「宇宙≦人体 ー駆け抜けた日々が希望の答えー」 さくら

◆利他心の気持ちをぶらさずに

「ウィンターコンサート、大成功でした。」
 コンサートを終えて、夕食のとき、お父さんがおっしゃいました。みんなと、応援してくださるたくさんの方たちと作ったコンサートが、真剣に受け取ってくださるお客さんに見ていただいて、大きな拍手をいただいて、大成功になったことが、とても嬉しかったです。
 脚本にある「あなたの使命」。私の使命は、ギブソン的な社会の中で傷ついたからこそ、その傷みを知って、どうしたら苦しくなく生きられるのかを知って、苦しくなく生きられる優しい世の中を作っていくことです。
 この脚本の中には、なぜ摂食障害や依存症になるのか、どうしたら利他心の心持ちをぶらさずに生きることができるのかの答えが詰まっていました。

◆サクセスストーリー

 1曲目スカイフォール。空が歪み崩れ落ちたとしても整然と立ち続けよう、という歌詞で、その気持ちで演奏しました。
 バンドの合わせのとき、お父さんが右手は鍵盤に触れるくらいで、左手の動く音を強く叩く、と教えてもらいました。ストリングスの左手の音は、まさに、ゆっくりと崩れ落ちていくフレーズと、立ち続けようという気持ちが表されたフレーズでした。
 一度幕が開いたコンサートを、何が起きたとしても、気持ちをぶらさずに、最後まで整然とやり尽くしたいと思いました。
 お客さんが真剣に見てくださっていることを感じました。伝えたいことをそのまま受け取ろうとしてくださっているような空気感で、演奏後の大きな拍手がとても嬉しかったです。

◆信念を込めて

 2曲目ビリーバー。お父さんのお誕生日会のとき、まえちゃんチームで作って踊ったダンスでした。そのときと同じダンスメンバーで、まえちゃん、ふみちゃん、まちちゃん、るりこちゃん、後ろにはりゅうさんが立ってくださり、踊りました。お誕生日会のときに考案した衣装で、銀のスパンコールスカートを加工したものを頭の飾りにしていて、綺麗にかぶれるよう、まっちゃんが気にかけてくれました。

 ビリーバー(信者)の中で、「傷みが信念を作った」という歌詞があります。摂食障害になるもとの傷み、なのはなに来て、どうして摂食障害になったか、どうしたら立ち直れるのか、答えを教えてもらいました。両親の不仲、家族が死んでしまう恐怖、それが利己的な社会の中で癒されることがなかったです。利己的な中で苦しみ、利己的では苦しくて生きられない、利他心でしか生きられない、苦しんだからこそ利他心で生きていくんだ、それが信念だと思いました。その信念の強さを振りの止めに表したいと思いました。

 お父さんが、ダンスのポーズ一つひとつに喜怒哀楽、気持ちがあると教えてくださいました。
 ホール入り4日目、曲に込める気持ちでわからないところをお父さんが答えてくださいました。ビリーバーでいきなりムンクの叫びのような顔をするところがあって、その表情に込める気持ちを質問させてもらいました。

 ビリーバーは1シーン目のギブソンと子分のシーンで、人間の心の中から愛が壊れていくのはギブソンとその子分たちが、大脳新皮質の損得勘定の化身となっているからで、この地球の人間全部に仕込まれています。
 ビリーバーはこの脚本の中では大脳新皮質を象徴する踊りで、ムンクの叫びのような表情は、大脳新皮質の損得勘定で生きることの破綻を表すと教えてもらいました。
 利他心で生きる信念を表現したい気持ちと、大脳新皮質のギブソンの子分の踊りであることと、2つがあり、どういう気持ちで踊ったらいいか考え直しました。

 ホール入り前のハウスミーティングのとき、お母さんが、ギブソンも傷ついた人であること、1シーン目の後のビリーバーが本当に合っているね、ということを話してくださいました。ギブソンも同じように利己的な社会の中で傷ついた人で、だけどギブソンは、だから自分も損得勘定の化身となって苦しめたものへの仕返しをする、という希望のない信念を持ってしまった人だと思います。自分を苦しめたものへの仕返しや、その人からの謝罪では、傷を癒すことはできないです。

