12月18日(日)「使命を胸に、仲間と表現する ――2022年ウィンターコンサート(後半2)」

12月18日のなのはな【後半 その2】

(この記事は、ウィンターコンサート後半 その1からの続きです)

 

 定例会につくと、肝臓が勢いよくメンバーの紹介をしてくれました。
「私は肝臓、こちらが心臓、そっちが肺臓、となりが腎臓、そして脾臓と5つの臓だな。
 そして、六腑のほうは、胃袋、小腸、大腸、膀胱、胆嚢ということで。5つしかないんだな、これが。
 いつのまにか、五臓六腑の紹介を全部、肝臓がしてくれます。

 

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 五臓六腑たちは、まさにそれぞれがマイペースで天真爛漫な面白いキャラクターたちです。
 シーンの始まりで、五臓六腑たちは口々に雑談していますが、これは五臓六腑を演じたメンバーが、毎晩のように集まって演劇を練習するなかで、もし自分がこの臓器だったらどういうことを話すだろうかと、想像をふくらませ考えた内容を話していました。

 さて、心はどこにあるのか。博士は本題の問いを投げかけます。
 殺伐した時代になってしまった中で、どうしたら希望を持てるのか、それを皆さんがどう考えるのか。
 五臓六腑の人たちはそれをどう思うのか。

 心を担当しているのは……。

 心を担当しているのは?!

「小腸だ!!!」
 そう、人の心は小腸にあったのです!

 

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 小腸の1腸目から8腸目の間に、心の皆さんがいるよ。
 肝臓はそう教えてくれます。

 体内に入ってはじめて出会った細胞のマクロファージ2081が言っていた言葉が、たかおの頭によみがえります。
マクロファージが「1丁目から」と言っていた「ちょう」は、小腸の「腸」だったんだ!
 肝臓の言葉で、前半の伏線が回収されたのでした。

 この地球の上で、生き物として我々の祖先が生活を営み始めたとき、1つの筒のなかに、小腸がまずできた。我々、臓器はすべて小腸から生み出されたもの。
 脳がまだできていなかった頃、小腸が脳の働きをしていて、だから、いまでも小腸にだけは、脳と同じ神経細胞が1億個もあって、その神経細胞がこころの働きをしているのだと、心臓が教えてくれます。

 確かに、昔から、腹が立つとか、腑に落ちるとか、感情を表現する言葉の多くが、小腸がある「腹」という言葉を使っています。
 それを知ったとき、不思議にも感じましたが、人の気持ちの感覚は腸で感じ取っているという感覚は、自分の中に確かにある! と腑に落ちました。

 

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「そうだ、大事なことを忘れていた。脳で起きている大騒動だ。つい、最近のことだが……」
 肝臓が言いかけた途端、小腸が言葉を遮り、「やめておけ、帰るぞ」と五臓六腑たちに言って、足早にそれぞれが立ち去ってしまいます。

 脳で起きている大騒動、とはいったい何のことだろうか?
 てつお、たかお、ナナポンらは、それぞれの臓器に何が起きているのか、聞いて回りにいきます。

 

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〈『剣の舞』〉

 

 博士、たかお、ナナポンが落ち着かない様子で待っているなか、なかなか帰って来なかったてつおが帰ってきます。 

「博士、わかりました。大変なことが起きています」
 引退していた腎臓から、他には言うなということで教えもらった事実をてつおが言います。

「いま、大脳新皮質と大脳辺縁系の間で紛争が起きています!」
 大脳新皮質と大脳辺縁系の紛争というのは、どういうことなのか。

 

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 博士が以前説明してくれたように、もともと、私たちの身体は1本の管の生き物から出発した。
 管の内側の内蔵から作られた大脳辺縁系と、外側の皮で作られた大脳新皮質とでは、考え方が正反対だということ。

 大脳新皮質は心の働きがないので、いつも情報収集をして、計算をして、どうすれば得をするか、効率化できるか、快感が得られるか、ということだけで人生観を作っている一大勢力。
 それに対して、大脳辺縁系は他の人にやさしく、愛を育みたいと働く。

