「大切に想って」 ゆず

1月8日

 勝央町、成人式の日。
 さくらちゃん、なつみちゃんの20歳を迎える大切な1日を、みんなとお祝いさせてもらえることが嬉しかったです。

 朝、着付けを終えた2人が、リビングで振り袖姿をお披露目してくれました。
 さくらちゃんのピンク色の振り袖姿と、なつみちゃんの赤色の振り袖姿。少しはにかむような、けれど満面の笑みで、背筋を伸ばす2人の姿が、すごく綺麗だなと思いました。その笑顔が、とても貴いものに感じて、なぜか儚いような、切ないような気持ちになって、涙が出てきました。

 2人が、今日を迎えた気持ちや振り袖の着心地を話してくれました。
「自分たち2人だけの成人式ではなくて、20歳のときに成人式に出られなかった人にとっても、一緒に迎える成人式だと思う」
 さくらちゃんがそう言ってくれました。その言葉がとても嬉しかったです。
 昨夜、みんなが式を楽しみだと言ってくれる、それだけで嬉しい。そう、さくらちゃんが話してくれました。
「目の中に、たくさん、みんなの姿を入れて、写真に写りたい」
 そんなふうに言ってくれる、さくらちゃんの優しさを感じました。みんなの中で成人式を迎えることを、心いっぱいに感じているさくらちゃんが綺麗だなと思いました。

 式を迎えるまでの日々、みんながさくらちゃんやなつみちゃんを大切に思う気持ち。好きな気持ち。可愛らしいと思う気持ち。その気持ちを感じている中で、2人が、こんなふうにみんなから大切に思われているように、自分自身もそんなふうに大切に思われていい存在なんだ、そう思えました。

「人がお父さんお母さんに大切にされているのを感じると、自分も同じように大切にされているんだと思えて、安心する」
 以前、誰かがそう言ったとき、自分にはそう思えるだけの心持ちがないと思ったことがありました。けれど今、さくらちゃんやなつみちゃんが、みんなから大切に想われている姿を見て、自分自身も同じようにみんなから大切に想われていい存在なんだと、思えました。それは、たけちゃんを見ているときも同じで、たけちゃんがみんなから可愛がられているのを見ると、自分も幼い頃、こんなふうに可愛がられていい存在だったんだと思えて、少し自分を肯定できるような気持ちになります。

 自分はちゃんと成人式を迎えることができなかった。症状の最中にいて、何も希望もない、意欲もない、意思もない、記憶も曖昧。そんな20歳を過ごしてしまったことへの、取り返しのつかないような焦燥感。喪失感。そんなものではなくて、今年20歳を迎えるさくらちゃん、なつみちゃんと一緒に、今日1日を1つの節目として大切に過ごせること。2人の成人式を一緒にお祝いさせてもらうことで、自分にとっても気持ちが満たされていくこと。そのことがとても有難かったし、さくらちゃんの言葉が嬉しかったです。

 振り袖の着心地を、「今の気持ちに合っていて、この締め付け感が安心する」となつみちゃんが話してくれました。
 少しの緊張感と、節目を迎える背筋の伸びた気持ち。あらためて自分自身へ誓うような気持ち。その気持ちに相応しい、上品な振り袖。着物ならではの凛とした姿勢。
 身に纏うもので、その時を過ごす気持ちが変わると思いました。節目の1日を、きちんと節目の1日にすることができる。振り袖を美しく上品に着て、真摯な心持ちで成人式を迎えられることが、とても意味のあることだと感じました。

「守られる人から、誰かを守る人に」
 なつみちゃんがそう話してくれました。私も、1人の大人として、大切な人を、大切なものを守ることのできる人でありたいと思いました。

 夕食前、振り袖を脱いださくらちゃんやなつみちゃんに、お疲れさま、と声を掛けると、少しほっとしたような、満面の笑顔を向けてくれました。夕食のときの食堂は、お互いを大切に思うあたたかい気持ちで満ちているように感じました。

 式のあと、ホールの前で記念写真を撮るときに、雲が晴れて日の光が射してきた景色が、綺麗だったなと思いました。世界が、鮮やかになっていくように感じました。
 お母さんが話してくださったように、自分の使命は何なのか、どう生きていくのか。臆病なのは嫌い。イソップ物語のコウモリは嫌い。しっかりと定めて生きていきたいです。
 さくらちゃん、なつみちゃん、みんなと迎える節目の1日が嬉しかったです。ありがとうございます。