「みんなの支え、努力からできた最高の思い出」 ももか

 

 ウィンターコンサートは大成功! 
 この日はとてもかけがえのない濃い1日となりました。本番までの道のりは短いようで長く、9月ごろからの約4か月の間楽しかったこと、めげそうになったこといろいろありました。
 ですが、沢山の人に支えてもらって最高のステージを作り上げることができ、凄く、誇らしく嬉しかったです。

◆部活始動っ!

 私はなのはなに来てから、コンサートをずーっと楽しみにしていました。しつこいくらい、スタッフさんやみんなに「いつからコンサートの準備始まるの?」「ダンス練習楽しみっ」と、口を開けば言っているくらいでした。そして、遂にあゆちゃんからコンサートへ向けての部活発表がありました。
 私は今回「企画・広報」のチームで、ちさとちゃん、るりこちゃん、さやちゃん、まよちゃん、まみちゃん、まことちゃんメンバーと一緒になりました。明るくて優しいみんなと集まる金曜と日曜の夜は、私の1週間の楽しみになっていました。
 初日には当日までの大まかな予定を立てたり、ちさとちゃんに前回行われたスプリングコンサートのロビーやお客さんはたくさん座っている客席の写真などを見せてもらったり、ますますテンションアップ。
 当日の華やかな様子をイメージしただけで、胸が高鳴りました。

 別の日にはポスター配り。少し遠方のところはちさとちゃんとるりこゃん、やすよちゃんも帰ってきてくれて、3日程かけて、古吉野周りは私とるりこちゃんで行かせてもらいました。
 保育園や小学校、病院などたくさんのところへポスターを渡しに行きました。るりこちゃんに最初はお手本として見せてもらったのですが、その時のるりこちゃんの明るく可愛い笑顔、だけどお願いする立場なのでとても丁寧できれいな姿勢、態度がかっこよかったです。
 その時に「一番大切なのは、笑顔と、はっきりと伝えること」と言うのを教えてもらいました。いざ、ポスターを渡すとなると内心ドキドキ。ですが、(たくさんのかたにコンサートを見てもらいたい)という思いを強く持って足を踏み出し、るりこちゃんの言葉も胸においてお願いしました。
 すると、一瞬にしてさっきまでの緊張はほぐれました。なぜなら、「頑張ってね!目立つところに張っておくね」や「たくさんの人に配るね」などと笑顔で言ってくれたからです。
 ポスターを配り終え、後日、車に乗って市を通るといろいろな場所にポスターがキラキラと輝いて張ってありました。みんなで「嬉しい!」「ありがとうございます」と口々に……。また、さらに別の日にはジャムや味噌のラッピングなども、コーラス練習も本格的に始まっていたため歌いながらワイワイとし楽しかったです。

 ほかの部活の子も忙しい中でも、時間を見つけてはラッピングを手伝ってくれました。小さなことでも、みんなで作り上げるコンサートということを感じ温かい気持ちになりました。おまけに、全くコンサートとは関係ないのですが、部活で選果ハウスに行ったとき秘密の部屋を教えてもらいそこがまるでトトロに出てくるさつきとめいのおうちの様で面白かったです。

◆レッツダンス!

 なのはなのコンサートと言えば演劇、楽器演奏、そしてダンス。卒業生ののんちゃんが帰って来てくれて、9月からいよいよダンス練習開始。始めは全員ダンスでありコンサートの始めと終わりの曲『スカイフォール』『リカバリー』の振り入れ。私は初めての卒のんちゃんによるダンス練習、みんなとのダンス練習。

 今回のコンサートで経験したことはすべて初めてですが、ワクワク! 一番初めに卒のんちゃんが一通り踊って見せてくれたのですが、私はあまりの衝撃に目が点に……きれい、かっこいい、美しい、たくさんの素晴らしい要素が詰められていました。
(これをみんなで踊れるんだ)
 そう思うだけで嬉しくてたまらなくなりました。元気よく準備体操をして動きをわけてカウントでの振り入れが始まりました。

 最初は卒業生ののんちゃんの動きを目で追ってマネするので精一杯。でも、何回も同じところを、ひたすらゆっくりのテンポから段々曲と同じテンポへ、そして曲。と順々に焦らず練習することで、まだこの時点ではみんなと一体となる気持ち、動きをそろえるまではいっていなかったのですが振りが自分の身体へと入って行きました。