 私はなのはなに来る前、家族に何回も当たり散らして、何度も謝ってもらったけれど、苦しさは解決できなくて、罪悪感と何も変わっていけない不安、焦りがあるだけで、そこからも逃げるようになっていきました。
 コンサートに向かう中での集合のお話で、傷は話し尽くして、同じように苦しんできてその苦しさを理解してくれる人に「そうだよね、苦しかったね」と共感してもらうことで癒されると教えてもらいました。
 自分の中にも損得勘定のギブソンがいて、ギブソン的な考えを持ってしまうこと、ギブソンの子分になることがあるけれど、私は苦しんだからこそ、利他心を強く持ちたい、それを表現したいと思いました。 
 演奏が終わり、はけるとき、お客さんからの大きな拍手が「そうだそうだ。」と言ってくださっているようで嬉しかったです。

 

◆薄氷の上での楽しさ

 3曲目シバーズ。この曲は主要役者のみんなと、ひでゆきさん、りゅうさん、かりんちゃんがダンスを踊り、コーラスもダンスの一部のようなフォーメーションでハンドクラップの振り付けがあり、ステージが大きく華やかになるような一曲でした。
 ホール入り4日目、朝の客席での集合のとき、お父さんが、ナチスの話、ロシアとウクライナの話などをしてくださりました。今も、地球を半周としないところで、あってはいけないはずのことが起きていて、自分の国を守るために闘っている人がいます。日本でも、また、自分の家族を殺した事件があったことを聞きました。
 今ある幸せは、そんな中での、薄氷の上の平和、安心、幸せだとお父さんが話してくださいました。薄氷の上で、自分も常に良くなる気持ちを持って戦い続けていないと、立ち止まってしまったら薄い氷が解けて、利己的な方に墜ちてしまうのだと思いました。
 シバーズのような楽しいダンスも、薄氷の上での楽しさを表現することを教えてもらいました。

 次のシーンでは、結婚したカップルがこの50年間で半分以下まで減っていることや、最初の子供を出産する年齢も遅くなっていること、初産の平均年齢が40年前の第3子の出産年齢よりも高齢になってきていることを言っていました。
 与えることは損だという損得感情を象徴するギブソン大王が仕込んだ反愛情の感情は、結婚、出産に関しても子供が増える事は自分のロスになるという考え、損得勘定の中で自分の生き方に迷い苦しんでいると子供を作れなくなってしまうというシーンでした。このシーンに私は今まで自分がいた環境や体験してきたことを重ねて考えることができました。

 コンサートが終えての夕食の時、あゆみちゃんのコメントが印象に残りました。
 あゆみちゃんが、子どもがいるからみんなの中でステージに立つということができないのではと思って、ステージに立つ以外の役割をしようと思っていたけれど、みんなに助けてもらってダンスを踊れたことが嬉しかったと話してくれました。この脚本がとても大事なもので、なのはなに来て、視床下部さんの言うような、家族から認めてもらっている大事にしてもらっているという温かな思い出ファイルを作ってもらって、そして今日の体験があゆみちゃんにとっても、たけちゃんやたいちゃんにとっても温かな思い出ファイルになった、ということを涙ぐみながら話してくださいました。
 たけちゃんやたいちゃんがあゆみちゃんにとって、大変な存在ではなくて、幸せが何倍にもなることを、あゆみちゃんの言葉から感じさせてもらって、あゆみちゃんの姿に希望を感じました。
 そして、私もあゆみちゃんのお話を聞きながら、なのはなで思い出ファイルを作ってもらっているということが、本当に日々その通りだ、と思いました。

 

 

◆理想を音で

 4曲目インビジブルマン。
 4曲目の後のシーンでは、もっと豊かになりたい、と損得勘定で、不法入国をする移民のシーンでした。
 コンサート練習で、体育館での通しのとき、私は「自分は精一杯やっているんだろうか」「もっと全力を出していたらミスをしなかったのではないか」と思いました。ハウスミーティングでお父さんに相談させてもらいました。
 精一杯やったか、やらなかったかではなく、良いパフォーマンスができたかどうかが大事だと教えてもらいました。人間はいつもその人なりの精一杯でやっていて、精一杯やったかやらなかったかという内向きな反省をするのではなく、違うやり方だとどうかを考える、と教えてもらいました。
 前提として、いつも精一杯なのだと思うと、今の自分の精一杯をそのままに受け入れようと思いました。それが、今に幸せを感じることと繋がって、私にとって大事な気づきだったと思いました。

