【12月号①】「今しかないこの瞬間を ―― 今日も本番気持ちをつくって向かう通し練習 ――」さき

    
 スプリングコンサートから、八か月……。四月の舞台では「宇宙」をテーマにし、宇宙物理学者の市ヶ谷博士と、おさらば三人組、異次元から来たナナポンと、旅をしてきました。

 そして、十二月十八日に上演するウィンターコンサートは、その続編として、「人体」をテーマとした物語へと入ります。

 十一月から演劇練習が始まり、配役が発表されました。人体の内側で働くさまざまな細胞や器官が登場するため、配役の人数も多く、主要役者と様々なキャラクターが対話する場面がたくさんあります。 
    

   
 演劇練習が始まって一週間……。あゆちゃんから、「週末に通しがあります」というお知らせを聞き、一瞬、驚きと動揺で耳を疑ってしまいました。

 しかし今思えば、短い期間だからこそ、それが着火剤となって演劇にエンジンがかかってよかったと思います。それからは、通しに向けてセリフを暗記して空でいえるようにと、毎日、脚本とにらめっこしました。

 難しい言葉、知らない出来事などは、自分たちで辞書やネットで調べ、お互いに情報を共有し、イメージを膨らませたりもしました。
  
  
 日中の時間は、お父さんに演劇をみていただき、何度も繰り返しやって細かい動きやセリフの言い回しを身体に覚えこませました。お父さんはいつも、私たちの前で見本を見せてくれて、目の前に本当にはない景色を見て演技しています。それが、とてもわかりやすくて、動きや表情からそのときの様子が見て取れることが、本当にすごいなと思いました。

 平日は、主要役者を中心とした練習をし、夜の時間はシーンごとのバディ練習を。

■確実に次へつなげていく

 そして、土日には全員が衣装を着ての「通し練習」がありました。

 通し練習では、本番と同じスケジュールで、前後半を通していきます。初回は脚本を手放せなかったけれど、どこができていて、できていないかということがはっきりとわかり、確実に直せるようにと次につなげていくことができました。
  
  
 三時間ずっとステージに立っていると、気が付かないうちに気力体力ともに、結構消耗しているんだなと、通しが終わってみてわかりました。半日が、一日に感じるほど、あっという間です。
 

台詞のない時も心の動きや心情を表情や仕草で表現します

  
 今日は疲れたなというときでも、すぐ隣には博士(なおちゃん)がいて、たかお(のんちゃん)、ナナポン(ななほちゃん)、とうこさん(やよいちゃん)がいる。

 そのことがどんなに心強いか、みんながいてくれるおかげでここまで旅をしてきたんだと改めて感じます。役者だけでなく、誰一人欠けてもステージが成り立たないように、みんなの存在はそれは当たり前のようだけど、かけがえのない存在で、どこにいてもいつも笑顔が絶えませんでした。
  
  
 そんな暖かい仲間と、何度も通しをしていくうちに、体育館のステージがホールでやっているときと同じ空気感に包まれ、同じ緊張感になるのを感じて、良い練習になったと思います。

 よくお父さんは、「練習のための練習になってはいけない」と言われますが、演技をするときも、演技のための演技になってはだめで、動きの一つひとつに意志を持って表現することを教えてもらいました。みんなと演劇練習をする中で、ときには悩みながらも、改善策をみんなで考えて、どんどん良い方へと進んでいけることがとてもうれしかったです。

■私たちだから
  
  
 お父さんとお母さんが、脚本のベースが完成してからも、どうしたらもっとよくなるか、いつも考えて、何度も脚本を見直し続けていました。

 この脚本は私たちのためのものでもあり、私たちだから伝えられる脚本だと思います。その脚本が少しでも、伝わりやすくなるよう、役者同士で細かい動きを考えた時間が本当に楽しかったです。

 今回の演劇練習で、セリフのないところの演技、はけるときの表情、セリフのほんの一行が、ものすごく重要な役割を担っているということがよく感じ取れました。
  
      
 だからこそ、一言一句を大切に、役者として代表して言葉にし、堂々とステージで表現したいと思います。

 最後に。なのはなのウィンターコンサートを見に来てくださり、
「年に一度、なのはなのコンサートを見て、心の垢を落とし、また一年間、なのはなのコンサートを見るために仕事に励むんだ」
 そんなふうに言ってくれる人がいると、お父さんから教えてもらいました。
  
  
 その話から、「このコンサートを通して伝えたいことが、たった一人でも、伝わりますように」そう願いながら、本番に向けて気持ちを作っていこうと思いました。 ウィンターコンサートが、誰にとっても最高のコンサートになるよう、毎日、その日その日の練習を本番と思い、今しかないこの時間を大切に過ごしたいです。