「嬉しい日」 るりこ

1月10日

○嬉しい日

*朝のこと
 朝、目が覚めると、カーテンが半分開いていて、その隙間から眩しいくらいの光が差し込んでいました。なんだか絵に描いたような目覚めだなと思ったのと、その光をみた瞬間に、(良い天気そう!)と思って、半分眠っていた身体も一気に覚醒しました。
 居室を出て、外を見ると、ものすごく明るくて、しかも最近にしては珍しく霜も降りていませんでした。暖かそうだと思いました。
 身支度をして、一度リビングに行きかけましたが、窓を見ると、本当に暖かそうな気候が広がっていて、思わず外に出て、朝陽を浴びたい衝動に駆られて、押さえきれなくなって、外に飛び出しました。野菜の見回りがてら、少し散歩に行こうと思いました。

 石の下畑に向かっている途中、野畑から石生田んぼが広がる景色が見えました。トラクターをかけたのか、地面の土が見えて全体に茶色の田んぼと、雑草が伸びて薄黄緑色の田んぼが交ざっていました。空気が澄んでいて、気持ちよくて、もっとよく見えるところに行こうと思って、山畑の白菜を見に行くのを口実に、その足で山畑に向かいました。

 歩いていると、すぐ近くで鳥の鳴き声が聞こえてきて、思わず鶯が思い浮かびました。でも今朝の天気は鶯が鳴く春といってもいいくらいに、一足早く春が来たと勘違いしてしまいそうなほどに暖かくて良い季候でした。

 山畑の少し急な坂を登って、畦に上がると、野畑よりもよく石生田んぼの景色が見えて、その下で通勤の車が行き交っているのが見えました。
 見える景色が1人で見ているのが勿体ないくらい、穏やかな景色で、(あぁ、自分は今幸せだな)と思いました。何か特別なものを手にして得られる幸せよりも、自分はこういうきれいな景色とか、気持ちよい天気とか、穏やかな朝の時間を大切にして、日常にある小さな幸せを自分で見つけられる生き方をしていける人になっていきたいと思いました。

 朝食の時間になるので、ゆっくり歩いて帰りました。思い切って散歩行ってよかったなと思い、良い朝の時間を過ごすことができて嬉しかったです。
 
 朝食後も外回り掃除がいつも以上にはかどりました。こんなに天気がいいと、外に出たいくらいで、みつきちゃんと、ずっと、「良い天気だな」と言っていました。
 暖かくて、空気が澄んだ気持ちよい空の下にいて、日光を浴びていると、このまま人生も明るくなるような気がしてしまうくらい、身体の内側からエネルギーが満ちあふれてきて、最高の気分でした。

 天気1つでこんなに気持ちが変わる自分もすごく単純だなと思うけれど、やっぱりわたしは春みたいな陽光がものすごく好きです。これから春に向かって暖かくなっていくことを思うと、嬉しくて仕方ないです。

*ユズのコンポートづくり
 午前はりなちゃんとどれみちゃんとゆずのコンポートづくりに入らせてもらいました。
 今季はゆずが生り年だったと聞いていて、前回も一度だけ、ゆずの化粧水と柚味噌づくりに入らせてもらいましたが、まだまだ加工したいゆずがたくさん残っているのだと、りなちゃんが教えてくれました。今日はそれらを使ってコンポートを作ると聞いて、わたしは初めての経験だなと思って、作業に携わらせてもらえて嬉しかったです。

 まず洗ったゆずの皮をむいて、鍋で15分ほど茹でます。その間に炊くときに使う、果汁を調達するために、半分カットしたユズを搾りました。
 鍋から上げたユズは水分を吸って柔らかくなっていて、続いてそれを半分にカットして、中の種をフォークで取り除いていきました。普段美味しくいただいてるユズのコンポートを思い出したとき、ひと口ふた口くらいでパクッと食べていることを思い出して、(あぁ、こうやって1粒残らず種を取ってくれていたから、そのまま食べることができていたんだ)ということに気がつきました。

