【12月号⑬】「ステージいっぱいに希望の虹を ―― 仲間の存在を強く感じた 勝央町文化祭 ――」るりこ

    
 ウィンターコンサートが目前に迫る十一月。コンサートへ向かう気持ちを、より高める機会となった、第五十二回勝央町文化祭のステージ出演がありました。

 演目の中には、ウィンターコンサートで披露する新曲でもある、『ビューティフル・ピープル』がありました。一足先に文化祭で初披露することになった、この曲を中心に、文化祭でもウィンターコンサートでも見せられる形にするべく、みんなで集中的に練習を行いました。

 振り入れを終えて、一人ひとりの動きが身体に入ってからは、コーラスを歌いながら踊る練習をしました。この曲の印象的なフレーズである、「we are we are we are」という歌詞の部分では、わたしたちは自分らしく生きていくという気持ちを込めて、特に大きな声で歌うことを徹底しました。

 本番前夜まで、お父さんにも見てもらって、振りの細かい向き、首の角度、そして表情などを統一しました。だんだんと動きが揃っていくと、一層、自分たちの曲になっていくようで、踊っていても仲間の存在を強く感じる大切な一曲になっていきました。

 本番当日のなのはなファミリーのステージは、勝央町文化祭の午後の部の始まりでした。衣装に着替えてから、最終のミーティングをして、自分たちが演じる意味をもう一度、落とし込んで、ステージに挑みました。

 幕が上がると同時に、一曲目が始まりました。曲は『レインボー』です。
  

『レインボー』

 『レインボー』はこれまでのステージでも長く演奏してきた曲ですが、お母さんもわたしたちも大好きな曲です。なのはなでは嬉しいこと、良い予兆があるときに必ずと言っていいほど、虹が架かります。『レインボー』を初めて聞いたとき、みんなと見上げた虹が思い浮かびました。

 この演奏とダンスを通して、会場とステージに希望の虹が架かりますように。お客さんに届きますように。そして、希望の虹を架けられる一人として、表現ができますように。そんな思いを込めて、わたしはダンサーを支える役割として、まみちゃん、えみちゃん、まなかちゃんとカラフルな傘を回しました。ダンサー衣装の虹色マントも照明で映えて、みんなと大きな虹を作っているようで、ステージに立っているだけで心が満たされた気持ちになりました。 
  
  
 二曲目はわたしたちにフラダンスを教えてくれる、ゆりかちゃんがソロで踊る、『ア・レヴァ』でした。この曲も文化祭が初披露の一曲ですが、ゆりかちゃんが堂々とステージに進んでいく後ろ姿が胸に残りました。広いステージにたった一人でも、その広さを感じさせないくらいに、ゆりかちゃんは強い気持ちで踊っていました。
 

ゆりかちゃんがソロで踊る『ア・レヴァ』

   
 ゆりかちゃんが『ア・レヴァ』を踊っているのを見るとき、いつもゆりかちゃんの滑らかな動きと、何かを掴みにいくような強い眼差しに目と心が釘付けになってしまいます。周りに埋もれる美しさも必要だけど、ゆりかちゃんのように一人でも見ている人の心を鷲掴みにできる表現ができるくらい、わたしも気持ちを強く持っていきたいと思いました。
 
 最後は大人数で『ビューティフル・ピープル』を踊りました。あゆちゃんの読むMCで気持ちを確かなものにしながら、舞台袖で待機をしているとき、すぐ後ろに、そしてステージを通した向かい側に、みんなの存在を感じました。

■日頃の練習から

 今回が初ステージのももかちゃんもいるなか、誰一人欠けることなく、ここまで積み上げてきたものを最大限に表現して、みんなで良いステージにするんだと願う気持ちと信じる気持ちがステージとステージ袖全体に広がっているのを感じて、わたしも勇気が湧いてきました。
     
 幕から出るときは先頭でしたが、会場にいるお客さんに、「見ていてくださいね」という気持ちで堂々とステージに上がりました。

 曲が始まると、楽しい時間は一瞬だったように感じます。そのなかで、振り一つひとつを、みんなと練習して揃えてきたポイントを意識しながら、大切に踊りました。そしてコーラスも、会場いっぱいに響くように大きな声で歌いました。