 考え方が正反対の2つの脳は衝突してしまい、紛争を起こしています。

 私の中でも、まさに大脳辺縁系と大脳新皮質との間で、本能と損得感情との紛争が起きていたのだと思いました。
 悲しい思い出ファイルの記憶から、もう悲しい気持ちになりたくはない、損はしたくないと、危険から自分を守ろうとする思考回路が確かに私の中に入っていると思いました。それが被害感情であり、自己否定なのだと思いました。損をしてはいけないという大脳新皮質ではなく、本当のよかれの気持ち、情を出そうとしている大脳辺縁系の声を聞かなくていけないのだと思いました。

 

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〈『ザ・マーチ・オブ・ザ・ブラッククイーン』〉

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 ギブソンととうこが舞台上手に登場。
「あなたたち、今頃、気が付いたの? 遅いわね。
 そう、この大王ギブソンは、大脳新皮質に宿っている損得感情の化身なの!」

 悪の権化かのようなギブソン大王の正体に、博士、てつお、たかお、ナナポンは驚愕します。

 

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 その事実を聞いて、「愛の世界を作ることなんて、できっこない」と、弱音をはくたかお。
 意地悪で、損得感情ばかりの、優しさのかけらもない人間で、満ちていってしまうと。

 そんなたかおの言葉を聞いて、ナナポンは思いを伝えます。
 ナナポンはかつて、アインシュタインの娘であるリーゼルのお付きで、この世界にやって来ました。
 スプリングコンサートのとき、アインシュタインがリーゼルへ宛てた手紙で読んだように、「宇宙は大きな愛で満ちている」ということを、リーゼルは時空を超えて、この世界に伝えようとしました。
 リーゼルの気持ちを無駄にしてはいけない、だから絶対にあきらめない、と。

 

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 このセリフは本番直前までお父さんにアドバイスをいただきながら、ななほちゃんと最後の最後まで練習を続けました。本当に少しのイントネーションで伝わり方が変わってしまいます。
 ここは一つの山場でした。
 ナナポンの強い気持ちをぶつけるこのシーンは、本当にセリフを言うのではなく、気持ちをぶつけるようなもの。しかし、なかなか大きな声が出なくて、ホール入り2週間前には、大きな声が出るようにとグラウンドでひたすら叫ぶ練習も行いました。
 それこそ、伝わるセリフにするために、絶対にあきらめないで、ななほちゃんとがむしゃらに向かいました。

 ななほちゃんの力強い、「絶対にあきらめない」が会場に響き渡ったとき、たったのワンシーン、たった一言だけれど、ここにたどり着くまでのプロセスを思ったとき、そのプロセスが会場に輝きとなって放たれていき、本物になっていく瞬間を感じました。

 

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〈『ア・レヴァ』〉

 

 博士たちは、小腸に答えを求めに行きます。

 私達は、本当に、愛の世界を実現したいんです。
 モラルがどんなに落ちていこうとも、依存症のない世界を実現する為に、あきらめるわけにはいかない。
 ひきこもりとか、苦しむ人がでない世の中を作る為にこそ、生きていきたい。
 それは、私たちの気持ちそのものでした。

 どうやったら損得感情の大王ギブソンに打ち勝つことができるのか。

 小腸は教えてくれます。

 

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 私達がまだ1本の筒だけの生き物だったころ、環境は厳しくとも、宇宙は目に見えるほど、愛に溢れていたと。
 それこそ、生きるも死ぬも、生まれ変わるも、ずっと連続的で、境目がないくらい、愛にあふれていた。

 私はあなたでもよかった、私が私でなくてよかった。
 利他的、なんて言葉がいらないくらい、みんながお互いに誰でもよかった。

 それこそ、本当のモラルなのだと思います。
 今の時代は、私とあなたの間にはっきりとした境目があります。それは、競争の価値観の中で、個としてどれだけ優れているか、全体、みんなではなく、個の優秀さが重要だと思われているからなのだと思います。それではどこまでいっても、苦しいままです。なぜならば、一番になれる人はどこにもいないからです。

 私にはその価値観が強く入っています。
 そのことを自覚でき、そして小腸さんが言うように、私とあなたの間に境目がなく、人のことも自分のことのように手放しで喜べる、喜んでいつでも手を差し伸べられ、そして助けてももらえる、そういう自分を作っていきたいし、そう生きていかなくてはならないのだと思いました。

 私たちにとっては、損得感情が当たり前のなかで生きているから、それがとても特殊のようなことにも思えるけれど、私たちの先祖や、虫たちからしたらそれが当たり前で難しくもなんともない、それが本当の姿なのだと思います。
 大脳新皮質が発達するにしたがって、それをいつしか忘れていってしまったのだと思います。

