【12月号⑦】「理想の音を求めて、バンドの音調整」せいこ

  
 ウィンターコンサートに向けてのバンド練習も、本格的なブラッシュアップの期間に突入。十一月十一日に、集中して演奏や音色を調整しました。

 この日、バンドメンバーは丸一日、体育館での音調整。コンサートで披露する演奏を、お父さん、お母さんと作り上げていきました。

 まずは、今までどおりに演奏してみて、その後、お父さんがより良い演奏になるよう、各パートにアドバイスをしてくれます。その音色を実現できるよう、その場で各自の楽器の音を作り直したり、お父さんがイコライザーを調節してくださったり、自分たちの弾き方、歌い方を変えてみたり、と、様々な工夫を凝らし、一つひとつ丁寧に仕上げていく時間は本当に楽しく、あっという間に時間が過ぎていきました。

「演奏の音を調整したり、脚本を書いたりするときには、大脳辺縁系を使ってるんだと思うんだ。事務的な、理論的な仕事の話のときは、大脳新皮質を使っている」

 今回の、人体と宇宙をテーマにした脚本になぞって、お父さんが、ふと、そんなことを仰っていたのが印象的でした。
  
  
 私が、よく、演奏をしていて行き詰まるように感じるときは、大脳新皮質的な、理論を詰めるような考え方で、楽器に向かっているときだったのだ、と気がつきました。

 普段から使い慣れている理詰めの考え方で、演奏でも、一つひとつの音に言葉で表せるような意味を見出したくなったり、ただ機械的に「強い音か、弱い音か」といったデジタル的な解釈をしていると、個人練習していてもあまり上達しているような感じがしなくて、自分の演奏が味気ないものになっていたり、ボーカルを上手く引き立たせられなかったりしていたと思います。

 お父さんは、まずは全体の演奏を聴いて、感覚的に、どういう違和感があるか、ということをキャッチし、そこから楽器ごとに音を聴いていって、具体的な改善策を考えているんだということを教えてくださり、すごく勉強になりました。

 この音調整までの練習の中で、個人的に一番、自信がなかったのが、オープニング曲の『スカイフォール』でした。原曲は、バンドにフルオーケストラが加わった壮大なサウンドで、なのはなバンドでも管楽器にさとみちゃんに加え、えつこちゃんや、あんなちゃんが入ってくれています。

 楽器が増える分、どうしても、演奏の中での音のまとまりが取りづらく、難しい。私自身も壮大さを出したいがために、ピアノやストリングス、ブラスの音を駆使しながらも、音を整理できずにいて、困っていました。

「んー、もうちょっと、シンプルに、クリアにしたいね」
 一回目のスカイフォールの演奏でのお父さんのこの一言で、解決策への道が開けました。
  

  
「せいこの音は、ピアノだけ大きく。コントラバスみたいな音はもっと下げて、あとチューバみたいなやつは無くて良いや」

 そうか、原曲が壮大だから、たくさんの音色を混ぜていたけれど、聴かせたい音だけを大きくしてそれ以外は、サブ的に、調味料程度に混ぜるだけで良いのか。シンプルな音に作り直して、もう一度演奏してみると、どうでしょう。バンド全体の音が淋しくなるかと思いきや、一気にまとまりが出て、より生の管楽器のみんなの音もくっきりと響き、逆に壮大さを演出できる音色となりました。

 他の曲でも、こういった各楽器の少しの音色の変化で大きく演奏が進化する場面が幾度となくあって、バンドのみんなとそんな瞬間をたくさん味わえて、すごく幸せでした。

 音調整を経た今は、より自分たちの楽器が曲の中でどういう役割を担っているか、ということも明確になったので、あとは、その役割に磨きをかける意識で練習を重ねています。

 今年のウィンターコンサートでも、なのはなならではの魅力をたっぷり詰め込んだ演奏、ダンス、コーラスをお届けできるよう、楽しんで頑張っています!