 お客さんを前にしてステージで表現すると、普段の心持ちがそのまま表れてしまうということを、今回のステージを通して、より感じる機会にもなりました。本番だけ良くしようとするのは不可能なことで、日頃の練習からお客さんを意識して気持ちも作りながら、自分を高めていくことで、本番にその成果が発揮できます。わたしはまだまだその気持ちが足りないと感じました。

 ですが、勝央町文化祭のステージに立たせてもらえたことで、これから待つウィンターコンサートに繋げられる心持ちや表現の仕方を、一足先に感じることができてよかったです。また、改めて勝央文化ホールのステージで照明を浴びて踊ることの楽しさも思い出すことができました。

 新メンバーも共に、勝央町文化祭のステージを作り上げた時間、そして過程のように、文化祭のステージを一段と超える表現を、ウィンターコンサートまで高めていきたいです。

 そして、勝央町文化祭では、なのはなのステージの他に、勝央金時太鼓保存会の一員として、なのはな太鼓メンバーも出演させていただきました。
  

本番前、お父さんがミーティングをしてくれました

  
 わたしは九月から太鼓メンバーに仲間入りをし、ここまで約二か月、毎週水曜日の夜十九時から二十一時の二時間、保存会会長の竹内さんにご指導をしていただいてきました。

 文化祭で演奏する曲は『わかば』という曲で、大太鼓三人、締太鼓四人、宮太鼓四人の十一人で挑みました。

 文化祭のステージに出演させてもらえると知ってからは、『わかば』を中心に練習を重ねてきました。なかでもわたしを含め、ななほちゃんとのんちゃんも今回が初舞台で、実力不足なところはありましたが、三人で朝の時間に自主練習をしたりして、どうにか形をつくっていきました。

 水曜日の練習では竹内さんが前から何度も見てくださって、一人ひとりの癖を指摘して修正してくださったり、苦手とする部分を集中的に何度も繰り返して練習をしてくださいました。本番前の練習ではリハーサルを兼ねて、出捌けから演奏までの流れを何度も確認した時間も、とても心に残っています。
    
■自分から離れて

 わたしは個人として、まだまだ力不足で、不安と心配と緊張しかありませんでした。

 ですが、共に宮太鼓パートとして演奏する、りなちゃん、ななほちゃん、のんちゃんと最終確認をしていたときに、経験の長いりなちゃんが、
「明日は三人とも初心者ということは忘れて、もう何年も太鼓打ちしていますという気持ちでやろう」
 と言ってくれて、その言葉に勇気が出てきました。

 自分が力不足かどうかは自分自身が決めていることで、明日見てくださるお客さんには関係のないこと。だから明日は自分から離れて、見てくださっているお客さんを楽しませられるような演奏をしようと思い直すことができました。
  

勝央金時太鼓保存会のみなさんによる『那岐おろし』

  
 本番当日はなのはなの演奏を終えて、すぐに太鼓用の衣装に着替えました。
 勝央金時太鼓保存会のみなさんが用意してくださった法被に初めて手を通して、ぱりっとした太鼓衣装を身につけるだけで、気持ちが引き締まっていくようでした。

 頭の鉢巻きはリーダーのかにちゃんが強く結んでくれました。そのときに、「あぁ、緊張する」とつい声に出してしまったら、かにちゃんが、「大丈夫。わたしたちがいるから」と力強く言ってくれました。

 その瞬間、かにちゃんをはじめ、周りにいる太鼓メンバーの存在を強く強く感じました。ここまで練習をしてきた期間、初日は太鼓の「た」の字もわからなくて、みんなの練習の手を止めてしまうこともあったけれど、誰も嫌な顔一つせず、一緒に基礎練習に付き合ってくれました。

 なかなか上手く叩けるようにならなくて心が折れそうになったときも、周りのみんなが、「わたしもだったよ。大丈夫!」と励ましてくれたり、楽しそうに気持ちよさそうに太鼓を叩くみんなの後ろ姿から、わたしも一日も早くみんなに近づきたいと前へ前へ引っ張ってもらってきました。