 

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「しかし、ギブソンはこの宇宙の中心にはなれません。
 宇宙の中心になるのは、この美しい地球で生活を営む人間が作り出す、美しい愛の世界です」

 その小腸さんの言葉に私は何度も勇気をもらい、希望を感じました。
 虫たちや私達の先祖のように、高いモラルを取り戻して、美しい愛を生み出すために生きていかなければならないのだと思いました。

 それを、実現するためにも、大王ギブソンに打ち克つ最終的な力は———。

 

 私は上手の舞台袖で、小腸さんのこのセリフを祈るような気持ちで聞いていました。
 どうか、私が今から行う企みが成功しますように。
 劇として失敗することはないです。しかし、本当の意味で成功しますように。
 もし神様が見てくださっているのなら、どうか、私達を見守っていてください、と。

 私はステージに走って出ました。

 

 

「待ちな!!
 いい子になって小腸さんの説教を聞いていないで、この反愛情大王ギブソンの仲間になったほうがいいんだよ」
 とうこはそう言って、博士、たかお、てつお、ナナポンがギブソンの方へ注意を向けている不意を狙って、ナナポンの剣を勢いよく無理やり奪い取ります。

 

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 舞台上手に再び戻ろうとしたとき、とうこは一瞬立ち止まり、振り返って博士たちを見ます。
 今からやるから、見ててね。
 動揺する博士たちにそう、目で話しかけ、ギブソンの元へ戻ります。

 

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 永遠は一瞬、一瞬は永遠。
 反愛情大王ギブソンとその手下どもが二度と地球に現れないように、
 宇宙のかなたへ連れていけ!!

 ヒュ~ンという効果音とともに、反愛情大王ギブソンとその手下2人が飛ばされていきます。
 博士、てつお、たかお、ナナポン、とうこは、遠い遠い宇宙の先を、ギブソンが飛んで行った彼方を見つめます。
 上を見上げるとライトの光が目にあたって、視界いっぱいに光が広がります。光のそのさきに、確かに損得勘定のギブソンが飛んで行ったと思いました。
 お客さんも、息をのんでこのシーンを見てくださっていたように感じました。

 ホール入りして4日目、私が劇で気持ちをうまく乗せられないことや、万全の態勢で通しに臨めないことをお父さんに相談させていただいたとき、教えてくれたことを思い出しました。

 スプリングコンサートで、宇宙を満たすダークマター、ダークエネルギーは愛だったということが分かりましたが、このホールにもダークマター、ダークエネルギーが見に来ている、と思うこと。
 そして、それと同時にギブソンのようなものも、コンサート周辺にウロウロしていて、だから、どうしても、このコンサートを成功させて、ダークマターを味方につけなければならないと、そんな風に思うんだ。

 

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 私達は、1人ではなく、みんなで戦い、ギブソンに打ち勝てたんだ、そう確かに感じられた瞬間でした。
 そして、その瞬間をお客さんと共有できたとこと、一緒に味わわせてもらえたこと、そのことが本当に得難い時間でした。

 今日にいたるまでも、損得感情のギブソンに負けかかったとき、本当に嫌な気持ちにさせてしまうひどいことを言ってしまうことが何度もありました。
 マイナスの言葉は、前向きで生きようとする人の気持ちをくじき、悲しい気持ちにさせます。

「みんな、ごめんね。ひどいことを言って」
 と言う、とうこの言葉は、演技がいらないくらい本当に、私そのものの言葉でした。
 そして、本当に私はみんなの中で、みんなに引き戻してもらえたのだということが分かりました。

 

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 私の心の中には確かに損得勘定のギブソンが入っていました。
 しかし、それは大なり小なり誰しもがそうなのだということ。損得勘定のギブソンがいることが悪いことなのではなく、ギブソンから逃げて戦わないことが、問題なのだと思います。

 今回の脚本でコンサートをみんなと作っていく中で、これは私の物語でもあると同時に、本当にみんなの物語なのだということを改めて思いました。
 どのセリフをとっても、自分のセリフではなく、なのはなのみんなの思いが込められているか、だから最後までその気持ちが伝わるように、届くように、逃げずに練習しようと思いました。