 5曲目エンジェルス。
 この曲はまなかちゃんがボーカルをしてくれました。卒業生ののんちゃんが振り付けてくれたダンスで4人の天使がピンクのドレスを着たまなかちゃんの周りを踊っていました。
 私は今回、バンドで第二キーボードを弾かせてもらいました。

 私は何が良い演奏なのか、良い音なのか、よくわからず、苦手意識がありました。あゆちゃんに演奏をするというのは、みんながダンスをして気持ちを表現するための土台のようなものでしょうか、と質問させてもらいました。
 あゆちゃんが、バンドもダンスも同じだと話してくれました。あゆちゃんがボーカルで歌うとき、その歌詞を気持ちを込めて歌うのではなく、原曲を聞きこんで、その理想の音を出したいと思っていると話してくれました。

 さとみちゃんやせいこちゃんが作ってくれる楽譜と音で、原曲を聞いて、その原曲の強弱、ニュアンスにできるだけ近づけたいと思いました。

 和音の中でも聞かせたい音は一つで、あとはその音を引き立たせるための音なのだと思いました。ブラッククイーンの前奏でも、ミ、ミレという音が聞かせたい音で、楽譜の上ではせいこちゃんも私も和音だけれど、短音にしてミミレだけを弾くようにしたらどうかと教えてもらいました。それをお父さんお母さんが聞いてくださり、透明感があって迫力が出て良くなったと教えてもらって、厚みがあるから迫力が出るというわけでもないんだなと思いました。

 エンジェルスはバンドのみんなで何回か合わせても、何かしっくりこないような感覚がありました。まえちゃんが、「この曲は、それぞれの楽器が入れ替わりながら演奏をするから、自分のパートしか見ていなかったら、極右が繋がらない。全員が曲の全体像を理解して、他のパートと自分のパートの繋がりを意識して、一体になって曲の波を作ろう」と話してくれました。

 ここでは楽器の演奏が止まってまなかちゃんの歌だけになるところ、ここはベースとギターになるところ、という風に全体の流れを共通認識しました。「今入っている人に意識を向けて、そこに増長するように入る、抜けるときは受け渡しを綺麗にする」ということをまえちゃんが話してくれました。良い演奏にするのは、自分のパートを上手く弾きこなすことではなく、立たせたい音に沿って自分のパートを溶け込ませることなんだと思いました。

 原曲に近づけていく中で、音量調節のペダルを制作しました。
 スカイフォールは、バンドメンバーのみんなで原曲を止めながら聞いて、ここはこうしよう、というのをあゆちゃんが見てくれました。2番のサビ前、両手で弾いていて、動きのあるリズムで、それがクレッシェンドして、サビに入る盛り上がりになっていました。

 両手で弾いているので、音量のつまみを調節する手が残っておらず、ペダルが作れないかと思いました。音量のつまみに、スズランテープを一周させてその右端を引っ張れば音量が上がる方へ、左端を引っ張れば音量が下がる方へつまみがまわりました。そのスズランテープを左足まで垂らして、つま先の方を引っ張れば音量が上がる、かかとの方を引っ張れば音量が下がる、それができることが分かりました。
 木の板2枚の中に桃スポンジを挟みクッション材にして、板二枚を金具を使って中心をビスでとめました。須原さんが、スズランテープではなく、テグスを使ったらいいのではないかと教えてくださり、見た目も綺麗になりました。
 音量のつまみにテグスを2周させ、鍵盤と鍵盤の隙間をテグスが通り、ペダルのつま先側、かかと側に結びました。
 両手で弾きながら音量調節ができるようになったことがとても嬉しかったです。

