【12月号⑫】「桃の樹に、12種類の肥料を ―― 未来の桃をイメージして、桃の肥料入れ・土寄せ ――」つき

   
 桃の肥料入れ……と言うと、とても大掛かりな作業というイメージがあり、準備段階で草刈りをしているときからずっと緊張していましたが、やってみると、大変さももちろんあるけれど、それ以上に楽しさ、達成感の連続でした。

 あんなちゃんやお父さんが考えて計算をしてくれた緻密な肥料設計に基づいて、一つひとつの肥料を、間違いのないように注意しながら施していきます。成木、五年生、五年生未満、三年生未満、と生育に合わせて量を変えて、全十二種類の肥料を適切な量で施肥していけるようになっている表はとても見やすく、それを見るだけでも、あんなちゃんの正確さや誠実さが感じられました。

 いくつかの肥料があるので、一度にすべての肥料を施すことはできません。まずは、肥料の中では少し高級な四種類の肥料から撒いていきました。
  
  
 私は主に、二人一組で肥料を量りました。撒いていく人に追いつかれないように、二人のチームワークを深め、テンポやスピードも意識します。終始声掛けをしあい、一発賞を毎回狙いながら、量りのプロになるつもりで極めていきました。つい夢中になってしまい、顔をあげると、広い畑の肥料撒きも、タイムスリップしたかのようにあっという間に終わっていきました。

■花咲かじいさんに

 肥料は、来年に根域が広がることを考えて、最も伸びた枝より一メートル先までを円状に撒いていきます。粒状の肥料は、花咲かじいさんのように、ぱぁーっとまんべんなく撒きました。桃の木の下で肥料が宙を舞って、地面に落ちていく様子は、雪のようでもあり、豆撒きのようでもあり、なにかの物語に出てきそうな光景でした。撒いているみんなの姿もすごく綺麗で可愛らしかったです。

 他の肥料も順々に撒いていきます。量がたくさん必要な肥料は軽トラに山積みにして、そこからテミで撒いていきました。樹一本あたりにテミ何杯分、と決めて、均等に撒けるようにします。テミに詰める人と、撒いていく人で役割分担をして進めました。

 詰めるほうは、みんなの撒くスピードに追いつかれないように、スピード感を重視して、体力勝負の作業でしたが、撒いてくれているみんなが勢いよく軽トラのほうに走ってきてくれる度に嬉しい気持ちになり、作業メンバーの笑顔や活気のある空気にパワーを貰いながら、チームで進めた作業が、とても楽しかったです。
  
  
 そんなふうにして、肥料が変わるごとに、四巡ほど桃畑を回りました。毎回、桃畑ツアーをしているようで、新鮮な気持ちが続きました。

 最後は、酸化してしまう恐れがある肥料を、管理機をかけながら同時並行で撒いていきました。粉状の肥料は、丁寧に撒かなければすぐに風に飛ばされてしまって何処かへ消えていってしまうくらい細かい粒子で、腰を思いきりかがめながら地面スレスレにテミを近づけて撒いていきます。

 一本に対しての量が少量なので、足りなくならないように、均等に撒けるように注意しながら、神経を使う肥料撒きでした。これまでの、割と大胆な肥料撒きとは打って変わって、繊細な肥料撒きは、まさに最後の仕上げ! という感じでした。これからの桃の樹にとって良い養分となるよう、気持ちを込めながら肥料をまいていると、桃畑の研ぎすまされた空気のように、気持ちまでも綺麗に洗われていきました。

■大きくて深い達成感

 最後の作業は、りなちゃんと二人ですべての桃畑を回ったので、毎回どうしたら無駄なくスピードアップできるかを二人で考えながら、良くしていけたことが嬉しかったです。最後の畑が終わったときは、これですべての肥料入れが終わったと思うと、ものすごく感慨深く、大きくて深い達成感でした。それをりなちゃんと共有できたことも、本当に尊い体験でした。
  
  
 私達が最後の二種類の肥料を撒き終わった樹から、あんなちゃんが管理機がけをしてくれました。
 数種類の肥料が撒かれた樹の下を円状に耕されたあとは、たくさんの栄養が凝縮されたフカフカの土に桃の樹が喜んでいるようで、私も満たされた気持ちになりました。

 肥料入れの最後は土寄せです。管理機の跡で土が凸凹してしまっているところを平らにならして、最後に、周りに寄せていた草も樹の下に戻していきます。

 一本の樹に四人から五人ほどでとりつき、みんなで一本ずつ終わらせていきました。一本の樹にかかる時間はだいたい五分以内。飽きることなくスピード感のある作業が気持ち良かったです。

■草とサツマイモの蔓

 草も有機肥料になるので、再度草刈りをした畑の中の草や斜面の草も、桃の樹の下にたっぷりと敷くことができました。これまで草は邪魔なもの、という感覚だったけれど、このときは宝の山のように感じられました。雑草も栄養になるということが私にとっては新たな発見でした。
  
  
 プラスアルファの肥料として、サツマイモ掘りの際に出た芋の蔓も、桃の樹の外周に円状に敷くことができました。外周は少し土が固めなところが多いので、これで少しでもフカフカな土になったらいいな、と思います。
  
 肥料入れ準備の草刈りから、肥料入れ、土寄せ、そして最後の草敷きまで、道のりはすごく長かったけれど、一つひとつの作業が大きな達成感の連続でした。終わってしまうのがなんだか寂しくも感じられるくらい楽しかったです。

 桃の作業は、どんな作業も一年後、二年後、三年後……もっと先の未来の桃の樹のことを考えての作業なのだと実感します。今年の肥料入れも、これから先の桃の樹にとって良いものとなるはずです。そう思うと、本当に嬉しくて、やりがいを大きく感じられました。

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*タマネギの植えつけ選手権 開催!*
   
  
夕の子畑に、約10200株のタマネギの苗を植えつけました。
 苗床で管理をしてきた苗は、発酵納豆水の水やりの効果で、ピンと伸びた綺麗な苗が育ちました。
 作業始まりの畝立ては、水はけのよさを考慮して、高畝のかまぼこ型を意識しました。
  
  
 タマネギの植え付けといえば、定番の植えつけ選手権!
  
 スピード感のある作業を意識して、1分間に何株植えられるかを競い、見事、植え付けクイーンとなった、ななほちゃんは26本もの苗を植えつけました。最後の水やりではジョーロのバケツリレーをして作業終了目標時間ピッタリに全ての工程を終わらせることができました!