1月2日(月)「坊主めくりでリベンジ! 百人一首 ● 書き初めの楽しさを味わって」

1月の2日のなのはな

 ちはやぶる 神代もきかず 竜田川 から紅に 水くくるとは

「バシッ」。
 花札をはじく歯切れのよい音と共に、悔しい声がリビングに響き渡ります。

 

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 なのはなファミリーでは、3つの種目で百人一首を行います。

 まずはチラシ取り。
 私は、なのはなに来るまで百人一首に触れたことがなく、知っている歌も極めて少ないのですが、1週間ほど前から、食事のたびに百人一首の歌を1つ、プレゼントしてもらい、この日に向けて、1つでも多くの歌を覚えようと、気合いを入れていました。

(風そよぐ、と来たら、みそぎぞ夏のでしょ。筑波嶺のと聞いたら、茨城県出身のお父さんを思い出して、恋ぞつもりて。よし!)
 チームのみんなと1人5歌は覚えて臨もうと話し、いざ、勝負。

 最初に戦う相手は、のんちゃんチーム。
「花さそふ……」「バシッ」

 まだ、最初の上の歌の1行目を聞いただけなのに、のんちゃんやえみちゃんがバシバシと札をとっていき、「ヒ~」。りゅうさんやまなかちゃんと前のめりになりながらも、何度も悔しい思いをしました。

 

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(秋の草木、あ、山風で嵐だ)
 そう思い、手を伸ばしたら、またもや、バシッ。

 私も急いで札を取りに行ったのに、なるちゃんの手が私の手の下にあります。
 1試合目の結果は、79枚対20枚で惨敗です。

 この歌は覚えていたはずなのに! と、悔しさで目がランランと光り、1試合目で印象に残っている歌を短期集中で覚え、次の試合へ臨みました。

 すると、「奥山に……」。
(あ、これは。声聞くときぞ、秋は悲しきだったような)と、取れる歌が増えました。

 また、百人一首の中でも特に人気が高いのが、在原業平朝臣の「ちはやぶる」の歌と、天智天皇、持統天皇の歌。

 この歌が詠まれると、誰もが一斉に身体を起こし、最初の1文字を聞いた瞬間に歌がとられて、迫力があります。また、覚えている歌は一番端から端まで、床を這ってでも、立ち上がってでも取りに行くみんなの姿に、私も本気で戦う面白さを感じました。

 

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 続く2種目めは青冠。
 私は百人一首の中で青冠が特に好きなのですが、同じチームのひろこちゃんやまなかちゃんと作戦会議をしてから、試合をしました。

 配られた手札は、横烏帽子多めの、姫少なめ。
 向かいに座っているひろこちゃんと目で語りかけながら、自分の手札を伝えます。すると、ひろこちゃんたちは天智天皇を持っている様子。

 私たちはひろこちゃんたちに勝ってもらえるように、相手が持っていないであろう札を出していき、気がついたら手持ちが2枚に。

 でも、私たちの隣にいる子も2枚、そして、ひろこちゃんたちが1枚。
 一か八か、思い切って矢五郎を出し、無事に勝つことができました。

 

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 初めての勝利に大喜びの私たち。でも、結果的に得点は30点と、喜びと点数が合っていないような。でも、やっぱり嬉しかったです。

 そして、青冠2試合目は、相手ののんちゃんチームが天智天皇、持統天皇を持っていたため、惜しいところで札が出せずに、負けてしまいました。

 さすがのんちゃんチーム。散らし取りだけではなく、青冠も綿密に作戦を立てて、考えていて、100点近く、相手にプレゼントしてしまいました。

 

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 青冠までの中間結果発表では、のんちゃんチームが400点近くとダントツの1位で、私たちは170点。これは、坊主めくりにかけるしかありません。

 3種目めの坊主めくりでは、今年1年の運試しをする気分で、強気で行きました。
 坊主めくりは作戦と言うより、運で勝敗が決まります。私はりゅうさんとペアで、坊主めくりです。

 まずは、席を決めるジャンケンと、札を最初に引く親を決めるジャンケンから始まったのですが、りゅうさんは2回とも、ジャンケンで勝ちきり、私の内心はちょっぴり不安に。

(ジャンケンで、運を使い果たしていなかったらいいな)

 坊主めくりでは、「殿」の札を引いたら自分の手持ちにカードが1枚増え、「坊主」のカードが出たら自分が持っていた札を全部、場に出さないとならず、「姫」が出たら、場に出ていた札を全部もらえるという、単純なゲームです。

 

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「ここは、りゅうさんの出番!」
 りゅうさんと交代交代で札を引いていくと、次々に札が手元に山になっていきます。