◆影絵に魅力的な小道具の制作

 6曲目オーバーパスグラフィティ。
 7曲目サンバテンペラード。
 さとみちゃんが呼びかけてくれて、夜にアンサンブルの習慣練習で一曲ずつ合わせる時間があったり、さとみちゃんがそれぞれが完成度を高めていけるようにパーセンテージを書ける表を作ってくれました。夜の練習のとき、さとみちゃんがサンバテンペラードをどういう気持ちで演奏するか、話してくれました。この曲の前のシーンでは博士たちが体の中に入って、B細胞に捕まり、生きるか死ぬか、というところです。
 さとみちゃんが話してくれた、「未来も実力のうち」という言葉がとても印象に残りました。

 8曲目ザ・シード。9曲目ハートストリングス。10曲目わかば。
 今年も大竹さんがコンサートの舞台背景、大道具小道具の制作を助けてくださいました。大竹さんが作ってくださった、「あなたの使命」のデザインがとても綺麗で、細かい切り抜きもすごいなと思いました。五臓六腑の六腑は、発泡スチロールを彫刻のように削られていて、それがスプレーで金色になっていました。発泡スチロールがそんなふうに使えるんだなと思いました。

 お腹の中の赤ちゃんが生き物の進化を辿って人間になっていくシーンの、影絵を大竹さんがベニヤ板に描いてくださいました。
 その切り抜きをさせてもらいました。須原さんが、ジグソーで切っていく時のささくれのできにくい切り方で板目の上側から切っていくことなど教えてくださいました。切り抜いて残す部分は細いので、切り抜き中に折らないように切り抜いていく順番の考え方も教えてくださいました。

 私が切り抜きをするということが、本当に大丈夫なんだろうかと心配をかけてしまうところがあったと思います。だけど、大竹さんが、「影絵だからもし折れてもくっつけたら大丈夫だから、楽しんでもらえたら」と言ってくださり、無事に切り抜くことができて良かったです。刃を線の外側に沿って切り進めていくのは、直進、急カーブ、切り返し、と、カーレースみたいでした。自分ではない何者かが切っているようで、楽しかったです。

 何億年もの生き物の進化を辿らなければ作り出せないくらい、人間の体の中の構造は複雑で緻密になっている、全て人間を生み出すための進化の過程ということが、大きなものの中で今こうして私が生きていることも小さなことだけれど、必然で、使命があるのだと感じました。

 大竹さんが創ってくださる制作物がどれを見ても、すごいな、面白いな、そういうふうにできるんだ、と感じました。だけど大竹さんがいつも謙虚に楽しまれていて、私も少し一緒に制作をさせていただいて、とても楽しかったです。

 11曲目プロフェッツソング。
 前半最後のシーンのてつおさんの言葉が、私も同じ気持ちで、強く自分の中に落とし込みたい言葉でした。
「いや、僕は利他心に妥協するつもりはないよ。僕の心の中にも、いつも邪な気持ちが出たり消えたりしている。僕は聖人君子ではないが、絶対に損得勘定で生きるギブソンの仲間にはなりたくない。いつも良くありたい、利他心を持ち続けたいと願うことはできる。僕が希望を持って生きていくとしたら、そこにしか生きる道はない。」

◆物語は後半へ 

 後半12曲目ドラムライン。
 私はまりのちゃんとベルリラを演奏させてもらいました。
 マーチングで歩きながら演奏するのははじめてでした。あゆちゃんが振り付けてくれて、まずは楽器を持たずにカウントで動きを練習して、次に自分のパートを歌いながら動きを練習して、それから楽器を持って練習しました。回ってパキッと止まるところが、楽器の重さもあってとても難しかったです。
 まりのちゃんと動きを揃えるために、メトロノームを前に置き、鏡を見て練習をしました。何回も練習するうちに、動きが揃うようになって、お客様玄関で練習したとき、前と後ろのガラスが鏡になって、後ろを向く振りのところが揃ったことがとても嬉しかったです。
 お客さんが大きな拍手をくださって、とても嬉しかったです。

 13曲目アライブ。

 14曲目フェアリーストーリーズ 遊び歌。
 脳の中の大脳新皮質に来たシーンの劇の練習を、客席から見させてもらうことがありました。そのときにお父さんが前頭葉、頭頂葉、側頭葉の3人に、「3人の親分は誰だと思う。」と聞きました。その質問で、はっとしました。親分は、大脳新皮質に宿っている損得勘定の化身のギブソンでした。 
 お父さんの言葉と、変わっていく3人の演技から、大脳新皮質には心がないんだ、ということが分かりやすくなりました。私は大脳新皮質の動きが良い方だと思います。そういうところには心はなくて、ギブソンに取り込まれやすいところで、それを他の人のために使っていくんだと思いました。

