「コンサートをする意味」 るりこ

12月10日

○コンサートをする意味

 ウィンターコンサートまで、古吉野で過ごすラストの週末。通し稽古も、残り2回のうちの1回が、午前から午後にかけて行われました。
 のんちゃんも言っていましたが、通し稽古をすればするほど、3時間13分(前後)という時間の経過がどんどん早くなっているように感じます。
 個人的には、昨晩の集合でお父さんが、「スピード感を持って欲しい」とおっしゃっていたことを意識して、着替えもダンスのスタンバイもスピード感をいつも以上に心がけました。そうすると、これまででも十分に着替えがスムーズになっていたけれど、今日はまた最短記録を出すくらいに着替えが手早くできました。(あれ、何か忘れているっけ?)と感じてしまうほどでした。
 今までもスピード感を意識していなかったわけではないけれど、もっと意識したら、もっともっと手早くできて、その分だけ劇に集中できるとわかって、これはいろいろな場面でもスピード感をもって生活をしていきたいなと思いました。

 通し後、今日の反省をして、お父さんが改めて、わたしたちがコンサートをする意味を話してくださいました。わたしたちがウィンターコンサートというステージを借りて、人前で自分をさらけ出すこと、自分の気持ちを踊りや演奏で表現するということは、摂食障害になって(傷ついたときから)、人前に出ることを避けたい気持ちや引きこもりたい気持ち、それが行き過ぎたら消えていなくなってしまいたい気持ちと、まさに正反対のことをしているのだと話してくださったことが特に心に残りました。

 わたしも症状はほとんどなくなって楽になってきてはいるけれど、すぐに自分に籠もってしまうところや、引きこもりに近い、感情を表に出さないというほうに簡単に傾いてしまうのが日常です。でも、ステージ上では籠もっていられなくて、無理にでも自分を外向きに表現していないと何も見せることも伝えることもできません。

 これまで壁にぶち当たると、(どうしてコンサートをするの?)という気持ちになってしまうことがあったけれど、こうして自分を非日常の世界に置くことで、外向きな自分が作られていき、コンサートで自分を表現することが回復していくなかで本当に必要なことなんだと、改めて理解することができました。
 お父さんお母さんが教えてくださる、なのはなで大切にしている回復の三本柱の1つがこのコンサートで、それをいい加減な気持ちで向かったり、流してしまってはダメなんだと思いました。

 そう思ったときに、今の自分の心持ち、状態のままで、コンサート当日を迎えたくないという気持ちになりました。わたしはここまでみんなとコンサートを作り上げてきたけれど、いよいよ人に見せる本番直前の今になって、ダンスも演奏も太鼓も、何にも自信がなくて、こんな状態を人の前にさらしていいの? という怖さが先だってしまって、表現することが楽しいというレベルから離れてしまっていました。
 明日の最後1回の通しも、来週から始まるホール入りも、もっと意味のある時間、自分にとってプラスになる経験にしたいなと思って、そのことについてお父さんに質問させていただけて、答えを教えてもらえて嬉しかったです。

 話の中でお父さんが、「もう守るものはないのだから、自分をもっとさらけ出して、間違えようと失敗しようと、ステージに立って表現していることをもっと楽しんだらいいじゃないかな」とおっしゃってくださいました。
「もう守るものはないよ」という言葉を聞いて、(あぁ、そうか)と思いました。
 わたしは親や部活のコーチに叱られること、注意されることがものすごく怖かったという記憶があります。それは自分を全否定されているような気持ちで、もしかしたら今もその恐怖が完全に解消されていないんじゃないかと思い当たりました。
 人前で自分をさらけ出して上手くいかなかったとき、自分を全否定されるような怖さ、低い評価を下されて見放される怖さが先立ってしまって、それが今も練習をしているなかで似たような状況に出くわしたとき、自分はダメな人間なんだ、何もできないという負のループにはまって、もう人前に出るのが怖い、嫌だという感情に繋がってしまうのだと思いました。
 でもここでは自分を全否定する人はいないし、失敗したからといって人生が終わるわけではないです。攻撃される前に自分を守ろうとしなくてもよくて、もっと伸び伸びとしていていいんだなと思いました。

 やけくそな気持ちが足りない、という言葉もその通りだと思います。まだ安全圏で生きようとしているから、ダンスも小さく、安全圏でしか踊れていないです。
 でも、今はそうかもしれないけれど、こうしてコンサートに向かうなかで幅を広げていけばいいと教えてもらって、そこにわたしがコンサートをする意味があるのだと思いました。

 今日、通し稽古をさせてもらって、また改めてコンサートをする意味を教えてもらって、質問にも答えていただいて、やっぱりコンサートに真剣に取り組みたいと思いました。自分がやる意味がわかったような気がしました。
 できていない部分はたくさんあるし、目をつぶりたくなるけれど、そこから逃げないで、今の自分の不出来を受け入れて、そのなかで自分ができる精一杯で表現することを思い切り楽しんで、やり切ったと思えるコンサートにしたいです。