 振りの次はフォーメーション。きれいに並ぶだけで少し壮大さが増したのを感じました。この2曲の振り入れ後、別の日には『ザ・シード』。なんと12月には『オーバーパスグラフィティ』の振り入れをしてもらいました。
 『ザ・シード』はなんと、かりんちゃんが真ん中で踊ってくれます。私たちはかりんちゃんを囲う植物になります。振りは比較的単純ですが、私は動きができるなら歌詞にあった景色を思い描きながら植物になり切ろうと、この曲はほかの曲よりも早い段階で景色を描きながら踊る、表現することができました。

 コンサートが本当に間近に迫って来た12月、かりんちゃんが帰って来てくれて初めて一緒に踊った時、今まで真ん中にぽっかりと空いていた穴が、一瞬にして一人とは思えないほどの迫力のあるダンスで埋め尽くされました。私たちは外を向いて踊っているため見ることはできませんでしたが、まとっている空気から、オーラから、その迫力が伝わって来て、自然と踊りにさらに力が入ったのを感じました。

 『オーバーパスグラフィティ』は、やよいちゃんとみつきゃんが、光るローラースケートで登場してくれます。O Kマークを手で作って細胞のように行進。振りが完璧に決まるまで何が一番かわいいか、きれいか、みんなでワイワイと試行錯誤しながら練習した時間は楽しかったです。
 振り入れ後、ダンスに慣れてきたら、いよいよみんなとそろえる練習が始まりました。
 1カウントずつ、のんちゃんを中心にそろえていきます。あゆちゃんには「その曲の景色を描くことが大切」「近くのものに焦点を合わせては、縮こまったダンスになってしまう」と教えてもらい、歌詞に見合った景色を描きながら踊るだけで、何倍も表現しやすくなったし気持ちが入りやすくなりました。

 夜の時間も使って、バディで15分でも毎日一部分を何回も繰り返し練習を続けるだけで振りがそろうようになったし、全体で合わせた時にちゃくちゃくと感動するものに近ついている、みんなと繋がって来ていると感じ、それが感じられた瞬間、不思議と誇らしい気持ちになりました。
 ダンス練習を通してみんなと気持ちをそろえるということを意識して表現する楽しさ、気持ちよさを感じました。「気持ちがそろう」というのは簡単そうでものすごく難しいですがそろったときは本当に心から感じることができるのです……。

◆楽器演奏とコーラス

 私は今回のコンサートを通して初めてトランペットを演奏させてもらいました。
 今までの私のイメージはリコーダーのように簡単にふける、ピストンの押す指によって音階がすべて決まる。でも違いました。
 普通に息を入れても、息の音しかしない、ド〜?ぁで指が違ってもそれ以上は息の入れ方で音が変わる。最初は本当に苦戦しました。

 ほかのみんなは簡単そうに音を出している。しかもすごくきれいで、迫力のある音を。なかなかできず、あきらめそうにもなりました。でもあんなちゃんや、なつみちゃんたちトランペットメンバーみんなが、丁寧に教えてくれて、あきらめず時間がある時には吹く、ということをしたら、音が出るように→ソかラが出るように→迫力のある音ができるようにと、順々レベルアップして行くことができ嬉しかったです。また、なのはなのみんなにできるようになったことを話すと、自分のことのように喜んでくれて、それによりさらにやる気がでたし、自信にも繋がり、有難かったです。

 コーラスはせいこちゃんに教えてもらいました。なのはなにくるまでは、正直、歌を積極的に聞かなかったし、歌うこともなく、特に好きな曲もなく、そもそも歌うことが苦手でした。でも今回は違いました。歌ってて楽しい、気持ちいい。こう感じたのは、教えてくれる人自身が心から楽しんでいるから、一緒に歌うみんな全員も、心から楽しんでいるからなんだと思いました。ダンスだけでなく、動きだけでなく、声もみんなと一体となる。これもそろった瞬間が本当に気持ちよかったです。
 楽器演奏・コーラスを通してあきらめないことの大切さ周りの空気気持ちが自分の感じる気持ちに影響するということを知りました。

◆1日音楽練習!? 音楽合宿

 ダンス、コーラス、楽器、それぞれある程度できるようになり、それと同時にコンサートまでの日数もちゃくちゃくと短くなっていきます。もっともっとブラッシュアップさせたい。そういう思いに答えるように一日中コンサート練習ができるという音楽合宿が始まりました。
 1日練習ということは畑は放置? かと思いきや違いました。朝の時間を使って進めます。限られた時間の中いかに効率よくその作業に見合った質でできるか。みんなと協力して進めました。朝から練習とは別のところでみんなが協力し合い、一つになっている空気が本当に温かく、段々と寒くなってきている時期の朝であっても、寒さを吹き飛ばすくらいでした。私には練習前のめざましでもありました…。