 ルカがとうこに「あなたの使命」を渡してくれたように、お父さん、お母さんがこの脚本を私に渡してくれました。

 私が本当に迷いのさなかにいたとき、この子がそっと私にこれを渡してくれた。
 そこには、
「あなたの使命」
 とだけ書かれてあった。

 

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 自分がどんなにダメな人間であったとしても、損得感情が入っていたとしても、究極のところ関係がなく、そんなことは拘ることではないことでした。
 なぜ自分はこの世界に産み落とされ、何を果たすために生きていくのか。
 すぐに具体的に分からずとも、はっきりと見えないものであったとしても、保証がなくとも、必ず使命はそこにあるのだと信じ続けること、見つめ続けること。
 それが、私が生きていくたった一つの道でした。

 私が忘れていた私の使命を気づかせてもらって、今日の日までコンサートをやり遂げて、お客さんに伝えること、それが私の今日の使命でした。

 LUCA、あなたのお陰で私は、すんでのところで、利他心を捨てずにすんだ。
 あなたは一体誰?

 

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 博士がようやく思い出します。

 Last Universal Common Ancestor(ラスト・ユニバーサル・コモン・アンセスター)
 その頭文字を繋げると、LUCA。
 それは、全生物最終共通祖先と訳されている……、
 そう、LUCAの正体は、地球上で生まれた最初の単細胞生物だったのです。
 
 地球に40億年前に生命が誕生したとき、あらゆる動物、植物の先祖となるたった1つの単細胞生物が生まれ、現代の3000万種ともいわれる地球上のすべての生命体は、すべてがその子孫だ、という理論が発表されている。

 先日のニュースで惑星「りゅうぐう」から日本の探査宇宙船が持ち帰った試料の中に、アミノ酸が20種類以上も見つかったというニュースがありました。

 それはつまり、宇宙に存在する何かによって作られたアミノ酸が隕石で送り込まれ、それがこの地球上で、奇跡的に生命が始まるもとになった。
 その事実は、この人類を生み出すための仕組みだったとしか考えられません。

 宇宙を作った何者かによって、はっきりとした意図をもって生み出された単細胞生物、LUCAは私の中にも確かにいるのだと思いました。
 そして、私が、私たちが、この地球上の人間が間違った方向にいかないように、今もずっとみんなの心の中で見守ってくれているのだと思いました。
 心の中にいるLUCAという存在を通して、宇宙を作ったなにものかと自分は繋がっているのだと改めて思いました。

 LUCA、助けてくれてありがとう。

 

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〈『ムーンライト・ソナタ』〉

 

 もう二度と大王ギブソンに負けない方法、途中になっていた話を小腸さんが教えてくれます。

 損得感情のギブソンに勝つには、美味しいものを、美味しいねと、言い合いながら食べること。
 まず、みんなの小腸を喜ばせてほしいのです。
 食事の時間を大事にして、必ず美味しいものを食べること。
 そして、小腸を休ませるために、よく眠ること。

 小腸は、みんな考えることができる神経細胞をもっていて、大脳の視床下部とも深く関係をとっているのです。
 美味しいものを食べて小腸がいつも喜んでいたなら、視床下部の愛情の中枢にその喜びを伝えてくれます。

 

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 私は今、なのはなファミリーで60人の家族と生活していて、毎日、確かに幸せがあります。
 でも、今までの経験から本当に食事を味わって、美味しいねと言い合って、喜びきってしまうことが、どこか怖い気持ちがありました。
 幸せになってしまった瞬間に、自分はどうなってしまうのだろうか、また悲しいことが起こってしまわないか、だから幸せを感じきろうとしない、安心しきろうとしない自分がどこかにいたのだと思います。

 でも、それでは視床下部が愛情の中枢に喜びを伝えられず、いつまでもたっても愛情の中枢は本当の愛情を知らないままで、一度起きたプログラムミスを修正することはできないのだと思います。
 本当はない危険、恐怖のために、自分を守るのではなく、そこにある幸せから逃げず、しっかりと受け止めて感じて、自分が幸せになることで、自分が救われ、そして、周りに対しても優しい生き方がしていける。自分を守らないことが自分にとって、相手にとって優しいことなのだと思います。

