていました。
刃の切れ味によって、削られた感じが全く違うようになることが驚きました。料理でも同じなのかもしれないと思いました。
また、彫刻刀の持ち手の部分も木を削って、自分の手に合うものを作ると教えていただいて、すごいなと思いました。
大竹さんが来てくださって、制作の過程が見られたり、制作のお手伝いもさせていただけて、とても楽しかったです。
舞台背景の係のみんなや何人かのお仕事組さんと、色塗りなどを進めて、ホール入りまでの残りの数日間で完成させていくことができて、良かったです。
「今年の舞台背景が今までで一番好き」と言ってくださる方もいて、嬉しかったです。
舞台背景の制作が、成功体験の多いものになって嬉しかったです。