 練習ではお仕事組さんも土日でいてくれる貴重な時間。時間を区切って一曲一曲ブラッシュアップさせて行きました。
 脚本の読み合わせもあり、演劇練習も始まりました。演劇が始まればあっという間に通し練習も始まりました。音楽合宿が始まってから、光の速さで時間が過ぎて行きました。本当にビックリ……。

◆演劇練習

 私は今回LUCA。とうこさんたちを見守り、支え続ける。物語のキーとなる役になりました。最初そう知ったときは、正直なところ、(自分にこんなに重要な役ができるのか)(みんなの足を引っ張らないようにしないと)と、内向きな事ばかり考えてしまっていました。
 ですが、とうこさん(やよいちゃん)博士(なおちゃん)たちが初めての私に、一つひとつ教えてくれて、脚本を読み込んで、お父さんお母さんにもアドバイスをもらって、練習を重ねるごとに段々とLUCAになることができ、不安は消えて行きました。むしろLUCAが私、私がLUCAに少しずつなって行くのを感じました。
 もちろんうまくいえないときもあったし、最初は目線がずっと泳いでしまっていました。夜の10時以降も練習と厳しい時もありました。でもそれがあったからこそなりきる楽しさを感じられたのだと思います。

◆ホール入り

 あっという間に、本番1週間前。
 1日目は舞台背景、照明のみんながホールへ行き。次の日から私たちも。ホールに入った瞬間、私は感動。感激。つい叫んでしまいました。言葉にならないほど素晴らしい舞台背景が目の前にあったからです。この前で表現できるんだそう思うだけで興奮がおさまりませんでした。

 2日目からは通し練習、古吉野でしてきたよりも出はけが難しかったりしたけれど、これもまた経験のあるみんなが、出るときに「今っ!」と背中を押してくれたり、ここではどう動か、待っている姿勢を教えてくれたりと支えてくれて段々と慣れて行きました。毎日、通しをすることで気持ちがステージに常に向くようになってきたし、周りの空気も一段と一つにまとまってきているのを強く感じました。

 通し練習で、初めてりなちゃんたちが和太鼓を叩いている姿を見たのですが、最初の一発目が響いた瞬間、何かが壊されたように、何かがはじけたのを感じ、涙があふれ出てきました。なのはなにきて私はずーっとずっと和太鼓がやりたくて憧れていたので、それもあるのでしょうかね。コンサートは関係ないのですが1月からみんなと習いに行かせてもらえることになり夢が叶うことになり嬉しく興奮で胸がバクバクに。

 話は戻って卒業生のみんなも次々と帰ってきてくれてどんどんにぎやかに。私は嬉しさでワクワク。
 ロビーの飾りつけもスタートしました。まだ、コンサート練習が始まったばかりの頃、ちさとちゃんに写真を見せてもらった光景が次第に目の前に形となって現れている。どんどん華やかになっていく。なのはな作お米、小豆、お仕事組さん作の父の筋トレTシャツやさくらちゃん作のあなたの使命キーホルダー、りゅうさんたち作米粉クッキーなどなどみんなが作ったとても濃い作物や作品も並びました。
 本当にみんなとお客さんへという優しく強い思いが形となり並んでいる。私は自然と、ロビーを通るたびに作品に吸い込まれて行きました。
 お客さんを迎え入れる準備もOK! そして、遂に…

◆本番当日!

 いよいよ待ちに待ちに待ちにまった本番当日。
 緊張、楽しみ、喜び、いろいろな気持ちが朝からあふれ出てきました。天気は快晴。雪予報だったとは思えないほどの良い天気に恵まれています。お父さんパワー! 午前中にはもう練習などせず、気持ちを入れ始めました。
 そして、あっという間にお昼の時間。お昼の席につくと、ビックリ。ぎゅうぎゅうです。ホールの方々、卒業生、卒業生の先輩や家族、お父さん、お母さん、みんな。こんなにも方多くの方々に支えられて、応援してもらって、協力してもらってこの日があるのかと思うと、有難くて仕方がなかったし、始まってもいないのに涙があふれそうでした。最後にお父さん掛け声の「エイ、エイ、オー!」こぶしを高く上げ、みんなと頑張ろうの言葉を。

