【12月号④】「吹いて、踊って、ターンして ―― 初めてのマーチング ――」りな

  
 ビッグバンド演奏『ドラムライン』の練習を進めています。スネアドラムを叩くかにちゃん、ベルリラという鉄琴を奏でるさくらちゃん、まりのちゃんを中心に、全員が一人一つ楽器を持って演奏する曲です。

 それぞれの楽器の楽譜が配布されて、ドラムラインの練習が始まるとき、あゆちゃんが、「マーチングをしたいんだ」とみんなに伝えてくれました。マーチング隊は見たことはあるけれど、マーチングをするのは生まれて初めてで、みんなと一緒にマーチングを練習していけることが嬉しく、ワクワクした気持ちになりました。
  
  
 私は、クラリネットパートで、同じパートのりんねちゃん、まことちゃん、ゆいちゃんと一緒に練習を重ねました。練習し始めたばかりのころは、ロングトーンをするとすぐに頬が痛くなって、息が漏れて音が途中で出なくなっていました。

 でも、そこからだんだんと頬が痛くならずに、長く吹けるようになっていきました。
 クラリネットパートのみんなと、そのことを実感出来ることがとても嬉しかったです。暗譜ができて、全員でドラムラインを合わせた初回、お父さんやお母さん、あゆちゃんが前から聞いてくれました。

 これまでパートの中で揃えてきたフレーズや音が、ドラムライン全体の中で、一部として溶け込んでいく感覚があって、吹いていても鳥肌が立ちました。

 後ろからは華やかなトランペットの音、隣からはトロンボーンやサックスの重厚感のある音が聞こえてきて、一つひとつの楽器が全部合わさると、こんなにも迫力が出るんだなあと思いました。原曲で聞いてはいたけれど、かにちゃんの歯切れ良いスネアの音を聞くと、それだけでとても気持ちが高まりました。
  
  
 「すごくいいね!」と、お父さん、お母さん、あゆちゃんが言ってくれました。まだマーチングの動きは付いていなくて、音を合わせられるようになった段階だったけれど、その言葉を聞いてとても希望をもらいました。

 マーチングの動きは、あゆちゃんが考えてくれました。これまでビッグバンド演奏は、みんなで列になって楽器を吹いていました。けれど、あゆちゃんが考えてくれたマーチングは、初めのフォーメーションから工夫がされて、とても楽しいものになっていました。
  
  
 シンプルな動きではあるけれど、楽器を持って、吹きながらになるととても難しかったです。動きに集中すると、指使いが分からなくなって、演奏することに集中すると、動きが迷子になってしまいました。音と、カウントと、動きを一致させて、自然と身体が動くようになるために、何度も何度もパート練習や、個人練習を重ねました。

 また、マーチングの歩き方を習得することに苦戦しました。かかとからつま先の順に地面に着いて、ずっと腰の高さを変えずに歩きます。

 あゆちゃんがお手本を見せてくれると、本当に上半身が揺れていなくて平行移動をしているようで、とても綺麗でした。あゆちゃんのように格好よく歩けるようになりたい、と思いました。
  
  
 マーチングの中には、隊列を組んでフォーメーション移動をしたり、ターンをする振りがあります。その時に、持っている楽器の重みで振り回されてしまいそうになります。けれど、楽器を自分の力で操作して、見せたいポーズのときに、瞬時にピタッと止められるようにします。

「かにちゃんを筆頭に、何百もの馬の群れが疾走している景色とか、迫力を見せるんだよ」
 あゆちゃんが話してくれた具体的なイメージを思い描くと、気持ちが固まって、マーチングの動きも角を付けて止められるようになりました。

 全員でもっと緻密なところまで揃えて、精度高いマーチングが出来るように、これからの一回一回の練習の時間を大切にしたいです。