◆愛情の中枢

 15曲目フェアリーストーリーズ 怖い話。
 16曲目オテアルミア。
 視床下部さんが、どうして依存症になるのか、説明をしてくれました。
 視床下部は人間が生存するために絶対に必要な欲望を調整しているところです。ほとんどすべての欲に行け、止まれの信号を出していて、空腹中枢はこれは食べたいという報せをだす中枢、満腹中枢は、もうお腹がいっぱいだという報せをだす中枢です。

 「ほとんどすべての欲」に入らない、ブレーキが利かない本能が、愛情の中枢で、視床下部全体に強い影響を与えている、ということでした。
 摂食障害になって、過食衝動が止められないのは、満腹中枢がダメージを受けているのではなく、愛情の中枢がダメージを受けて、そこから視床下部全体に強い影響を与えていたのだと分かりました。

 愛情の中枢がダメージを受ける、というのは、4歳、5歳、6歳の頃、人として完成するためのプログラムに失敗するということ。人として1番大切なプログラムは、「家族から大事にされている、認めてもらっている、大好きになってもらっている、そう信じられる体験を4歳、5歳、6歳の間、積み重ねて、愛情の思い出ファイルを温かな体験でいっぱいにすること。

 プログラムに失敗して、自分は家族から大事に思われていない、それに家族も壊れそうだという気持ちが6歳までにプログラムされてしまったら、12歳で、初潮が始まる頃、女性だったら女性ホルモンが多く分泌されてより女性らしく、男性だったら声変わりをしてより男性らしい体つきに変わってくると、愛情の中枢は女性ホルモン、男性ホルモンの影響で、これまで大事にしてきたものを壊す衝動に包まれ、大暴走を始めます。

 これまで大事にしてきたものを壊す衝動、両親や自分自身を否定することで、よりよい先生に巡り合いたい、より良い自分に脱皮したいとできて、親離れができます。
 愛情の思い出ファイルが温かなものでいっぱいの人は、愛情の中枢の大暴走にセーブが効きますが、思い出ファイルがスカスカな人は、親の否定、自己否定が止められず、愛情の中枢から食欲や性欲などの本能に影響を及ぼすことが、依存症のはじまりです。

 4歳、5歳、6歳の頃にインプットする、人として大事なプログラムの「家族から大事にされている」というのは、「利他心」をきちんとインプットすることでした。人は人を喜ばせることが嬉しい、人は人を喜ばせると自分が幸せになっていく、それがしっかり入っていると、家族から目が離れて、自然と他の人に目が向いて、親離れができるようになると教えてもらいました。
 

◆心は小腸に

 20曲目ビューティフルピープル。
 五臓六腑の定例会で、心があるのは小腸だと分かったシーンでした。
 コンサートに向かう中でのハウスミーティングのとき、お父さんが小腸のことや外国と日本の食事の違いなどを教えてくださいました。
 小腸は伸ばすと3.8mもあって、その中に神経細胞が1億個あって、その神経細胞がこころの働きをしています。
 だから、食べるものや食べ方で心のあり方が変わってくると教えてもらいました。
日本人の食事はご飯とお味噌汁とメインの魚や肉と副菜で、食べ方は、お味噌汁を一口飲み、ご飯を一口食べて、お味噌汁を今度は具も食べて、それから3点食べをして、お腹の中でもミックスされた、腸に負担にならない食事と食べ方だと思いました。

 フランス人の食事は、前菜から始まって、1品ずつ出てきて、順番に食べていきます。食べるものも野菜などは少なく、肉やチーズやパンです。
 でも、フランス人の食事がフランス人の小腸にとって良くないわけではなく、その国の食文化にあった体型になっていて、日本人にとってはフランス人の食事は身体に異変が起きるくらい、腸に負担になると教えてもらいました。

 なのはなの食事は、自分たちで育てた野菜と米と、境港で魚の卸しをしている仲屋食品さんから送ってもらっている魚と、イサミさんの肉などで作られていて、毎食毎食がとても美味しくて、小腸にすごく優しいと思いました。小腸に心があるから、心を作っていくとき、食べるものは大事だと感じました。