 あっという間に本番の時間に。にぎやかな雰囲気から、だんだんと、静かで気合のたっぷりと入った空気に。私も自然と背筋が正されました。
 伝えよう! 届けよう! その一心で挑みます。開幕前にはりゅうさんとグータッチ!「二人とも初ステージ楽しもう、頑張ろう」と。

 いよいよ開幕。お客さんたちは面白い場面では笑ってくれたり、演奏中は温かく聞いてくれたり、終わればものすごく大きく温かい拍手をしてくれ、とてもとても嬉しかったです。
 お客さんと一体となっている、みんなとも一体となっている。このことを全身から感じました。エクソソームのシーンはいつも以上に緊張しました。でも、堂々としよう。博士たちとちょっと遊ぼう、そう思ってステージへ出ると、自分でも不思議なくらい今まで以上に楽しかったです。エクソソームをうまく渡せなかったらどうしようとか考えてしまわなくなりました。

 一番大事なあなたの使命のシーンでは、お客さんから見たらLUCAがとうこさんにあなたの使命を渡しますが、練習の間も本番も、どちらもLUCAが私自身にも渡してくれました。毎回そのシーンをするたびに、あなたの使命を考えさせられたのです。どんどんと話は進み、あっという間に小腸さんの話へ。
「しあわせを先送りにしないこと。今がしあわせであること」
 私はこの言葉が何度聞いても胸がぐっときます。今までずっと将来のためにと未来の保障ばかりを求め、今を楽しむことを我慢し、今のしあわせを犠牲にしていた。そのことをものすごく思い返されるためです。また、なのはなに来て今を楽しむ、今がしあわせだということが、どれだけ幸せかを感じたからです。イルミネーションを背中に温かいお客さんや支えてくださった方々を目の前に幕が閉じました。

 幕が閉じた後、みんな感動と達成感に浸りながら舞台背景を見つめました。終わってしまったという寂しさの涙も少しもありましたが、なによりも私はみんなで一つになってステージを作り上げることができた。自分たちのできる精一杯でお客さんに私たちが本当に伝えたいことを伝えることができたという達成感から、たくさんの方々が支えて下さったおかげで最高のステージを作り上げることができたという感謝で涙が止まりませんでした。
 本当に本当に初ステージが私の人生の最高の思い出になりました。

◆片付けと夕食

 コンサート後、舞台背景をこのまま解体しないで、ずっとずっと取って起きたいと思ってしまいましたが、そんなわけには行きません。かたずけまでがコンサートだと思って最後まで。かなり大物な舞台背景。それなりの時間がかかると思いきや、驚くほどのスピードで解体されていきます。さくらちゃんや須原さん、大竹さんたちの手早さに、一瞬、唖然としてしまいました。私は解体してくれた背景や楽器などをトラックに積んで行きました。

 大竹さんも一緒にやってくださったのですが、「木をバッキバッキ折らないようにしないと」「障害物たくさんです。乗り切れるのでしょうか」などと面白いことをいってくれて、その時間もとても楽しかったです。みんなと最後まで協力して、心を一つにして、20時にすべて終えることが出来ました。すると「ぐぅー」お腹がなりました。夕食の時間です。

 食堂に入ると温かいハンバーグが–−。みんなとコメントをまわしながら「おいしい!」と言い合いながら食べたその時間は、まさに小腸が喜んでいるのを感じました。そしてお父さんが「今回のコンサート大成功だったと思います」といって下さり安心したし、嬉しかったです。しあわせ。

◆コンサートを通して

 今回のコンサートを通してたくさんのことを感じました。
 お客さん、卒業生などのたくさんの方に本当に助けて支えてもらった事で、こうしてコンサートが成功することができたということがどれだけ有難いことかということ。
 しあわせを先送りにせず、今がしあわせであることがギブソンに勝つ方法だということ。など……。

 私が今回一番嬉しかったのはお母さんの言葉です。演劇練習のときに「ももかは親に認めてもらうために妹、弟の世話をずっとしてきたから、声もお母さんの声になっている。まだ小さいのに。お母さんではなくていいんだよ。4歳の子供になってごらん。ここでは一番年下のかわいいかわいい妹だよ」と言ってくださったのが何よりも嬉しかったです。
 今がしあわせであること。コンサートを通して改めて思いました。絶対にギブソンに勝つ!と–−。