【12月号⑧】「心のエネルギーが満タンに ―― 土の中からサツマイモの大家族 ――」なつみ

  
 畔にはコンテナがずらりと並び、その隣には、二十本以上の剣スコップ。
 畑の外周には、山盛りの蔓。黒マルチが剥がされたかまぼこ型の畝には、掘り出されるときを今か今かと待っている、特大のサツマイモ。

 十一月は芋掘りラッシュ。
 一枚目の畑、下町川下畑のサツマイモ堀りへ、いざ出発。

 畑に着くと、畝の表面にはすでにサツマイモが顔を覗かせていて、開始の合図を聞く前に、サツマイモ掘りを始めてしまいたくなるような、豊作を予感させる光景に高揚感を感じました。

 できる限り傷芋を出さないように、トリオで気にかけながら、最初は様子を見て慎重に掘っていきます。
 畝を挟んで向かい合わせに剣スコップを畝肩に刺し、せーの! の掛け声とともに掘りあげた一株目は、大家族!

 二十センチ以上の芋が六つ七つと付いていて、「わぁ!」と歓声を上げると、今度は後ろから「すごーい!」という声が。

 振り返ると、まなかちゃんトリオが、まるでムキムキの上腕二頭筋のような、とっても立派なサツマイモを掘りあげていて、(そんなサツマイモあるの!?)と思ってしまうほど、大きくて驚いてしまいました。

  
 立派なサツマイモが掘られるたびに、みんなの歓声があちこちから聞こえて、お父さんも、「今年は豊作だね」と話しくれて、良かったと思いました。
 そして、お父さんは、どうして今年は豊作なのか、サツマイモはどのような環境を好むのか、掘っているみんなの意見を聞きながら考察してくれました。

■面白い発見

 掘っているみんなが話す通り、畑の端の畝や、畝が高いところは、芋の付きが良く、反対に、畑の中心部分や、畝の低いところ、土が固いところはあまり芋が付いていなかったです。

 お父さんは、やはりサツマイモも水はけが良いところを好んでいて、さらに、畝が畑の端に行くほど芋の付が良いのは、蔓を思う存分伸ばすことができて、たくさん栄養を吸うことができたからじゃないか、そんな考えを話してくださって、今回が豊作で良かった、で終わるのではなくて、来年もより良くするにはどうするか、今年を材料に考えて次につなげていくこと、そのために考えることは、とても大事なことだなと思ったのと、芋はわりあいに強くたくましく、どこでも育つようなイメージがありましたが、好きな環境、良く育つ環境というのも、ちゃんとあるのだなと、それがとても面白い発見でした。
  

  
 また、苗の一節や二節、同じ節からいくつもの芋がなっているから、植え付けのときに苗の節数を五節も取る必要は無くて、来年からはできるだけたくさんの苗を早い時期にとれるように、節数を減らそうとも話してくださり、わたしも、掘ることを楽しむのは勿論、お父さんのように物事に関心や興味を持ち、いろいろな面から、楽しめるようになりたいなと思いました。

 最初は全員で掘り始めましたが、途中から芋の回収部隊が作られ、芋を運搬する部隊も作られ、そうこうしている間に、予定より一時間ほど早く下町川下畑のサツマイモ掘りを終えることができました。そして、そのままサツマイモ掘りに慣れた身体で、午後からは二枚目の畑、コミュニティ畑へ向かいます。
  
   
 この畑はまだ蔓回収やマルチ回収を行っておらず、まずは全員で畑三分の二だけ、蔓とマルチの回収。
  
 マルチをはいでいくと、下町川下畑のように、畝の表面からサツマイモが顔を見せています。コミュニティ畑も豊作なのか。期待に胸を膨らませて掘り始めると、株間というものが存在しないのではないか、そう思うほど、畝のどこを掘っても芋がわんさか出てきて、畝中一杯に芋があるような状態に、傷芋を出さないようにと剣スコップを持つわたしたちは嬉しい悲鳴を上げました。

 かと思えば、隣の畝は、不作の模様。
 入水口から遠く、土が固い低い畝は同じように不作であることが解明され、来年からは必ず高畝のかまぼこ型に畝を立てよう、そして、水が端までいきわたるように、溝を切ろう、そうお父さんが話してくださって、今から、次回のサツマイモ作りがとっても楽しみになりました。
  
  
 畝一杯のサツマイモに苦戦して、残り時間は一時間。少し畑を出ていたお父さんが帰ってきて、一言。「時間と仕事量が一致していない」

 わたしたちは、芋を掘る工程に時間がかかりすぎていて、お父さんが思っていたよりも進みが悪いことを話してくださいました。

「残り四十五分で、残りの蔓回収とマルチ回収までやって帰る」
 お父さんの立てた目標に沿うべく、蔓を切る人、蔓を運ぶ人に分かれてラストスパートでアクセルをかけます。全員が黙々と動き続け、今までにないスピードで蔓が回収されて行きます。お父さんはみんなが的確に動けるように声を掛けてくれます。

 そして、ちょうど燃えるような夕日が上ったころ、午後五時。目標通りマルチ回収までを終えて古吉野に帰ることが出来ました。 
  
  
 わたしたちも、目標を達成したいと思って気持ちを一つに動いていたけれど、本当に時間通りに終わってうれしかったし、身体はいっぱい動かして疲れているはずなのに、心は充足感やエネルギーでいっぱいに満たされていて、こうやってみんなと一生懸命作業をして心のエネルギーを満タンにして過ごせることが、幸せだなぁと思います。

 一週間ほどグラウンドに広げて干して、甘くなってから貯蔵しました。コンテナ数にして約百五十コンテナ。

 豊作がとてもありがたいなと思うのと同時に、次回は高い畝と節数を減らした苗、水が畑の端までいきわたるように溝を切ること、それらを徹底して、より良いサツマイモ作りをできるように頑張りたいし、掘っているそばから次が楽しみになるようなサツマイモ掘りの一日を、みんな過ごすことができて、嬉しかったです。