 でもそこで、問題なのが「蝉丸」というお坊さんの札。隣に座っていたさやねちゃんたちが、蝉丸のカードを引いた瞬間、手持ちのカードを全て、場に出さないとならず、一気に貯金がゼロに。

 残すところ、札も5枚。ここで、姫を引いたら90枚近くのカードを獲得できます。これは、負けられない戦い。

 思い切って引いたカードは、殿。結果的に運のよい青チームのみんなが最後に姫を引き、試合終了。

 やっぱり、ジャンケンで勝ってしまったから、得点は1点でした。

 

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 少し拍子抜けしたまま、続く2試合目。今度こそは、勝ちたいです。
 でもまた、手札が溜まっては坊主を引き、溜まっては坊主とプラスマイナスゼロに。私とりゅうさんは、試合中、ほとんどの間、坊主のかつらを被っている状態でした。

 でもそこで、逆転のチャンス。

 1番最後の坊主めくりは、部屋の全員で円となり、2組の絵札を使っての坊主めくり。勝てば、挽回のチャンス。負けたら、どこかのチームに得点加算と、これは負けられません。

 私は普段、標準語なのですが、年末のNHF紅白歌合戦で関西弁で漫才をしたからか、なぜか、試合中はずっと、関西弁で話し続けてしまいます。

 そして、りゅうさんは気がついたらギブソン大王に? なぜ、ギブソンになってしまったのかは、最後までお楽しみ。

 大人数での坊主めくりは、蝉丸も2枚あると言うことで、最後の最後まで分からない戦いでした。

 

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 私とりゅうさんは前半、殿ばかりで地道に札をためていたのですが、途中に姫を引いて、私たちの目の前に山が1つできました。

 すると、誰かが蝉丸を引いて、真ん中には山にもならないくらい、大量の札が置かれ、これは絶対に、姫を引きたい。

 隣の人は殿、次の人も殿、その次の人も殿。よし、りゅうさん、姫をお願いします。

 すると、姫!
 みんなから、「あ~あ」という声が漏れると共に、私とりゅうさん、同じチームのみんなは大興奮し、思わずりゅうさんに抱きついて、ハイタッチしてしまいます。

 でもまだ、もう1枚蝉丸がいるとのことで、緊張が走ります。
 隣の人は姫。次の人は殿。その次の人も殿。

 そして、5人目くらいまで行った時、またもや、蝉丸が出てしまい、私たちがため込んでいたあの財産が、全部帳消しに。

 ああ、こういう運命なのか? 貯金をするのも大切だけれど、やっぱり、幸せを先送りにしないことも大切。でも、なんとしても、取り返したいと気合いが高まります。

 そして、残り15枚ほどになったとき、みんなの「坊主、坊主……」というコールの中、りゅうさんが姫を引きました。

 

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「りゅうさん、やった~~~!」
 りゅうさんとチームのみんなとハイタッチをすると、りゅうさんが大量の札を持ちながら、「ウッヒヒヒヒ」とギブソン笑い。

 私もナナポンではなく、悪ポンになって、りゅうさんと大笑いしては、大量の札を数えました。

 波瀾万丈百人一首。最後の試合までは、全体でも最下位だったのですが、最後の最後の坊主めくりで、158点獲得し、2位となりました。

 ウィンターコンサートの台詞に合わせて、「私たちも、とうとうナンバー2まで上り詰めた」と札を掲げて、みんなと笑い合えた時間も嬉しかったです。

 私はいつも、勝っても負けても楽しかったらいいやと思いながらなのはなのイベントに向かっていたのですが、どうやら私は、なのはな内でもトップ5に入るくらい、自分では気づいていないけれど、負けず嫌いなのかもしれません。

 なのはなファミリーではどんなイベントも、みんなが本気で全力で戦います。だからこそ、面白さや楽しさが高度になって、感情がたくさん動きます。

 

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 1つ忘れていましたが、百人一首は午後の部と合同での得点です。午前中に書き初めをしていた同じチームの子とバトンタッチして、迎えた午後。

 夕方に、リビングへ行くとあゆみちゃんご家族に、卒業生のそらちゃんご家族、卒業生ののぞみちゃんご家族の姿があり、たけちゃんにたいちゃん、こはるちゃん、ゆりちゃんと子供たちがリビングで一緒に輪になっている光景が、とても温かかったです。

 そして、気になる結果発表は……。

 やっぱり、のんちゃんチームがダントツの1位で、私たちは引き続き2位で、無事罰ゲームからは逃れることができました。

 気になる罰ゲームは、ひろちゃんチームです。

「おじいちゃん先生になって、知ったかぶり、百人一首の解説!」

 皆さん、落語の「千早振る」はご存じでしょうか? 今回、なのはなファミリーに現れた10名の知ったかぶり、おじいちゃん先生は、どんな解説をしてくれるのか。

 