 幸せを先送りにせず、いつも目の前にある幸せを感じながら生きていくこと。
 それが損得感情のギブソンに打ち克つ、本当にたった1つの方法なのだと思いました。

 小腸役のあゆちゃんの声は、ゆったりと噛みしめるように優しく力強く、説得力があり、セリフの一つひとつが自分の心に溶けていくように感じました。そして、お客さんも真剣に聞いてくださっていることを感じました。

 

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 その剣をかざしてごらんなさい。

 とうこが剣をゆっくり上げてかざすと、舞台背景の一番上につるされた海馬から、舞台背景の端から端まで渡されたイルミネーションライトに光が灯ります。

 

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「小腸が感じた、愛しい人と一緒に食べる美味しい食事。
 その幸福の信号は、小腸の神経細胞から視床下部、そして海馬へと送られ、大脳辺縁系という小宇宙をぐるりと弓のようにとりまいている脳弓をめぐっていき、さらにその外周をとりまいている帯状回をまわっていく。
 その様は、この宇宙の天体の動きと、何一つ、変わることがないのです」

 宇宙という壮大なテーマで、春のスプリングコンサートから始まった今回の劇を通して、なんのために人間は生まれてきたんだろうという人々の普遍的な疑問から、宇宙を作った何者かが、美しい人間の愛を見るために、人間を生み出したということが分かりました。
 では、その愛はどこから生まれ、どう作られていくものなのか、愛がうまれる心はどこにあるのかということが分かりました。
 スケールはまったく違えど、宇宙と人体は繋がっていた、一体となっていたのだということが分かりました。

「幸福の信号が、偏桃体へと伝えられると、『利他心』の心持ちがぶれることもなくなり、本能の暴走を防ぎ、依存症になることもない。
 愛の世界は、実現できるんだ」

 そう力強く、確信を持って言ってくれた博士の言葉に、とうこたちは自分の言葉のように強く賛同します。

 

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 スプリングコンサートから続いた、この永かった旅が終わるのだと思うと、寂しく悲しい気持ちにもなります。
 しかし、私達はここからスタートを切るのだと思います。
 そして、私たちの心の中でこの物語はこれからもずっと続いていくのだと思います。
 とうこは私で、私がとうこ、物語が終わることはありません。

 ギブソンを追放できた海馬が、宇宙一面の星空のように美しさを回復していく。
 そう、自分の過去を見て、傷を見てその損失にひがんだり、怒るのではなく、周りの人のため、まだ見ぬ誰かのためにと、よかれの気持ちで生きていったときにこそ、傷は確実に少しずつ癒えていくのだと思います。

 利他的に生きていくことでしか、傷を癒やすことはできないけれど、そう生きていくことで周りの人と喜びを共有しながら自分自身が生かされていき、私の海馬が美しさを回復していくのだと思います。

 

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 最後の曲、『リカバリー』は、みんなで宇宙の天体のパーツとなって踊ります。

 生きづらさを抱え、一度は人生に挫折した私達は、ここからスタートを切り、自分の回復を自分自身でデザインし、自分自身の手で自分の人生を美しく描いていく。

 

 

 夜空の星空のように輝きを放ちながらも、周りの無数の星たちと競合することなく、一人ひとりが「立ち直っていく」という決意を表現しました。

  前から見てくださるお客さんがいて、真剣に見ていただいたからこそ、そして受け取ってもらえたからこそ、私たちの表現、今日にいたるまでのプロセスが昇華され、報われていくような気持ちになりました。

 

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 そして、このコンサートは本当にたくさんの方々の協力があって、できたことでした。
 東京からカメラマンの中嶌さんが来てくださり、大道具の制作のほとんどを大竹さん、須原さんがしてくださり、正田さんや卒業生のさきちゃん、さきちゃんの会社の方がビデオ撮影をしてくださいました。写真撮影にもボランティアの方々が駆けつけてくださいました。

 

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 そのほか音響、照明、受付、喫茶、ステージ上だけではなく、いたるところで、みんなが自分の役割に誠実に向き合い、コンサートをすることができました。
 コンサートのために、たくさんの人が集結し、お互いの力を発揮しあい、最高の表現を作っていく、その関係のなかで私達は、家族以上の絆で結ばれているのではないかと思います。
 その中の一人としていられたことを本当に誇りに思います。
 
 たくさんの仲間とともに、力を合わせて、愛の世界を作っていけるよう、保証を求めず、謙虚にこの物語の続きを歩んでいきます。
 本当にありがとうございました。

(とうこ/やよい)

 

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