 ユズはみかんと比べて、種が多くて、1房に2、3粒も種が入っていることもありました。取り残しがないように丁寧にフォークの先端でほじっていくと、1カット分の種を取るだけでも、結構な量が出ました。最終的には、小さなボール山盛りに種が出ました。こちらも捨てずに、焼酎につけてユズ化粧水にするんだと、りなちゃんが話してくれました。

 改めて、ユズは皮も中身も種もすべて余すことなく使えるのだなと思って、万能だと思いました。そのままで食べることはできないから、なのはなに来るまでは、果物としてあまり好感がなかったけれど、こうして調理にも化粧水にも何にでも利用できることを知って、ユズに対する見方が180度変わったなと思います。
 
 一鍋分、種取りをしたユズが揃ったところで、りなちゃんが砂糖と果汁を合わせて、炊いてくれました。わたしは引き続き、どれみちゃんと2鍋目のユズの種取りを続けました。
 途中、河上さんも気に掛けてくださって、一緒に種取りをしてくださいました。
「この作業、みんなも好きじゃろ」と河上さんがおっしゃって、わたしもどれみちゃんもうんうんと大きく頷きました。ひたすらフォークで種を取るという単純な作業だけれど、手が止まらなくなるくらい楽しかったです。

 横でりなちゃんは火にかけた鍋を煮詰めてくれていましたが、50分が経ったくらいに、「そろそろできそうだよ」と声をかけてくれました。台所全体もユズの香りが充満しています。りなちゃんに誘われて、そっと鍋をのぞくと、カットしたときは黄色だったユズが、煮詰められると、グレープフルーツのようなピンクオレンジがかった優しい色合いに変化していて、宝石みたいに艶が出ていました。
 食卓でいただいているコンポートは周りに甘い液がからみついて、とろとろしているけれど、こうしてりなちゃんが丁寧に炊いてくれていたのだなと知って、だからあんなに美味しいんだと思いました。

 作業が終わったあとも、手の平からユズの香りがしていて、河上さんと、りなちゃんと、どれみちゃんと作業した時間を思い出して、優しい気持ちになりました。
 久しぶりの加工作業がとても楽しかったです。

*タマネギの液肥やり
 午後からは、まりのちゃんと夕の子畑のタマネギの液肥やりに行きました。
 タマネギ畑に行くのは、定植前に苗床の草取りをした以来でしたが、担当者のまなかちゃんから、べと病がきていると聞いていたので、少し心配でした。

 液肥は硫安とアミノ酸を交ぜたものをジョーロでひと穴ずつ与えていきました。
 タマネギの畑は広くて、でも苗はまだ小さくて、マルチシートの穴も小さいです。ひと穴ずつ、ひと苗ずつ、十分な量が行き渡るように、腰をかがめて、ジョーロの口を近づけて、丁寧にやりました。

 1畝は3スパンに分かれていて、1スパンは5条あります。1条に6リットルジョーロ1杯の液肥を配ります。株数もある分、時間はかかったけれど、まりのちゃんが、「スピードよりも質を優先でやろう」と言ってくれて、畝間やマルチシートに液肥がなるべくこぼれないように、無駄が出ないようにやりました。

 まりのちゃんと作業をさせてもらうと、毎回、まりのちゃんの丁寧な仕事に背筋が正されます。焦っていたとしても、作業の質は変えずに、今終わらせることよりも最終的な結果、効果を最重視するまりのちゃんが、野菜に対しても優しいのだなと感じます。
 まりのちゃんといると、自然と自分もまりのちゃんのように作業に向かいたいと思わせてもらえて、まりのちゃんとの作業は落ち着いた気持ちでできて、まりのちゃんと過ごせる時間が好きです。

 2人ともひたすらジョーロを運んで、畑を行き交っていて、黙々と作業をしていたけれど、まりのちゃんと気持ちが揃っていることを感じました。その時間が嬉しかったです。
 タマネギは全体に元気がないように見えたので、今日の肥料が効いてくれるといいなと思います。

 今日は夕方まで天気は良いままで、夕日もとてもきれいに見えました。
 ナスの支柱の撤去作業もはかどったようで、みんなと気持ちよく1日を終えることができて、今日は本当に本当に嬉しい日でした。