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「このたびは ぬさもとりあへず たむけやま もみじのにしき かみのまにまに」。

 この歌を解説してくれた、まことおじいちゃん先生によると、「此の度は、白髪をぬくのもとりあえずやめて、紅葉を髪の間に挟むのが流行っていますよ」とのこと。

 神のまにまにを、髪の間に間にとしたまことちゃんのユーモアに笑いが止まりません。でも、手向山はどこへ行ってしまったのでしょうか? あとで聞いた話によると、手向山とは、最近、流行の髪型の名前であるようです。(まこと先生によると)

 他にも、「うかりける 人を初瀬の 山おろし はげしかれとは 祈らぬものを」という歌を解説したるりこおじいちゃん先生。

 その内容とは、「ひとをはつせという少女が、試験に受かったとき、家に帰るとひとをはつせの大好きな大根おろしが山のように用意されていました。でもそれを食べていたとき、それははげ頭のおじいさんの大根おろしだったことに気がつき、しかられないようにと祈りました」とのこと。

 

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 はげしかれとはを、こんな風に解読し、たったの7文字に祖父と少女のエピソードを思い描くるりこ先生。

 大根おろしのおちを聞いた時は、リビング中に笑いが起こります。

 みんなの知ったかぶり解説を聞いていると、よりその歌が好きになったし、覚えやすくなりました。

「ああ、来年に向けて、今年も百人一首をたくさん覚えるぞ」
 百人一首でチラシ取りをする度にそう思うのに、次のお正月が近づくまで、百人一首を覚えることなんて、忘れてしまうのが常なのですが、好きな歌を覚えたいし、普段の生活でも、時々、歌を詠んでみようかと思います。

(ななほ)

 

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 新年の書き初め。この日は、「知時」という顔真卿の字と、自分の抱負を書きました。

 はじめに、お父さんが顔真卿の字を真似ることについて、話してくれました。
 普遍的なものの上に、個性というものがある。まずは真似ること。学ぶことは真似ることからはじまる。そう話してくれました。

 

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 一画の入りや筆を運ぶスピード感、一画の終わり方。顔真卿の文字を真似することで、その文字の形から、潔さやまっすぐな心を感じました。新年らしい澄んだ気持ちが満ちていくようで、顔真卿の文字に向き合う時間が嬉しかったです。

 真っ白な半紙に筆を置く瞬間。緊張と、少しの怖さを感じました。真似て書こうと思う気持ちが、怖さになってしまっていました。どこかびくびくするような気持ちで、筆を運んでしまっていました。

 途中、練習で書いたものを一人ひとりお父さんが見てくれて、講評をしてくれました。

 文字に意思がない。スピード感がない。線が細い。
 お父さんの言葉に、自分が怖がってしまっていたことに気づきました。

 怖がらずに、書こう。意思を持って、書こう。そう思って書いた字は、それまでの字と、どこか違うように感じました。半紙に筆を置く瞬間の怖さが、半紙に筆を置く瞬間のわくわく感に変わりました。線が太くなり、文字が大きくなりました。

 

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 どこか自分から離れられたような気がしました。潔く、怖がらずに書くことで、自分の気持ちも、潔く、怖がらない気持ちがつくられていくように感じました。書き初めの本来の楽しさを味わえたように感じました。

 新しい1年、こんなふうに、いつでも怖がらずに、意思を持って、日々を過ごしていきたいです。そうやって楽しさを味わって、一つひとつのことを自分の中に積み上げていきたいです。

 

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 抱負は、「鮮明」と書きました。
 気持ちにメリハリを持つこと。気持ちにコントラストを持つこと。その抱負を、「鮮明」の字に込めました。上手く書けなくても、願いを込めて力強く書けたと感じて、晴れ晴れとした気持ちになりました。こうして自分の抱負を目に見える形にできることが嬉しかったです。

 

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 食堂には、みんなが書いた「知時」の字と抱負が並んで貼られています。
 その中にいると、みんなの真摯な気持ち、こうなりたいと願う気持ちを感じて、心が正されます。
 新年はじめに、心静かに半紙に向かう時間が、嬉しかったです。

(ゆず)

 

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〈夜はセブンブリッジ大会があり、得失点を2倍にも5倍にもしてしまうルーレットでより白熱した試合をみんなで楽しみました。明日の後半戦で、チームの順位が決まるため、まだまだ勝負の行方はわかりません〉

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