  
 また、今回の初ステージまで、「緊張するね」と言いながらも、お互いの存在に引っ張り合ってきた、のんちゃんの姿もありました。

 毎週、太鼓へ向かう行き帰り。練習でびっしょり汗をかいて、もう身体はクタクタだけど、その疲労感が心地よくて、みんなと、「やっぱり太鼓はいいね!」と言い合いました。夜空には数え切れない星が瞬いて、みんなとしばらく見上げました。

 そういう時間も含めて、いつも太鼓メンバーの仲間がすぐそばにいて、ここまで一緒に乗り越えてきてくれました。自分一人じゃないんだと気がつくと、すーっと凝り固まった緊張の糸がほぐれていくのを感じました。

(みんながいる。みんなと一つのものを作り上げるんだ)と、かにちゃんの力強く、そして温かな言葉を通して、自分の心もまっさらなものへと移り変わっていきました。そう思えたことが言葉にできないくらいに嬉しいことで、この先も忘れることのない言葉として、自分の胸に残りました。

 舞台袖に行くと、竹内さんの姿があり、よりやる気も高まりました。

 わたしたちの演奏の前に勝央金時太鼓の小学生の部と中学生の部のステージがありました。小学生の部では、毎週水曜日にわたしたちの練習時間の前に練習をしていた子供たちの姿があって、少し親近感を感じました。

 中学生の部を終えて、いよいよ勝央金時太鼓保存会の一員として、わたしたちの番です。太鼓の出し入れは保存会の方々が手を貸してくださりました。

■心強い仲間と

 『わかば』は、宮太鼓のりなちゃんの枠打ちから曲が始まります。りなちゃんの力強くも、リズム感のある「タッタカ、タッタカ」というフレーズがホールいっぱいに響き渡りました。

 バチをしっかり握りしめて、りなちゃんの音を聞き、そしてそこに重なるように、あけみちゃん、ふみちゃん、よしみちゃんの三台の大太鼓の音が心臓を振動させるくらいの大音量で響き渡りました。さらにそこへ締太鼓のフレーズのかにちゃん、つきちゃん、さきちゃん、さやねちゃんの音が重なって、いよいよ宮太鼓の出番です。
  

なのはなの太鼓メンバーで叩く『わかば』

  
 顔を上げると、照明の光が目一杯に飛び込んできて、眩しく感じました。表情を気持ちを引き締めて、一打を打ち始めました。始まりのフレーズは『わかば』の特徴的なメロディですが、打ち方が少し難しく、苦戦した部分でもありますが、腕が左右とも天井に向かい高く上がるように意識しながら打ちました。

 曲の主が大太鼓、宮太鼓、締太鼓を移り変わっていくなかで、周りの音を聞きながらも、練習のときに竹内さんが教えてくださったことを思い出しながら叩きました。すぐ横にはのんちゃんの姿があって、お互いに苦手としていた入りの一打が揃ったときには、心の中で、(やったね、のんちゃん!)と思いました。本番は緊張でテンポが速まってしまったような気もしますが、最後の一打を打ったとき、やり切ったと思えました。

 勝央文化祭を通して、金時太鼓の初舞台に立たせてもらって、太鼓の楽しさと好きだという気持ちが自分の中で強まりました。これまでは応援する側として、格好いいなとは思っていましたが、まさか自分が太鼓を叩く日がくるとは思ってもみないことでした。

 初めは自分は向いていないとか、力がないとか思っていたけれど、気がつけば太鼓を叩くことが楽しくなっていて、毎週の練習の時間が待ち遠しく感じるようになっていました。このことは自分自身でも驚くべきことでした。

 まだまだ腕が上がっていなかったり、大きな音が出せなかったりと、課題はたくさんあるけれど、太鼓を叩いている瞬間がとても気持ちよくて爽快で楽しいです。

 今回共に演奏した、心強くて格好いい仲間の背中を追って、わたしも勝央金時太鼓保存会の一員として、そしてなのはな太鼓メンバーの一員として、これからももっともっと太鼓の魅力を知って、好きになって、上達していきたいです。

 そんなふうに思うことのできた、勝央町文化祭のステージでした。