 21曲目剣の舞。22曲目ブラッククイーン。
 23曲目レバ。
 24曲目ムーンライトソナタ。
 さやねちゃん、まえちゃん、さとみちゃん、かにちゃんが演奏した曲でした。本番まで空いた時間に練習を重ねるさやねちゃんの姿がありました。
 夜の集合のとき、ハウスミーティングの話をさやねちゃんが共有してくれたときのことが印象に残りました。
 練習しているときは弾けても、通しになると、弾けなくなってしまう、という質問で、それは、練習が練習のための練習になっていて、音楽室で一人でリラックスした状態で演奏していると、通しで緊張する状態になると弾けなくなる、と教えてもらいました。本番、衣装を着て、お客さんに見られていることを意識した練習をすることを教えてもらいました。

◆私がギブソンに勝つには

 損得勘定のギブソンに勝つには、美味しいものを美味しいね、と言いあいながら食べること。そして、小腸を休ませるために、よく眠ること。
 コンサートの練習の過程で、コンディションが悪くなることがありました。みんなの評価が気になったり、ギブソン的な考えが強く出てきてしまいました。お父さんが、連日の通しや影絵のくり抜きなどをしていて、自分が思っているよりも神経を使い、疲れからきているものだと教えてくださいました。

 みんなの評価を恐れる気持ち、自己否定、それは親から受けた不本意な評価、親から大事に思われていないこと、親から受けた傷で、解決されていない部分が、普段は大脳辺縁系をグルグルと回っているけれど、疲れたり一杯一杯になって余裕がなくなると、大脳辺縁系でグルグルしていたものが意識に出てきて、マイナスの考えが出てくるのだと教えてもらいました。
 根本的な解決法は、大脳辺縁系でグルグルしている傷になった体験を、同じ苦しみを持って理解してくれる仲間の中で話し尽くすこと。これは年が明けてから傷を癒すミーティングのときにしています。

 今できる対処法は、疲れないようにすること。そのために第一はよく眠ること。それと、疲れないような作業の仕方を教えてもらいました。1つのことを集中してずっとやっていると、飽きが来て疲れやすくなります。2つ3つのことを30分交代で同時進行させることで、休憩をとらなくても、この作業の気分転換がこっちの作業、というふうに飽きが来る前に別のことをするので、疲れが出にくい、楽しんで続けることができると教えてもらいました。
 疲れが出ると、ギブソンに取り込まれやすくなってしまうので、小腸がいつもいい調子でいられるようによく眠ることが大事だと思いました。

◆優しい世界を作るために

 25曲目リカバリー。
 私の使命は、苦しむ人の出ない世の中、優しい世の中を作ることです。
 使命、というのは、その役割を私に命令した存在があって、それは、この宇宙を作った存在からの命令です。どんなに今が未熟だったとしても、利己的な世の中で傷を解決できずに苦しみ摂食障害になった者として、何が苦しかったのかを理解して、自分と同じ苦しみを持つ人が出ないように、出会った時に理解できて癒しとなるように生きること、それが私の使命です。

 自分を通してなのはなに出会った人が良い方へと変わっていく、私はなのはなの一つのパーツであることを感じました。そのとき、自分から離れて本来のあるべき気持ちになれるような、これが私の使命なんだと感じました。

 利己的な社会の中では、自分の苦しさに向き合うことも、共感してもらうことも難しいです。お父さんお母さんが切り開いてくださったなのはなファミリーが、よく生きたいと願う、傷ついた仲間が集まって癒しがある場所で、なのはなに出会えた私は恵まれていて、日々の出来事をまだ見ぬ誰かのために精一杯で吸収していきたいです。

 コンサートに向かう過程の中で、お父さんに教えていただいて、私は人生観が根本的に間違っていたことに気が付きました。自分を挽回しなければいけない、認めてもらわなければいけない、解決できていない傷が作っていた「認めてもらうために」という人生観を手放したいです。それは傷を解決することもだけれど、今、覚悟を決めます。
 私は、苦しむ人が出ない世の中、優しい世の中を作るために、同じように苦しんだ人の苦しさを理解して、癒しとなれるように、生きます。